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アーサーの結婚式。05

何時もお読みいただきありがとうございます。

よろしくお願いいたします。

「では、早速出してもらおうかカイン?」


パトリック王は何やら楽しそうにそう言うと手を揉みだしてカインが何かを取り出すのを今か今かとウキウキしながら待っている様だった。カインには全くもって何を言っているのかが分からなくしばらくあっけに取られていて固まっていた。それに気づいたシールズ辺境伯が口を開く。


「あの、陛下?先ほどからカインに何を求められているので?」


「…うん?またカインが何か楽しい物か、旨い食べ物を作ったと思っているのだが違うのか?」


シールズ辺境伯の問いに少し態度が不機嫌になった様な雰囲気を醸し出しながらパトリック王が自分の思っている事を言った。パトリック王から言われた事にカインは背筋が凍る思いだった、必死に悟られない様に笑顔を張り付けるのだった。


「…す、すみません。僕には国王陛下が何を求められているのかが分からなく。もう少しヒントを頂けないでしょうか?」


「…ふむ?おかしいなぁ~俺の【超直感】がカインが何かを持ってくると感じたんだが?外れたかぁ?」


国王陛下はカインの問いに首を大きく傾げながら組んでいた両腕を伸びをする様に持ち上げそのまま背中からソファーに倒れ込んだ。


「あ~の~なぁ~っ!そんな、不確かな事で俺達を呼び出したのかぁ!!」


シールズ辺境伯が顔を真っ赤にして目を吊り上げ叫んだ、パトリック王は少しおどけながら「そんなにおこるなよぉ~」とまったく反省した様子が無くずっと「おかしいなぁ~おかしいなぁ~」などと言い続けていた。


「あの、陛下?僕が何か持ってくると思ったのは【超直感】?というので感じたという事ですか?」


「えっ~カ・イ・ン~?俺とお前の仲じゃないかぁ~他人行儀過ぎないかぁ?」


「パトリックっ!少しおふざけが過ぎるぞっ!家の孫をこれ以上からかうのは止めろっ!」


パトリック王の態度にシールズ辺境伯がついに切れて立ち上がりながら大声でパトリック王に詰め寄るのだった。それを見て焦ったのはカインで実は心当たりがあるのでシールズ辺境伯を急いでなだめる。そして全く取り出す気はなかった”カレー粉”の入った入れ物を応接室のテーブルの上に置いた。


パトリック王はそれを見てニヤリと不敵に笑いカインの取りだした入れ物を手に取る。応接室にいる執事達が慌てて駆け寄ろうとするがパトリック王がそれを手で制し自らの手で入れ物のフタを取る。フタを取り外すと入れ物から”カレー”の豊潤な匂いが広がった。


「ウォーうぐっぉぉぉぉーーーー」


パトリック王は叫び声の一言目を発した後、とっさに自分の口を押さえ声が出るのを防いだ。手で塞いだ状態で叫び続けているので何とも奇妙な状態になっているが止める事が出来ないらしい。ついにはその状態で涙を流し始めたのだからシールズ辺境伯とカインはただただ、見守るしかなかった。


「…いや、すまなかった。余りにも突然で、びっくりしてしまってな。ジョナサンちょっと待っててくれな」


パトリック王はそう言うと一回咳払いをして『あーあーあー』と言いカインの方を真直ぐ見て日本語で話し始めた。


『カインっ!ありがとうなぁっ!もう二度と食べれないと思っていたカレーが食べれると思うとつい興奮して叫んでしまったっ!しかし、良く見つけたな?って言うかこれはどこで買ったのだ?』


『…陛下。僕も数年ぶりに食べた時は感動しましたが、大の大人が叫ぶ程なのでしょうか?もう少しご自身の立場を考えて行動された方が良いのではないですか?』


『なんだよ急に、子供のくせに大人のような口調で。お前は数年かもしれないが俺にとっては50年以上だっ!コメだって最近やっと食べれたんだぞっ!これが興奮せずにいられるものか、それに今はお前達ほぼ身内しかいないのだから良いだろうがぁっ!』


パトリック王はカインのもっともな指摘に感情が抑えきれずにほぼ怒鳴っているかのような口調で反論をする。最後にはカインに詰め寄るかのような行動に出たのでとっさにシールズ辺境伯が間に入った。それを見て少し我に返ったパトリック王は「大丈夫だ」と伝え話を続けた。


『で、このカレー粉は何処で買えるんだ』


『まだ、何処にも売っていません。ほんの1か月前に試作品を作れたのがこのカレー粉ですから。まだまだ原材料が十分な量用意できていないので販売なんて考えてもいません』


『なにっ!直ぐに量産体制を、農地拡大でもして生産するんだっ!もう口の中がカレーになってしまっていて居ても立っても居られないぞっ!』


再び興奮して大きな声になり始めたパトリック王をカインは両手で”ドウドウドウ”と興奮した動物を落ち着かせるかのように振り鎮め、ソファーに座る様に仕向けるのだった。シールズ辺境伯の冷たい視線もあり渋々カインに従いパトリック王はソファーにドカッと座った。


「陛下こちらの新調味料は先月サンローゼ領でまさに試作をして生み出した物です。ですので他領に販売などまだまだ考えもしていません。そもそも、その様な判断は父でありサンローゼ領主が考えている事ですので、私では出来かねます」


カインが日本語を止めてシールズ辺境伯でも分かる様に話を始めたのでパトリック王の機嫌が目に見えて悪くなっていった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

しばらくの間1日2話更新で進んでいきます。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
もう食べれないと思っていたものが食べれるようになったら、そら大喜びですよ。
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