83 お宿?
すいません。
しばらく毎日更新を休止します。
できたら更新で、週三ぐらいを目標にします。
「ええと。話もすんだみたいだから集まって」
ソマーリ王が丞達を呼び寄せる。
「これ今日の御礼。シャームも楽しんでいたみたいだから。ありがとね」
ソマーリ王が気さくに丞達に礼を言うと、猫メイドさんが大きな葛籠と小さな葛籠を運んできた。
「日本の伝統だと御礼はこう渡すんだってね? 変わっていて面白いよねぇ。好きな方を選んで」
王様がニコニコしている。
「そうきたか」
「え、どうしよう」
全と九海が悩み始める。
「・・・」
丞は九海の説教から立ち直っていない。
「お時間頂いても良いですか?」
「いいよ、いいよ。ゆっくり考えて」
「丞? お~い。そろそろ戻ってこい」
全が丞を揺さぶる。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
丞は何かに怯えて壊れたままだ。
「はいはい。もう良いわよ。赦してあげる」
九海が頬を染めてそっぽを向く。
「お前・・・」
全が妹を恐ろしい者を見る目で見た。
「ハッ! あれ、ここどこ?」
丞が謝罪空間から帰還した。
「ナンニャー星人の宇宙船だよ」
「ああ、そうだった。あれ、姫様とミッケニは?」
「母親に首根っこ捕まれていった」
正確にはくわえられていったのだが。
「ええと。僕は何してたっけ?」
「しっかりして。御礼の葛籠を選ぶ所でしょ!」
丞の記憶を飛ばした犯人が犯罪をなかった事にした。
「大きい葛籠と小さい葛籠のどっちかを今日の御礼でくれるそうだ。どっちにする?」
九海ににらまれた全も隠蔽工作に協力する。
「こういう時は小さい葛籠だよね」
丞は日本のおとぎ話を思い浮かべる。
猫ではなく雀の出演しているやつだ。
「まあ、普通はな」
「でも、宇宙人よ。地球の一地方のおとぎ話なんて知ってるの?」
「入れ物が葛籠だからな。知ってるんじゃないか?」
「大きい葛籠にはお化けが入ってたんだっけ?」
「虫じゃなかったか?」
「虫だと普通に雀の食べ物だよね?」
「とすると、嫌がらせじゃあなかったのかもな」
「なら、大きい方がお得ね」
「え~。小さな葛籠にしようよ。欲張ると良い事ないよ?」
「じゃあ、多数決で。丞、わかってるわよね?」
「はいはい。大きな葛籠で決まりだな」
全が、九海に白旗を降って葛籠選びは終了した。
「まさか、次のお忍びが始まってるとは、さすがのお母様にもわかりませんわ!」
「姫様、叫んじゃ駄目です」
丞の前で大きな葛籠が喋っている。
「小さな葛籠で」
九海が意見を変えた。
「なんでですの!」
姫様が日曜の夕方の国民的アニメのオープニングみたいに登場した。
「いや、さすがに勘弁してください」
丞が姫様と姫様の台になってるミッケニに手を合わせる。
「そうですよ。あまり迷惑をかけてはいけません!」「フギャッ」
王妃が葛籠の蓋に乗って姫様とミッケニを閉じ込める。
「ちょっと目を離しただけなのに」
ミッケナが大きい葛籠を縄でぐるぐる巻きにしていく。
また猫メイドさんが大きい葛籠を運んで行く。
「諦めませんわよ~」
姫様の決意表明も運ばれて行った。
「小さな葛籠でいいんだね?」
ソマーリ王は動じない。
「はい。小さい方で。あと船を降りる前に中を確認してもいいですか?」
確認は大事だ。小さい葛籠でも子猫二匹は余裕で入る。
「うん、うん。確認は大事だよねぇ」
ソマーリ王が頷く。
「何が入ってるんだ?」
許可が出たので全が葛籠の蓋を開ける。
「何この金色の缶詰?」
九海が葛籠の中から一つ手にとって眺める。
「こ、これはまさか!」
丞はソマーリ王に視線で確認する。
「うちの星特産、ちくわタイミョウシン」
ソマーリ王が足を組んで髭をしごく。
どことなくドヤ顔だ。
「「ちくわタイミョウシン?」」
全と九海が頭の上に?マークを浮かべる。
「僕もフぃみョンで一回しか食べた事ないんだけど、物凄く美味しかった」
丞は目を閉じてトレジャーハンターの宴会を思い出す。
「丞は食べた物ほとんど美味いって言うよな」
全は誕生会で九海が作ったケーキを思い出す。
「何でも美味しく食べるのは良いことよ」
九海が手に持っていた缶詰を戻して蓋を閉める。
「確か、一缶十万ポイント」
丞は宴会でイーシーンが言ってた情報を追加発表する。
「「「十万!」」」
丞の幼馴染み二人があんぐりと口を開けて、驚愕の表情で固まる。
なぜか玉座の上でソマーリ王も同じ事をしている。
「え、え? な、何缶入ってるの?」
九海が葛籠の蓋を開ける。
「十二缶」
全が缶詰を素早く数える。
「ひ、百二十万」
九海がまた驚く。
「こんなに頂いても良いですか?」
全が缶詰を葛籠に戻しながら王様に向き直る。
「いや、うちの星だと一缶千ポイントぐらいだから。流通の関係かなぁ? この辺だとそんなに価値があるの? まあ、AIが反対しなかったからいいよ」
「では、ありがたく頂戴致します」
全が葛籠を押しいただく。
「うん。僕も驚いたけど喜んでくれて嬉しいよ」
ソマーリ王が頷く。
「じゃあ、そろそろ帰る? どっか転送希望場所あるかい?」
「僕は元の場所で」
丞は全から缶詰を四缶受けとる。
「私たちはこの座標でお願いします」
全と九海は秘密の部屋に戻るようだ。
「うん。今日は本当にありがとう。またね」
ソマーリ王が手を振ると丞は寮の裏手に立っていた。




