39.主要都市 グレイシア
少し短めです。
街と町が混在していますが、仕様なので気にせず読み進めてください。
理由は、それぞれの漢字の成り立ちにあります。
町は”区画”という意味合いですが、街の元は”十字路”から来ています。
そこから、人が行き交うところ。つまり”人が集まるところ”という意味になったそうです。
前話の段階では街の規模については触れていなかったので、”町”という表現にさせていただきました。
質問が多発しそうなので、この場を借りて説明させていただきます。
翌日。
気がつくと辺りは明るくなっていて、皆が起き出しているのが見えた。
……寝るの忘れてたぁ……
私はみんなにバレないようにこっそりと野営地に戻った。
「ふわぁ……」
野営地の片付けも終わり、移動し始めてから数分。
馬車の揺れが心地よく、ついあくびが出てしまう。
「あら、寝不足ですか?」
スーシャさんがそう尋ねてきた。
「は、はい……よく眠れなくて」
「まぁ、慣れていないことでしょうし、眠れなくもなりますよね。まだまだ時間はありますし、ゆっくり休んでは?」
「……いいんですか?」
「はい、勿論ですよ。ゆっくり休んでくださいね?睡眠不足はお肌の敵ですから」
左目でウィンクしながらそう答えるスーシャさん。
「ありがとうございます……そうさせていただきます……」
私は眠気に耐えきれず、ゆっくりと瞼を閉じた。
「……んぇ……?」
目が覚めると、今までは舗装されていない道だったのが石畳の道になり、道幅も広く、周りに人影もちらほら見え始めてきた。
遠くの方には、たくさんの建物が見える。
「見えてきましたね。あれが、私の領内の主要都市、”グレイシア”です」
あれが……この世界で初めての街。
……なんか、ドキドキしてきたな。
グレイシアは、街の周りが大きな壁に囲まれている。
門は正面の一つだけで、壁の厚さは3mほど。
1km四方ほどの大きな街だ。
辺りは平地で見晴らしもよく、モンスターなどの襲撃を察知することが容易だ。
さらに防犯対策も徹底されており、この街ではここ数十年目立った事件は起こっていない。
こんな夢のような街が出来たのはひとえにスーシャの努力の賜物だろう。
20年ほど前、この街は荒れ放題になっていた。
壁にはヒビが入り、各地にスラム街ができ、役人には賄賂が渡されたり……とにかく酷い有様だった。
彼女がこの街の管理を任されたのは今から15年前。
まだ成人していなかった彼女は、街の実情を見て涙した。
そして、街の改革へと乗り出したのだった。
家を増築し、壁を補修し、役人を信頼できる者に変え、今までの風習を一新した。
今のこの街の原型が完成したのは、およそ12年前。
3年でここまで発展出来たのは、スーシャの内政力と優しさによるものだろう。
この街を訪れた人は、この街の美しさに涙することも少なくない。
外見も内面も美しい、この街に。
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