表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ログアウトって何ですか?  作者: しら玉草
花屋の娘のマーガレット
6/30

変な人…

今回短めです。

私はいつまでここに居れば良いのだろう?

…知ってる、サービスが終了するまでだ。


いつものようにウサギ型のモンスターを眺める。

そして思うのだ、羨ましいな…って。

動き回って、大きなマップの好きな所に行けて。


まぁ…初心者に狩られてランダムにリスポーンする身になってみないと分からないけれど。

彼らは彼らで思うところがあるのかもしれない。

叩かれたら痛いのかな?…いや、それは無いかな。

私は彼らに叩かれても痛くなかった。

耐久力と怯み値が設定されているだけだった。




…ふと、ウサギを狩る冒険者の中に変な冒険者を見つけた。

皮の鎧を着た小柄な少年アバター、ここまでは良く見るのだが武器がおかしい。

持ち手に蔓のような装飾が施された、植物を思わさせる模様の真っ直ぐな剣。

固有の名前を持ったユニーク装備である事は間違い無いと思う。


剣を一回振るだけで体勢を崩し、アクションゲージを使いきり長いディレイを有していた。

おまけに一回一回体勢を崩しているため攻撃が当たらない。

装備には適正レベルが存在する。…あれは明らかに適正レベルを越えていた。


いくら強い剣でも一回振るだけで疲れる上に当たらないのでは意味が無い。

あれなら青銅のナイフかなんかの方がマシなはずである。



…しまった、見すぎたようだ。目があってしまった。

少年は私の元に駆け寄ってくる。


「ふぅ…、戦うのって難しいですね。コツとかありますか?」

ずっと見ていたのでアドバイスでもくれるのかと思って近付いてきたようだった。

少年は私の花畑で座り込む、座ると体力の回復が早いのだ。


「え…、あの、ごめんなさい。私は…戦えません」

「へー、支援職の方ですか?それとも製造?」

「…NPC」

「…」

「…」

妙な沈黙が二人の間に生まれた。


「…あ、でも、一つだけ」

「あ、はい!」

「武器…変えた方が良いかも?」

「マジですか!これめっちゃ強い武器だと思ってた!」

「あ、うん。武器は…強いの」

「では何故?」

「あうー…、えっとね。君が、まだ弱いの」

「なんと…、弱いと使えないのか…」

「…うん。武器のステータスに適正レベルって書いてない?」

「えーと…90!?…ショックだ」

「ごめんね?」

「いえ!教えてくれてありがとうございます!また来て良いですか?」

「へ?…あ、うん」


少年は町の中へと走っていった。武器を買うつもりなのだろうか。

それよりも、どこであんな武器を手に入れたのか気になる。

適正レベル90、設定できる最大値だった気がする。


…また来て良いですか…か。

「ふふ」


「何か面白い物でもありました?」

「ひゃう!」

目の前に少年が居た。


「な、なんで居るの?」

「名前、言い忘れました、アレクです」

「あ、ああ。それは…ご丁寧に」


アレクは再び町の中へと消えていった。


「変な人…」



見た目だけではNPCかどうかの判断は出来なかったりします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ