シールズ辺境伯爵領でのお仕事3
カイン達がシールズ辺境伯爵領都に来て5日目の朝、食堂ではシールズ辺境伯爵夫妻とリディア、アリス、カインが朝食を取っていた。さすが辺境伯爵の朝食だけあり、とてもゆっくりとした優雅な時間が流れている。今朝の朝食は、焼き立ての丸いパンとあっさり目のスープ、ベーコン(多分)とオムレツと中々豪華(異世界レベル)だった。
「カイン、今日はどこの道を”石畳”にするの?」
リディアが香茶を飲みながら尋ねてきた。
「はい、今日は西門に続く大通りと市場通りの予定ですね。かなり効率よく作業が進められるように皆さんが協力して頂けるので、夕方になる前に終了出来ると思います」
「それは良かったわね。今日も気を付けて作業をしてね、それと絶対に無理だけはしないでね」
リディアは今日も優しく注意をしてくる。
「カイン、今日屋敷に戻ってきたら儂の執務室まで来てくれないか?」
「はい、御祖父様。戻り次第御伺い致します」
アリスとカインは到着の次の日から、シールズ辺境伯爵夫妻を「御祖父様、御祖母様」と、呼ぶ様になった。何故かと言うとアリスがアイシャの事を「御祖母様」呼びをしていたのを羨ましがった為だった。
朝食をしっかり食べて、外出着に着替え玄関に急ぐ。玄関にはすでにドートンが迎えに来ていた。
「おはようございます、カイン様。本日もお願い致します」
「おはようございます、こちらこそお願いします」
元気に挨拶をかわし、見送りの人達に「行ってきます」と声を掛けて馬車に乗り込んだ。
午前中の西門に続く大通りの”石畳”化は、スムーズに進む。見学人も日に日に増えてきていて、子供たちがカインの真似をして【魔法】を使う時に一緒に地面に手を付けていたり、住民からお礼を言われたりしていた。
「カイン様、そろそろお昼にしたいと思います。本日はこの界隈で流行っている、”焼きパスタ”を召し上がって頂こうと考えております。事前にシールズ家の執事やメイド長の方にも召し上がって頂いており自信があります」
ドートンさんがとても興奮しながら提案してきた。
「ありがとうございます、”焼きパスタ”でお願いします」
カインは、”焼き”とついているし火が入っていれば大丈夫だろうと考え提案を受ける事にした。サンローゼ家の食事はカインが大分改善をしたので味がしっかりついていたが、この異世界の料理はまだまだ薄味が多いので少し不安は残る。
現場から数分の場所にそのレストランはあった。かなり流行しているらしく、テイクアウト専用のカウンターが店の入り口に出来ており、数十人が並んで待っていた。その横をしっかりと事前予約をしているカイン達は店の中の特別室に案内された。貴族が利用するように作られているのか、調度品が無駄に豪華だった。
席について、冷たい水を飲んでいると料理が運ばれてきた。”焼きパスタ”は茶色の麺料理でキャベツや肉が入っていた。カインはこれはどう見ても”焼きそば”じゃないの?と思いながら見ていた。
「カイン様、こちらがこの店で今大人気の”焼きパスタ”です。パスタの麺を野菜とソースで和えている料理になります。見た目は茶色で少し抵抗があるかもしれませんが、ぜひ一口お召し上がりください」
カインは小さく「いただきます」といって普通に口にする。うん、”焼きそば”だ。パスタ麺を使っている為少し食感が異なるが、味はそのままである。ソースは、シールズ辺境伯領の特産かな?買って帰りたいな。
「美味しいですね、”焼きパスタ”気に入りました」
「お口に合って良かったです」
ドートンは、とても安心したようだった。
カインとドートン、整備局の数人が食べ終わるとこの店の料理長らしき男性が部屋に入ってきた。
「本日は、ご来店ありがとうございます。私はこの店のオーナー兼料理長のパッタイと申します。当店の”焼きパスタ”はいかがでしたでしょうか? 今後の励みの為、ご感想など頂けますと幸いです」
奇麗なお辞儀をしながら質問をされた。
全員の目が子供のカインに集まる。『やっぱり僕が何か言わないといけないんだよね?』
「”焼きパスタ”とっても美味しかったです。味もしっかり付いていて、食感がとても良かったです。もし僕が何か付け加えるなら、目玉焼きでしょうか?」
道雄時代にばあちゃんが作ってくれた”焼きそば”には、目玉焼きが付いていたので改善案として言ってみた。
「目玉焼きですか? ありがとうございます、試させていただきます」
料理長のパッタイは、少し不思議そうな顔をしながら退出して行った。
一同は、現場に戻り午後の作業を始める。今日は御祖父様に呼ばれているしね。
「さて皆さん午後も安全に気を配って頑張りましょう!」
カインは、笑顔で宣言をした。
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