家に帰ろう。
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温泉をたっぷり堪能したカイン達は翌日帰るための準備をしていた。夏はもう目前だが山間にあるためか、吹いてくる風が少し冷たい。
風が無くなれば温泉の蒸気で温められた空気が心地よい温度に保ってくれている。いつもの様にカインは宿泊所を【デリート】で元の土に戻そうとしてふとある考えが思い浮かぶ。
「ねぇ、バルビッシュ?このまま宿泊所をここに残していくのはダメかな?」
「特に問題は無いと思いますが、わざわざ残される理由は何でしょうか?」
「うん…【転移の杖】でね、転移する時って街や村を転移先に選択するんだけど、術者…【転移の杖】を使用する人が訪れた事のある場所に限定されるんだ。だから僕がここを温泉街って認識できれば【転移の杖】で移動できないかなって」
「…それで、宿泊所を残して場所のイメージをしやすくするという事ですね」
カインは「そうそう」と同意をしてもう数件宿泊所や脱衣所などを建てておいて外見的に村の様にしておきたいと伝えた。バルビッシュはガーディ達と少し話し合いをして数件の宿泊所の建設に加え温泉地を囲む外壁の建設を提案する。カインは二つ返事で外壁作成の了承をすると早速、宿泊所を5件と森側に高さ3mほどの外壁を一気に作成した。
温泉地は山間からカイン達が通ってきた森に向かって扇状地の様な地形になっており、端から端まで800m強あるがカインは難なく高さ3mの外壁を一気に作り上げたのだった。以前からそのくらいは作成できたのだが、今回は今まで以上にスムースに出来て内心カインは驚いていた。
『あれ?とても簡単に出来たぞ?レベルでも上がったのかな…今日寝る時にでも確認してみよう』
カインが作った外壁や宿泊地には入口が無いので簡単には侵入が難しくなったが、元々人が来るようなところではないし野生動物をこの数日温泉地で見ていないので硫黄の匂いが漂う温泉地には野生動物が立ち入る事は無いと考えたのだった。また、ルージュとの戦闘の前にカインの【魔法の腕輪】に収納した【体力回復】と【魔力回復】の温泉水は効力を失っていなかったが、ガーディが持つマジックバックの中に収納したそれらは効力を失っていた。
時間停止の効果が無い【マジックバック】では効果が失われると結論を付けて、少量だけカインの【魔法の腕輪】に入れて持って帰るにとどめた。もちろん【美容の泥】と名付けた例の泥は食料を収納していた大樽を空にして詰めるだけ詰め込んだ。【転移の杖】での移動が出来ればこの温泉地に入浴に来ればよいが、出来なかった場合に備えての事だった。バルビッシュとガーディはあまりピンと来ていないようだが、カインはこの泥は確実に問題になると覚悟をしていた。
「よし、準備完了だね。後は配管を作りながら帰れば目的達成だね」
「「はいっ」」
カインの号令にバルビッシュ達が元気に返事をして温泉地を後にした、カインは帰りながら【高温の温泉】が湧き出ている池から温泉パイプライン作成しサンローゼ領まで温泉を引く意欲に燃えていた。
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