魔導師のレベルは上がる
「いたぞ! あれがスライミースライムだ」
スライミースライムは普通のスライムの群れに紛れて生活するという習性があり、見た目は普通のスライムと一緒なので区別するには切断系の魔法を当てるしかない。
「あれならミーアちゃんでも片手で倒せそうなの、あれが役に立つの?」
あれ?シャルのミーアの呼び方がミーアちゃんになっている。1000歳差の友達か、シャルは悪魔城から一歩も出なかったから友人と呼べるものはいなかったんだろうな
「ユータさん、ここからどうするの?ただあれを倒すわけでもないでしょ」
ミーアが俺のやることをわかってるかのようにニヤつきながら言ってくる
「まあ、見とけよ。とりあえずこのフロアから出てくれ」
「わずかな隙間を開けて出入り口を強く囲め」
「ウォール」
まずはスライミースライムをこの20m×20m程のフロアに閉じ込めて俺も外に出る
「20回、0.1倍」
「ウィンドカッター」
俺は壁に開けておいた小さな隙間からスライミースライムに狙いをつけウィンドカッターで分裂させていく。スライムが分裂する条件は切断系の魔法をただ「当てる」だけなので威力は関係ない。またウィンドカッターの刃は薄いので隙間からスライムが漏れることはない。
2匹のスライムが4匹になり、4匹が8匹になり……倍々に増えていく
合計20回打ったので200万匹ほどになったと思うが……穴を覗くと透明なスライムがギチギチと奥の壁が見えないほどに天井まで圧縮されてフロアに詰まっていた
「うげ、きもちわる」
「ほんとなの、こんなきもちわるい生き物を出せるやつなんてビャーレンかユータしかいないの」
ミーアとシャルが俺の方をジト目で見てくる。そんな目で見ないでください、怖いです、しかしシャルもビャーレンとは懐かし名前を出てきたな、ゲーム内でのビャーレンって言ったらでかい目玉の悪魔で
人間と悪魔のキメラを創ろうとしているのっていうとんでもない悪魔じゃないか、あんなやつと俺が一緒にされてんのか……
「このエリア全体に」
「ファイアウォール」
俺は炎魔法のスキルレベル3で使うことの出来るファイアウォールを、発生場所をエリア全体にし、スライムを焼き尽くす。火柱がスライムを包み、フライパンに水を垂らした時のように、ジューと言う音と共に蒸発していき、1分ほど経つと音が消えた。ステータスカードを見るとレベルが上がってる。よし、成功だ。
「よし、成功している。次はミーアの番だぞ」
「う、うん、きもちわるいけどやってみる」
「100倍」
「ファイアボール」
ミーアは俺と同じようにスライムを狩る、タワトンに行く時に教えた「100倍」の詠唱も上手く使えるようになったようだ。100倍なだけあってミーアのファイアボールはスライム達を一撃で屠った
「ミーア、どうだ、レベルは上がってるか?」
「すごい、レベルが沢山上がってるよ、ほら、シャルちゃん前まであ102レベだったのが今は312レベだよ!」
「ああ、それは良かったの」
自分に関係ない話ちは興味がないのかミーアの自慢を華麗に棒読みでシャルが受け流している。まあシャルはレベル1000超えだからな。俺もレベルが350になったしこの作戦は大成功だ。
「2人とも、クエストはクリアしたがまだこの洞窟は続くみたいだ。最後まで進んでみないか、俺も新しい魔法を試してみたいし」
「大賛成! 私も新しい魔法使ってみたい!」
「私も行きたいの、今日私自身の手ではモンスターを倒してないの」
よかった2人とも賛成してくれた、たしかここの洞窟にはボスがいたっけ、そんな強くなかったはずだから一人で10匹くらいは余裕で相手にできるくらいだったが……
最後のフロアまでの道中にもモンスターはいたが強くないので瞬殺していく。モンスターが弱すぎたのかどちらが次のフロアのモンスターを早く狩れるか勝負していた
「黒槍」
「また私の勝ち」
「またシャルちゃん壁を貫通して倒してる、そんなの負けるに決まってるじゃん」
シャルは長年培ってきた魔力感知でモンスターを探し、壁をも貫く「黒槍」で次に行くフロアの敵を倒してる。これで負け無しの30連勝だ
「ミーア、魔力感知の練習をしてればいずれお前にも同じことができるようになるぞ、シャルはその魔力感知を長い時間鍛えてきたからこんな芸当ができるんだ」
「ほんとうに? じゃあシャルちゃん魔力感知のご教授よろしくお願いします」
「いいの、でも私は厳しいの」
ちなみに俺は転生ボーナスか知らないが魔力感知は完璧だ、あと2フロア進むと大きな魔力を発しているものに出会う、おそらくボスだろう
「もう少しでボスに着くぞ、気を引き締めていけ」
「了解しました、ユータ隊長!」
「わふぁったの」
ミーアは少しふざけているし、シャルはあくびをしながら返事をしてるが、今から戦う相手は強くないし、こんな感じでも大丈夫か、通路からこっそりと覗いてみるとここのボスであるはずの身長が10メートルほどあるエンペラーオークは眠ったようにそこにしんでいる。オークの全身の切り傷から血が吹き出していて、床に滴っている血もまだ新しい
つまりこいつを倒した奴はまだ近くにいるということだ
「やっと来たか、待ちくたびれたよ」
頭上から声が降りてくる、上を向くとそこには二本の角を持ち翼を生やしたものがゆっくりと羽ばたきながら降りて来た、服装や顔は光る苔が天井に生えてないため暗くて見えない
雰囲気はシャルに似ている、悪魔族か?
「ユータ、ミーア気をつけてこいつは魔族。私たちを悪魔城に閉じ込めた悪い種族なの!」




