温泉地発見。19
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両手を上げて表情を歪めながら近づいてくる、カインは面倒くさそうに前蹴りでカウンターを合わせてルージュを吹き飛ばした。その小さな体からは想像できない程の膂力で蹴り返したのだ、軽く10mは吹き飛び地面に這いつくばる。
「お前に本当の炎を味合わせてやるよっ、【黒焔】」
カインは手のひらに黒い小さな焔を生み出すと軽く息でフッと飛ばすと黒い小さな焔はゆらゆらとルージュに近づき身体にあたると爆発的に広がりルージュを焼き尽くした。後には黒い人型の模様だけが地面に残っていたがそれも時間の経過と共に消えて行った。
「よし、終了。身体を返すぞ」
アレス神がそう呟くとカインの意識が身体に戻る、それと共に空間がゆがみ元の更地にされた温泉地に戻って来た。カインはそこで漸く力を抜いて地面にペタンと座り込んだのだった。
「あー、疲れた。ちょっとしばらく動けそうにない…あーあー、せっかくの温泉があいつのせいで台無しだよ。どうしてくれるんだっ!」
《あー、それなら心配いらないぞ》
「えっ?アレス様まだいらっしゃたのですか?」
《…後始末をしなくてもいいなら帰るが…》
ちょっとすね始めた男神アレスをカインは必死にフォローし機嫌を直して貰った。それから起きた事はカインは一生忘れないだろう。これぞ神の御業と思う出来事が起きたのだった。男神アレスは、オジキを呼ぶと言って男神クロノスを呼び出し、温泉地をルージュが魔法を使う前に巻き戻して直した。
そして、少し整地すると言って無数に存在していた温泉だまりを5個にまとめ【体力回復】【魔力回復】【病気回復】【高温の湯】【温泉】にまとめた。もちろん美容の泥もかなり大きな沼としてまとまった。
天変地異の様な事をさらりと行い、男神アレスは《またなっ!》といってカインの意識より消えて行った。
男神アレスが行ってからしばらく時間が経つとバルビッシュ達が意識を戻しカインはここでも大泣きしながらバルビッシュ達の無事を喜んだのであった。温泉地に宿泊所を建て食事をするとカイン達は泥の様にただひたすら眠ったのであった。
ーーー
「カイン様、カイン様?もうそろそろ起きてください」
「う~ん、もう少しって!ゴメン、今何時?」
「お昼過ぎですがあれから何日たったお昼なのか分かりません」
ララの返答にカインは「あちゃ~」と頭を抱えた、2週間の予定でサンローゼ領を出てきたが何も連絡をせずに延長したらまたルーク達が心配してしまう。もしかしたらすでに捜索隊が派遣されているかもしれないと思うと頭を抱えるのであった。
カインが起き上がってからバルビッシュ達と確認した結果1日しか経っていない事が分かりほっと一安心をしたら今迄忘れていた温泉入りたい欲がムクムクと持ち上がり、もう一日だけ滞在をして温泉を楽しむことにした。
いざ温泉に入ろうとすると男神アレスが纏めた温泉はほぼ池のサイズで深さも結構あった、それに男女混浴は異世界人の転生者だと知られてしまったので、余計に恥ずかしくカインは【温泉】の近くに男女別の温泉施設を急遽作り出したのだった。
「あ~~、気持がいいぃーー」「「あ~~~」」
男湯に入ったカインとバルビッシュ、ガーディがお湯に浸かり声を上げてリラックスするのだった。探し当てた【温泉】は単純泉で無色透明、効用は腰痛、肩こり、リュウマチなどの一般的な効用だったがとても気持ちが良かった。
「ねぇーなんでララのは浮かんでいるのっ!」
「さあ、何故でしょう?特別な事はしてないのですが…う~ん、カイン様への愛が一杯詰まっているのかもしれませんね」
女湯よりガールズトークが聞えて来てカインは顔を赤らめて少し湯に潜った。ガーディ達は全く意を介さずゆったりと湯に浸かっていた。
「はぁ~、サンローゼ領に来て毎日浴場で湯に浸かっていたが外で入る【温泉】はまた別格に良いな」
バルビッシュが頭に手濡らした手拭いを乗せて青い空を見て呟く、ガーディがそれに応える様に”うんうん”と頷いていた。春の青い澄んだ空に大きな白い雲がゆっくりと流れて行くのを眺めながら入る温泉に、カインは幸せをかみしめるのであった。
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