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異世界への扉〜今日はどこ行く?〜  作者: Hippopotamus
序章 君が望むならば
6/15

子供は怪我をして学び、大人は怪我をするとへこむ

 ギルドを出た俺は、クエストに向かうため南門へと歩き出した。

 ちょうどライトは時間帯が違ったのか、違う門にいたのか会うことは出来なかった。


 途中数匹のチビラビを蹴散らしながら二時間ほど凸凹の道を進み、草原を抜けると森の入り口に着いた。


 さて、まず薬草から集めていくか。 


 意識を切り替え、表示をオンにして森の中を探してみる。おっ、結構生えてるな。これなら結構すぐ集まるかもな。

 薬草と表示されている草を慎重に根っこから引き抜くとアイテムボックスに仕舞っていく。

 一時間掛からないうちに五十個の薬草を集めることが出来た。


 よし! 薬草はこれくらいでいいか。じゃあ次はチビラビを狩っていくか。


 森の入り口に戻りチビラビットを狩って行く。二時間ほど掛かって二十匹ほどのチビラビットを倒しレベルも順調に上がり4に上あがり、異世界人と武道のジョブレベルも2に上がったのでそろそろ帰ろうかとしたその時だった。


 ガサガサと後ろの茂みの中から大きな1.5メートルほどの大きな牙を生やした茶色いイノシシのような魔物が現れた。

 表示で確認すると『スモールボア』となっていた。


 おいおい、だからこれでスモールかよ。


 そう思っているとぶるるとボアが鳴きこちらに突撃してくる。その大きさに少し足が震えたが、ばんっと両足を叩きこちらに向かってくるボアをマタドールのようにギリギリで躱した瞬間、かなりの風圧を感じる。チビラビよりは全然早そうだがレベルが上がったお陰か問題なく避けれそうだと思っていると、もう一度Uターンしてきたボアが突撃してくる。

 今度は躱しざまにボアの横っ腹に拳を打ち込む。 だんっという音とまるでタイヤを叩いたような感覚に少し驚く。若干、横滑りしたがどうとでもないという顔でこちらを向く。


 うーん、やはりスキルを使わないと通らないか。


 さらにバカの一つ覚えのようにボアが突進を仕掛けてくる。

 今度は突進に合わせ連撃を目と肩の辺りに当てると、どんっどんっという音とともにぴぎぃと泣きながらボアが転がる。下のゲージを見ると三割ほど削れている。よしよし、ちゃんとダメージは通るようだ。さらに怒ったように向かってくるボアに向かってもう一撃スキルを当てまた三割ほど削る。

 しかし、この声と拳の感触は少し精神にくるものがあるな。だがこれをいちいち気にしていてはこれから冒険者としてやってはいけないだろうと考えていた時だった。 

ふと前を向くとボアの姿がない。

 その時、視界の端に茶色いものがすごい勢いで向かって映るのが微かに見えた。

 やばいと思いとっさに横に避けた瞬間……どんっという音とともに左足に重い痛みが走り二メートルほど吹っ飛ばされる。


 「……痛っ!」


 やばいやばいやばいと全身から汗がどっと流れる。 


 くそ、油断した。何やってんだ俺は!戦闘中に敵から気を逸らすなんて。いや、今はそれどころじゃない。どうする?どうやらとっさに躱したお陰で刺さりはしなかったが、あと数分は痺れてこの足じゃ碌に避けられないだろう。


 ぶるると鳴き片足を地面に擦り上げながらどどめをさしてやろうと言わんばかりに突進の準備をし、次の瞬間ダッとこちらに向かって今までの最大の速度で向かってくる。


 くそ!考える時間もない! 


 もうやるしかないと腹を決めると目をつぶり、ふぅーと息を吐きながら一度、軽く身体の力を抜いていく。

 落ち着け、焦るな、集中しろと心の中で唱えながら、目をゆっくりと開け、左足を少し引くと軽く開いた手をゆっくりと前に出し構える。


 ものすごい勢いで駆けてくるボアが体に当たる瞬間、左足を少し前に動かし左手をボアに添え相手の力の流れをほんの少しだけ変えてやる。

そして右足をボアの足の前に出すと右手の掌を牙に軽く押さえるように当て、足に引っ掛かったボアの重心が前方に移動したのを感じた瞬間、円の動きを意識しながら右手の掌で軽く下に押し出すと同時にボアの前足に引っ掛かけている俺の右足を一気に払うようにして蹴り上げた。


 ――――ブオッ!


 勢いを抑えきれず転びながらも俺はボアが宙を飛ぶのを見た。 ぐるぐると回転しながら二メートルほど飛んだボアはドンッと音を立てて地面にぶつかり血を吐くとばったりと動かなくなった。そして光の粒子となって宙に消えていった。


 それと同時にピローンと電子音が鳴ったのでジョブを見てみると武道家のレベルが一つ上がっており何か加わっていた。


・武道家Lv.3――合気道(派生)NEW


 さらにスキルを見てみた。


武道家 Pスキル:武道の心得 受け身 

Aスキル:連撃 蹴撃 Sスキル:天上天下(合気道)NEW



 新しくスキルも覚えたみたいだ。多分レベルが三になったからだな、しかし天上天下ってのさっきの技か?ステータスをみるとレベルが5に上りHPが10、MPが15も減っていた。まぁいいか強くなったみたいだしな。


 歩けるようになるとさっきまでボアがいたところまで行き、手を合わせ一礼した。改めて弱肉強食の世界だと思い知らされた。なんとかまぐれで上手くいったからいいものの一歩間違えていれば俺もああなっていたかもしれない。そう考えると少しだけぞくっと背筋に冷たいものを感じた。


 よし、帰るか。

 顔をあげると町に向かって歩き出した。

 途中さらに数匹襲ってきたチビラビットを倒し、また二時間ほど掛けて町まで帰るとクエスト報告のためにギルドへ向かった。


 ギルド内は多くの人でがやがやとしていた。トリスがいるのを見つけるとその列に並ぶ。

 15分ほどして自分の番が回ってきた。


 「ホ、ホープさん! 無事だったんですね。 帰りが遅かったので心配しましたよ」


 「ああ、ちょっとあって少し怪我したけど大丈夫だったよ」


 「そ、そうですか。 気を付けてくださいね。 えーっと、じゃあクエストの報告でよろしいですか?」


 「ああ、頼むよ」


 そういってカード化して渡す。


 「はい、えーっと……ってええ!! ホープさんチビラビット26匹も倒したんですか! それにスモールボアまで! し、しかも2つもレベル上がってるじゃないですか!」


 「ちょ! トリス、声が大きい!」


 「す、すいません……。 じゃなくてこれどういうことですか!? 説明してください!」


 そういって俺に詰め寄ってくるトリス。どうやらあまり普通ではありえないことだったらしい。

 まぁ当たり前か、獲得経験値増加に必要経験値減少までついてるからな。しかしどうする。まぁ正直に言うしかないか。仕方ない自分の甘さが招いた結果だ。


 「ああーっと、これはな……。 実は友人から聞いて知ったんだが俺はあの『渡り人』ってやつらしいんだよ。 だからじゃないか?」


 「『渡り人』ってあの『渡り人』ですか? ホープさんが? ……確かにあの『渡り人』だとしたらありえないことじゃないですが……。 ほんとなんですか?」


 「ああ。 どうやらそうらしい。 一応特徴は一致してるだろ? あ、そうそうそれに一応痣もあるぞ、ほら」


 そういってシャツの襟を下げ痣を見せる。


 「……確かに聖痕らしきものは確認できますね。 うーん。 一応この事は上に報告させてもらってよろしいですか?」


 「ああ、構わないよ。 ただし他の冒険者の奴らにはバレないようにしてくれないか? あまり目立ちたくないんだ」


 「はい。 その点についてはしっかり守らさせていただきますので安心してください。 それじゃあ初クエスト達成おめでとうございます。 これからもがんばってくださいね」


 「ああ、ありがとう」



* * *


 「……という事があったんだよ」


 「あったんだよじゃないよ! あんだけ僕に釘さしておいて、自分でバラしちゃったの!?」


 あの後、二階で素材を売った俺はハンナさんの宿に戻り、ライトと合流したあと二人で夕食を取りながら今日あったことを話していた。

 ちなみに今回で結構お金を稼ぐことが出来た。


 「まぁ仕方ないだろ、あの状況じゃ」


 「しかも、なんかもう別の友達作ってるし」


 「いや、トリスはギルド職員として接してくれてるだけだろ」


 「もう、いいよ!」


 「まぁまぁそんなむくれんなって」


 「別にむくれてないよ」


 「機嫌なおせって、今日は俺の世界の話してやるからさ」


 「やった! ほんとかい!!」


 目をキラキラさせて喜ぶライト。


 ちょろ過ぎる。 チョロイン星の王子だな、こいつ男だけど。


実は今回ある理由で急遽書き直しました。

何か矛盾、誤字脱字があればご連絡ください。


天上天下 相手の力、体重に応じてダメージを増加させる技


今回稼いだ額 14000ペカ


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