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異世界への扉〜今日はどこ行く?〜  作者: Hippopotamus
序章 君が望むならば
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冒険者の条件

 「知らないてん……やめとこ」

 いったい何番煎じだって話だよ。煎じ過ぎてもう出がらしだよ。


 現代から比べるとかなり不満の残るベッドの端に腰掛け背伸びをする。昨日は色んな事のあったからか、かなり疲れていたらしく少し寝坊をしてしまったらしい。窓から外を見るとお天道様もすでに高い位置にある。

 何気なく腕時計を見る、しかし左手に付けている時計は壊れてしまったのか、ぴたっと止まっていた。 


 「うわ、もしかしてこっちに来た時に止まったのか? 不便だけど仕方ないか。 結構気に入ってたんだけどな」


 左腕のステンレス製の銀色のは某イギリス人デザイナーのブランドで大学入学の時、入学祝いといって珍しくあの最低のクソ親父が俺に送って来たものだ。 捨ててやろうかとも思ったが物に罪はないとなんだかんだ今までずっと着けていたのだ。

 まだ鐘が鳴っていないようだし、十一時前ぐらいだろうか。


 ライトによるとこの町には俺たちがよく知る時計はなく、代わりに水時計と呼ばれる、川からの水を使い一定時間経つと水が溜まり鐘を鳴らし時間を教えてくれる時計塔があり、朝六時から大体六時間周期で鳴らされているらしい。


 下に降りるとハンナさんが掃除をしていた。


 「やあ、おはようさん。 昨日はよく眠れたみたいだね! 朝食を食べるなら用意するよ! 普通は三カルクスなんだけど、今日はサービスしとくよ」


 「おはようございます。 ええ、疲れていたのかよく眠れました。 ありがとうございます、それじゃあいただきます」


 「はいよ! それで今日も泊まるかい?」


 「ええ。当分は泊まらせてもらおうと思います。でも今はあまりお金がないのでとりあえず今日の分だけお支払いしますね」


 「わかったよ!それじゃいっぱい食べていっぱい稼いでおいで!」


 そういうと野菜や肉が入った大盛りのスープとドイツパンのような茶色いパンを出してくれた。


 昨日のシチューもおいしかったがこちらもスープもとてもおいしそうだ。黄金色の澄んだスープに野菜とお肉の旨味がよく出ていてあっさりとしているが飽きのこない深みのある味だ。

 パンの方も少し硬いが噛めば噛むほど旨味が出てきて少し酸っぱい味は癖になる。さらにこのパンをスープに浸すと野菜とお肉と小麦の風味が口いっぱいに広がりあっさりと完食してしまった。


 「ご馳走様でした。とても美味しかったです。 それじゃあいってきます!」


 「あいよ! 頑張っておいで! でも怪我するんじゃないよ!」


 さて、今日はまず昨日聞いた冒険者というやつになるため、冒険者ギルドに行って登録をしなければ、この世界でクラスには金がいる、ましてや俺は身寄りもない自分の身一つで金を手に入れなければ明日のおまんますら食えない、ライトの好意に甘え借金すらある身だ。


 なんにせよ。先立つものがなければ何もできない、というわけで俺はギルドへと向かう。金を作る方法はいくつかある、商人になる、普通にバイトをする、体を売る。

 中でも冒険者は金になる。なぜなら才能が必要でしかも危険が伴う。しかしおあつらえむきに俺には戦う才能がある。危険は承知の上だ。それにいつまでも借金こさえているもの嫌だということで冒険者になることにした。


 さっそく冒険者ギルドへ向かうため、町の中央部に向かう。中央部には大きな広場があり、そこには噴水と時計塔が公園の中央に配置され、公園を囲むように各種ギルドや重要機関が立ち並ぶ、そこから北の通りに抜けると商業地区がある。ちなみに俺が泊まったハンナさんの宿は俺が入ってきた南門から行くと西側にある歓楽街に位置している。

 

 小さめの郵便局ぐらいの三階建の木造の建物の中に入ると中には数名の冒険者らしき人たちが掲示板らしき大きな板の前でなにやら真剣に眺めていたり、ギルド職員の人とおしゃべりをしたりしていた。俺は一番端のうさ耳の眼鏡を掛けたおとなしそうな紫髪ロングの女性の職員のいる受付に行った。


 「あの、登録したいのですがどうしたらいいでしょう?」


 「ひゃ、ひゃい!」

 

 びっくりしたようにびくっと真っ白い耳をピンとしどもりながら答える女性。

 どうやら新人のみたいだ。


 「……あの、大丈夫ですか?」


 「へへへ、へい! だだだ、大丈夫であいまふ」


 「……とりあえず、落ち着いてください」


 「すすす、すみません……」


 「ゆっくりでいいですから、色々教えてください」


 「はっ、はい。 実は私……」


 「いや……あなたのことでは……まぁいいか」


 話を聞くとこのうさ耳の子はトリスという白兎人族という種族らしく、二年ほど前からギルド職員をしていて重度のあがり症から、表に出れないので裏方の仕事をしていたのだが、最近になって人員不足により受付に回されたのだとか。

一通り話を聞き世間話をするうちだいぶ仲良くなったようで、すこしどもりがなくなってきた。


 「あ、ありがとうございます。色々聞いていただいて」


 「いえいえ。 これから色々とお世話になると思いますし。 ギルドの方と仲良くなれて俺もよかったです。これからよろしくお願いしますね。 トリスさん」


 「そんな! ト、トリスでいいですよ! あと、普通に話してくれていいですよ。それにホープさんは他の冒険者さんたちとは違って礼儀正しくてなんだかしゃべり易いですし」


 「そう? 俺もこっちの方が楽でいいや。 えーっと、ところでトリス。今日は冒険者の登録をしたいんだけど」


「あ、そ、そうでした! すいません! えーっと、まず……」


 トリスの話を聞いたところによると、まず冒険者になるには何かしらの戦闘系の天職が必要らしい、いくら簡単な依頼といえど町の外にいけば魔物に会うこともあるので人命保護のためなのだとか。


 次に登録には2ソドリス、つまり二万円ほどかかるがお金がない場合は、ギルドに借金という形に出来る、しかも年内中に支払えば無利子らしい。ただしこういった借金や依頼失敗の違約金が払えなかった場合、奴隷になることもあるそうだ。どうやらこの世界にはまだ奴隷制度があるらしい。


 ちなみに暦は地球とは少し違い、一年は12ヶ月360日で一ヶ月は30日、一週間は10日で、魔法10属性になぞらえて闇から始まり、火、風、土、水、爆、雷、木、氷、光で休みは一般的には光の日が休息日に充てられることが多いようだ。一日は24時間で今は三月の三週目の風の日になるらしい。


 さらにギルドにはランクがあり始めはFからスタート。全部でF~SSSまでの八段階。F~E 初心者 C~B 中級者 A~S 上級者 SSS 英雄級(人外)となるらしい。とはいえSSSクラスは現在数えるくらいしかいないそうだ。ランクはクエストと呼ばれる依頼を掲示板から選び受けることで上げることが出来る、ただし自分のランクに一つ上までのクエストしか受けることが出来ない。


そのあといくつかの注意事項や案内を聞いたあと登録のため、紙に名前などを書こうとすると、大丈夫ですよと言って大きな水晶を取り出した。


 「そ、それでは少し血を垂らしていただきさらにこの水晶に手を置いてください」


言われた通りすると一瞬柔らかく水晶が光ると、はい!大丈夫ですね!登録完了しました。というので手を放すと水晶から半透明のカードのようなものが出て来た。


 これはなんだと聞くとギルドカードといってここに自分の情報や倒した魔物が記録されたり、お金を電子通貨ならぬ魔子通貨に換えてためておけるそうだ。どうやらこの装置やシステムを開発したのもマジックアイテムを作ったエジソンシュタインという人なのだとか。またそいつか。


カードを見てみると


名前:ホープ

年齢:21歳

種族:人族

レベル:3

天職:武道家

ランク:F

所持金:0ぺカ



 となっていた。来る前にジョブのメインを武道家に換えておいてよかった。名前も本名でなくちゃんとこっちでの名前で登録されたようだ。


 見終えて閉じろと思うとするとカードが光ると輪っかのような形になると手に巻きつき銀の腕輪のなった。おおー。


 「カードを使うときはまた念じるとカード化しますので、お金の受け取りや支払いクエストの確認時にはカード化させてお使いくださいね! ……ではこれで冒険者登録はすべて完了です。ポープさんは今日そのままクエストを受けますか?」


 「うーん、そうだね。まずは簡単な薬草採取とチビラビットの討伐のクエストでも受けようかな」


 「はい。どちらも無期限の常時クエストなので、いつでも取れた時に持ってきてください」


 「わかったよ。それじゃあ、行ってきます」


 「はい! 頑張ってください!」


まずはレベル上げとお金稼ぎをかねて採集クエスト&討伐クエストへ。

ほんとの中世にはギルドはなかったらしいですね。

ちなみに私はマリちゃん派です。


ご意見ご感想は三人目だとおもうから……


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