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ゲームクリエイター ~とある少女の冒険譚~  作者: メープル
王都躍動編
66/94

65.ナツ失踪事件

少し長めです。

私のショートした思考回路が修復されてから数分後。

何やら慌てた様子の兵士さんが、私を見つけるなり駆け寄ってきた。

相当慌てていたが、話を要約すると「王様が私を呼んでいるから、一緒に王宮に来てほしい」とのこと。

今回はアッシュ君が目当てではなく私に用があるらしい。

何かあったのかな?まぁ呼ばれてる以上は行かなきゃ不味いよね。


アッシュ君はそれを聞くなり何やら訝しげな顔をしてから、私に抱きついてきた。


「ちょっ?!あああああアッシュ君?!!」

「えへへ、おまじないだよ!」


アッシュ君はそういうと、ちょっと照れくさく笑った。

治ったばかりの思考回路がまたショートするかと思ったが、場合も場合なのでしっかりこらえた。


「では行きましょう。少し近道で細い道を通りますがご容赦ください」


そういって兵士さんは歩き出す。

アッシュ君はおなかがいっぱいになって眠くなったのか、ベンチに座ってそのまま寝息を立て始めた。


私は兵士さんにひたすらついていく。

最初は大通りを歩いていたけど、だんだん道幅が狭くなっていき、ついには人の気配すら感じない路地にたどり着いた。

その先にあったのは、木でできた小さな扉。

兵士さん曰く、ここは王家が隠し持っている秘密の通路なのだそう。

ここを抜けると、お城のとある部屋にたどり着くらしい。


私が扉に手をかけようとすると、兵士さんに止められた。


「忘れるところでした!この扉をくぐるためにはとある魔法が必要なんです!今掛けますね……」


そういって兵士さんは私に手のひらを向け、


「……眠れ(スリープ)


と呟く。


その瞬間、猛烈な眠気に襲われた。

突然のことに驚き、抵抗する間もなく私は眠りについてしまった。























意識が戻ると、真っ先に目に映ったのは細めの金属の棒……いわゆる『鉄格子』だった。

どうやら眠らされた後、この牢屋のようなところにうつ伏せに倒されていたらしい。

両手は自由に動かすことができたので、何とか体勢を立て直す。


まずは辺りの状況を把握するため、軽く辺りを見回す。

といっても、明かりも少し遠くにランタンのようなものがぶら下がっている他なく、手元も目を凝らさないとよく見えない。

この牢屋は岩石をくりぬいたようになっており、一種の洞窟のような風貌だった。

大きさは…鉄格子があるところを底辺として10m×8mってところかな。ちょっと大きい教室くらい。


《条件を達成しました》

《スキル”暗視Lv1”を取得しました》


ずっと暗闇に目を凝らしていたからか、暗視なるスキルを取得した。

視界がクリアになり、暗くてよく見えなかった牢内の様子が見えてくる。



人がいた。

牢の一番隅、鉄格子から一番遠いところに、人が座り込んでいる。

服装からして女の子だ。

少し近づいてみる。

手を伸ばせば届きそうなくらいまで近づくと、女の子が話しかけてくる。


「はぁ……何かご用ですか?」


向こうはとっくにこちらに気が付いていたらしい。


「えっと、用ってわけでもないんだけど…」

「そうですか」


素っ気ない態度を崩さない女の子。

でも、どこか違和感を覚える。

何かを隠してる……我慢してるって感じがする。


《条件を達成しました》

《スキル”暗視Lv1”が”暗視Lv2”になりました》


スキルのレベルが上がり、また一段と視界がクリアになる。

そして、女の子のことをはっきりと視認できるようになった。


「…………っ!?」


そこにいたのは、『ピンクがかった銀色の長い髪』の少女。

少女の目は虚空を見つめている。口の端からは血が滴っていた跡がある。

腕にはたくさんの痣。おそらく殴られるか何かの攻撃を死なない程度に受け続けていたのだろう。

昼間の様子とは打って変わった少女のの様子に衝撃を覚えながらも、内心は烈火のように怒りが吹きあがっていた。


見ず知らずの人だとしても、私と同じくらいの少女が暴行を受け、何かのはずみで命を落としかねない状況に立たされているだけで、私の怒りに火をつけるのは簡単なこと。


絶対に許さない。

反撃の狼煙を上げろ。

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