アーサーの結婚式。12
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カインが「トロンさん」と呼ぶとトーラリオン王太子はとてもにこやかな笑顔でサムズアップをしてカインをハグする。カインは心の中で『やっぱりあの父親の子供だ』と不敬に近い事を思っているのだった。しばらくカインの身体をハグしながら触っていたトロンだったが身体を離し言った。
「カイン君、少し大きくなった?そうだ、背が少し伸びているね。何故だかとっても嬉しいよ」
まるで親戚のおじさんの様にカインの成長を確かめ喜んでいるトロンをカインはどうしても憎めなかった。トロンは一緒にいるベンジャミンにも気づき話を始めたが後ろにいた女性に背中をつつかれ我に返ると直ぐに居住まいを正しカイン達に紹介をする。
「ベンジャミン先生、カイン君。私の妻のシェリーだ。今回の旅に同行する事になったからよろしくねっ」
トロンはそう明るく言い放つとバチンと音が鳴る位はっきりしたウィンクをベンジャミンとカインに飛ばすのだった。二人はあまりの驚きにぽか~んと大口を開けてびっくりし固まった。
「お初にお目にかかります、トロンの妻のシェリー=ページです。いつもお二人の話は夫から聞いていてぜひお会いしたいと思っていました、夫がまた一人で出かけると知って押しかけてしまいましたの。よろしくお願いしますね」
「「いやいやいやいや」王太子妃シャーリー様ですよね?」
ベンジャミンとカインがハモりながら否定し、カインが王太子妃の名前を確認した。シェリーは何故かとても不満そうな表情になり少しもじもじしながらカイン達を見て言う
「トロンの妻のシェリー=ページだもん」
カインはそのもじもじ姿ですこしうつむき加減でもう一度偽名をいうシェリーを見てカインの本音がポロリと漏れる。
「…かわいい」「「「えっ?」」」
「カインちゃん、大好きっ!」
カインの呟きに周りの大人がびっくりしている中、それを聞きつけたシェリーがカインに抱き着いた。普段ならすぐにカバーに入るララですら間に合わない程の素早さでカインに抱き着きほほをくっつけてすりすりしていた。
「…シェリー。そろそろ離れなさい、カイン君が困っている…」
トロンの指摘にシェリーは渋々カインから離れるが、離れ際バチンッとウィンクをして口パクだけで「またね」とカインに伝えるのだった。カインは不敬があってはいけないと直立不動のまま固まっていた「痛っ」。カインにサッとララが近づき動かないカインのわき腹を素早くつねり再起動させるのであった。
「うほぉん、ベンジャミン先生もカイン君もここにいるのはトロン=ページとその妻 シェリーなのでよろしく。私達はポートトレビスで代官の業務をベンジャミン先生に引き継いだ後、サンローゼ家に戻りアーサー殿の結婚式に出席して王都に戻ってくる予定だ」
トロンから発表された旅程にベンジャミンとカインは「「はい」」としか答えようがなかった。二人の返事を聞いてトロンはとても良い笑顔で笑っているし、シェリーは相変わらずお気に入りを見つけたような目でカインの方を見ていた。
「トロン殿下?いや、ページ様。予定を伝えるだけにカインに会いに来られたのでしょうか?」
「おっと忘れていた。カイン君すまないが、これに【魔力】をチャージして貰いたいんだ。出発前までにチャージしていたんだが一杯にならなくてね」
トロンはそう言うと側にいた執事から【魔力バッテリー】を受け取りテーブルの上に置いた。カインは何時もの事なのでそのまま「はい」と返事をして充電を始めものの数十秒で【魔力】を一杯にした。【魔力】充電を日々見ているララ達と良く分かっていないシェリーはニコニコ普通に見ていたが、トロンとベンジャミンだけは表情が引きつっていた。
『相変わらずカイン君は規格外だな、上級魔法士達20人分の魔力が必要だったはずだったんだが』
『…また【魔力循環】と【魔力操作】のレベルが上がっているな。まるで息をする様に魔力が流れている』
「トーラリオン王太子、シャーリー王太子妃っ!此方でしたか、探しましたぞ」
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