3 座敷わらしの丞
三話目です。
書き貯めがみるみる減って怖いです。
まだVRにたどり着けません。
丞は寮であまり他の人に会わないようにしていた。
寮に住んでいる他の人は、父親と同じ会社に勤めている社員だが、丞や丞の父親を知っているわけではない。
なんで子供がいるのかと言う目で見られたり、いる理由を説明するのが恥ずかしい。
丞が寮で話すのは管理人夫妻とその娘さんだけだった。
社員さんは大体十九時半すぎに帰ってくる。 それまでに夕飯を食べれば、ほとんど会わない。
時々、早く帰ってきた社員さんに目撃される。
管理人のおばちゃんの話では、社員さんの間で「知らない子供が寮にいる」とささやかれているらしい。
丞は前に、おばちゃんに確認されて、聞かれれば丞の事を軽く説明しても良いことにしていた。まだ、説明したと言われていない。
このまま謎の子供でいたら、見たら幸せになるとか言われそうだ。
丞を見るのは、早く仕事が終わった時なので、ある意味正解であるが。
今日の夕食はトンカツがメインだ。食堂には、やはり社員さんは誰も居なかった。つながってる調理場におばちゃんがいるだけだ。
おばちゃんに「いただきます」と声をかけて、丞は並んでいる皿の中で、一番大きなトンカツを選んでトレイに載せた。御飯と汁物はセルフサービスでお代わり自由である。
御飯をてんこ盛りにする。お代わりを取りに行くのが面倒なので横着しているのだ。業務用のでっかい調味料からトンカツにソース、キャベツにドレッシングを掛けて皿の端にマヨネーズを盛る。マヨラーだから痩せないと家族には言われるがうまいのだから仕方ないのだ。
テレビの前にすわる。テレビを点けると夕方の情報番組をやっていた。
新しくできたラーメン屋の特集を見ながらトンカツを食べる。ラーメン特集が終わると街の噂コーナーになった。「最近の噂はなんですか?」若手のアナウンサーが局のマスコットのゆるキャラと一緒に駅前の広場で聞いている。
「孫がUFOを見たって」と小さい女の子を抱っこしたおばちゃんが答えている。「ええっ、UFOですか?」と大袈裟にリアクションしたアナウンサーがさらに聞くと「キラキラしてたの!」女の子が答えた。
そういえば全と九海も見たって言ってたなと、丞は小中学校全学年同じクラスの幼なじみとその双子の妹が、妙にしつこく教えてくれたのを思い出した。
トンカツの最後の一切れでマヨネーズをきれいに掬って、御飯と一緒に食べ終った。
「今日も美味しかったです」とおばちゃんに言って、トレイと食器を大型の食器洗い機に入れた。
部屋に戻る途中の自販機でノンカロリーコーラを買う。
寮の自販機は一律五十円でいろんなメーカーの飲み物がならんでいる。
ぬるくならなかったら学校行くときに買っていくのにと、考えながら部屋に戻ってドアの鍵を掛ける。
シャワーを浴びて買っておいたコーラを飲む。
くぅーっとおっさんぽく唸って、録画しておいたオカルトスペシャルを見始める。
丞はアニメ、特撮、漫画、ゲーム、オカルトとオタクっぽいといわれるカルチャーが好きだ。
広く浅く、話題になったものは一通りチェックする。
ボーっと見ながら丞は、食費の事を考える。
毎月貰える食費兼お小遣いはは二万円ぐらい、平日一日千円だ。
朝と夜、休日の三食は寮で食べられる。平日は一月に大体二十日で七百五十円が昼飯代一万五千円。残り小遣い五千円。
「食費が足りない」と丞は訴えたが、「少し痩せるか、小遣いから出しなさい」と母親に却下された。月末、父親と会って貰う事になっている。
「お金でも渡さないと会いにいかないでしょう」母親は丞の面倒くさがりな性格をよく知っていた。
非常用として丞の口座にいくらか入っているが、使えば母親にばれる。すぐに電話がかかってくるだろう。
独り暮らしを始めて一週間、丞は一日千二百円使っている。昼飯に弁当五百円、おにぎりかパンで百円、飲み物百二十円消費税とか選ぶ品の変化で大体八百円。夕方のおやつに四百円。
このままでは、月の最後の週は昼飯抜きになってしまう。
ああ、休みのおやつ!と気がついて丞は頭を抱えた。
休日はおやつに五百円ぐらい使っている。昼飯抜きは早くなりそうだ。
格安弁当を食べるか?の店は学校の登校時間にはまだ開いてないし、昼休みに買いに行ける範囲にもない。前の日に買っておくのは食中毒が怖い。
自分で作ろうか?寮には社員用に冷蔵庫と、小さなキッチンがあった。
しかし、冷蔵庫はいつ誰がいれたかわからない物で一杯で、弁当の材料は入れられないだろう。御飯も炊かなければいけない。
やっぱり週何回かおやつを抜くしかないか。
何回目かの同じ結論が出たところで、番組も丁度終わった。二十二時を過ぎている。
CGぽいのばっかりだったと番組に残念な評価をつけて丞は寝ることにした。
お読み頂いてありがとうございます。
VRは次の話でやっと出ます。
楽しみにして頂いたければ幸いです。




