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おむすび屋、虎さん。 第24話 ルゥナ、ひとりで屋台番



「……虎さん、ほんとうに寝ててください!」


> 「いや、でも、屋台が……」




> 「うごいたら握りませんよ!? 塩むすび、三日抜きです!!」




> 「そ、それだけは勘弁してくれ……」




――こうして、風邪で寝込んだ虎さんに代わり、

この日、ルゥナはひとりで屋台を任されることになった。



「さて……できるかな……?」


炊飯、火の加減、塩の調整――

虎さんのそばで見てはきたけれど、すべてを任されるのは初めてだった。


> 「大丈夫、あたし……虎さんに教わったこと、ちゃんとできる!」




そう呟くと、まるでおまじないのように、手を合わせて一礼する。



屋台には、ぽつぽつとお客さんが来はじめた。


> 「あら、今日はお嬢ちゃんだけ?」




> 「はい! でも、おむすびはちゃんと握れます!」




その日、ルゥナが握ったのは――

“たまごそぼろ”の甘じょっぱいおむすび。


優しい味わい、ふんわりとしたご飯。

彼女の小さな手で握られたそれは、どこか“ほっとする”味だった。



> 「……なあ、嬢ちゃん。これ、どこかで食べた気がする……」




> 「あたしが、小さいころ、お母さんが作ってくれたのに似てる……」




お客の目に、うっすらと涙が浮かぶ。


ルゥナは、はっとして小さく微笑んだ。


> 「じゃあきっと、“記憶のむすび”になったんだと思います」




> 「あたしも、虎さんのそばで、いっぱい“思い出”を見てきたから……」





夕方、屋台を片づけて帰ると、布団の中から虎さんの声が。


> 「……どうだった?」




> 「完売です! でもすっごく緊張しました!」




> 「ふふ、なら合格だ」




虎さんは弱々しく笑いながら、ルゥナの頭をぽんと撫でた。


> 「あの屋台はな、味よりも“気持ち”を売る店なんだ。

お前なら、きっとそれが伝えられる」




その夜、ルゥナはひとりで握ったむすびを持ち、

虎さんの枕元にそっと置いた。


中身は、“そぼろたまご”――

彼女が“はじめて作った味”だった。



---


誰かのために握るむすびは、

小さな手からでも、“記憶”と“やさしさ”を包みこむ。





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