アーサーの結婚式。07
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次の日、カインとシールズ辺境伯は昨日の”カレー”騒動の話をパトリック王の威厳を保つことを最大限に気を付けながらルーク達に共有した。カインが国王陛下に”貸し”を作っていた事に大いにびっくりし取り消した方が良いのではと言い始めたが、シールズ辺境伯が問題無いと言い事なきを得た。
「しかし、あの”カレー”がねぇ?確かに素晴らしく旨い料理ではあるが…国王陛下が”貸し”を与えるほどなのか?それに、まだまだ増産の目途が立っていないのが問題だな」
「そうですね、元々サンローゼ家だけで食べる為だけの栽培で話を進めているので国王陛下に求められた場合にちょっと足りないかもしれませんね」
「ルーク、カインよ?サンローゼ家だけで食べる為だけとは少々聞き捨てがならんが?」
「そうねぇ、カインちゃん。どういう事かしら?」
カインとルークの会話を聞きシールズ辺境伯とアイシャがすかさず指摘してくる。二人ともまだ”カレー”を食べた事が無かったがその内に食べさせて貰えて、シールズ辺境伯家にも販売して貰えると思っていたからだ。
「お祖父様、お祖母様、落ち着いてください。話の流れからご推測頂いていると思いますが、”カレー”を作る材料、”スパイス”の栽培がまだ量産と言うほど出来ていないのです。それに”カレー”を作る”スパイス”の一つは世界樹の森の村で作付けされている作物なので現状輸入していますが、元々大量に栽培されていないと返答があって今の所サンローゼ家に来ていただいた時に振る舞うという事にしたのです」
カインが現状をとても申し訳ないと言う気持ちをいっぱいに込めて説明したのでシールズ辺境伯達は孫のそのような姿にそれ以上の追及は出来なかった。かわりに矛先となったのはザインだった。
「ザイン?”カレー”の材料の一つである世界樹の森の村で栽培している作物の増産はなぜできないのだ?」
「何を藪から棒に言い出すんだか…元々肉の臭み消しに使っていた調味料だから、大量に栽培もしていなかったんだよ。それにカイン様が作られた”カレー”は4種類の…おっとこれ以上は僕の口からは言えないね」
ザインがシールズ辺境伯へ反論をし始めたが、話が”カレー”の作り方に及び始めたのでザインは直ぐに口を閉じた。料理や調味料のレシピは商取引されるほどの価値がある物なので、開発者以外が勝手に第三者へ話したり、公開するのはタブーとされていた。
その様子からシールズ辺境伯は大体の事を察したのかそれ以上の追及はサンローゼ家の、身内の不利益になりかねないと考え何も言わなくなった。アイシャだけは「残念ねぇ」とこぼすのであった。
「ああ、お祖母様、そんなに悲しまないでください。他領や他家に販売は出来ませんが、サンローゼ家内で月に2回くらいは食べれるように栽培を計画しています。ですので、”カレー”が夕食のメニューの時に少し面倒ですがサンローゼ家までいらしていただければ食べれますから。ザインさん達にもその交換条件でサンローゼ領でスパイスの栽培を許可して貰いました」
カインの言葉を聞いてシールズ辺境伯とアイシャに笑顔が戻り、「ありがとうカイン」とにっこり微笑んだのだった。そしてカインは”カレー”の日がいつになるか分かり次第、連絡しますと付け加えた。
「これから毎月二回も”カレー”が食べれて孫たちに会えると思うと楽しみじゃの」
「そうですねぇ」
「国王陛下からの件はこれで問題ないが、王太子様の方はどうするのじゃルークよ」
先の楽しみが増えたとシールズ辺境伯とアイシャが喜んでいたが、シールズ辺境伯がもう一つの問題についてルークに「どうする?」と確認をした。ルークは先程迄和やかな表情をしていたが、一気に苦虫を嚙み潰したような表情に変わり、「特に何も考えていない」と答えたのだった。
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