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ルートモストマック  作者: うさブルー
   四章《それでも続けるということ。》
98/165

〖flatted〗ノアサクと。

【まえがき】

 フラれたことで早速カップリング判定発動してます。

 リズ編です。


 どうぞ。




 

 


 三日目。

 夜。



 昨夜、アリスお姉ちゃんにフラれたから、気分転換にみんなとお風呂に入ることにした。

 今日こそ、寛ぎの檜温泉の(もと)を入れたいところだったけど、生憎、在庫が無い。

 でも、少し気になってたノアさんのボディを拝見できて、いろんな意味で元気が出た。

 天は二物を与えないんだったら、私にはそろそろラッキーな出来事が起きてもいいはずなんだ。

 そうだなあ。髪が超さらさらになるとか。手櫛で揃うとか。

 現実的か、私は。

「ノアちゃん。髪、洗ってあげようか」

「ん。大丈夫」

「じゃ、背中。背中流す? 流していい?」

「ん。大丈夫」

 何やら隣が賑やかだ。

 頭を洗っていて目を開けられないけど、ルリ姉さんの欲というところはしっかり感じる。

 ノアさんもノアさんで、ああ見えて意外と意志が固いところあるよね。

 アリスお姉ちゃん一筋っていうのは、今の私からしたらちょっと複雑なところだけど、そのうち安心に変わると思う。それくらいアリスお姉ちゃんを想ってくれているなら……って、そんな気にもなるだろうからね。

 いや、でも、そっか。

 アリスお姉ちゃん、小さいのが好きだったのか。

 なんつって。

 いけないいけない。邪心丸出しにもほどがある。これは恥ずかしいぞ。

 さっさと水でも被って、頭を冷やさなければだな。まぁ、お湯だけど。

「ん? あれ? ねぇ、ちょっと誰かー! シャンプースパイラルしてるでしょ! もー、やめてよー」

 こんなことをする人なんて、この合宿に二人といないから、犯人が誰かなんてバレバレだけど。さっきから妙に静かだったし。

 でも、珍しいかも。桜さんが、私にちょっかい出してくるのって。

 もしかして、私が傷心なの知ってたりして……なワケないか。

「どーせ桜さんでしょ? 髪傷む気がするからやめてよー」

 見切って言えば、しばらくシンとなって、もしかしたら誰もやってないんじゃないかって、なんかちょっと恥ずかしくなる。

 けど、笑いを堪える声が聞こえてきたので、私は間違ってなかったようだ。

「んくくっ。今、ちょっと恥ずかしかったじゃろ。耳が赤くなっておったぞ」

「う、うるさいっ。桜さんが面倒くさいことするからじゃん! とにかく、やめてよっ」

 キューティクルのダメージはおいとくとしても、この謎のお転婆を相手に、盲目はかなり厳しい。元々、何をするかわからない人なのに、そこへさらに目隠しをするだなんて。

 一体、何プレイだよ。

 性格はともかく顔は可愛いしスタイルもいい。それに、色々イイコトを知ってそうだからリードされるのは……って違う違う。

「もうっ! いい加減にしないと……揉むよ!」

「出た! リズちゃんの揉み攻撃ッ!」

 何故か、桜さんよりも先にルリ姉さんが反応した。

 それほど鮮烈に記憶に残っているということなら、正直なところ、誇れる。

 そのよくわかんないプライドを踏んづけるように、桜さんが誘う。

「揉めるもんなら揉むがよい。じゃが、子供のお主には、刺激が強すぎるかもしれんのう」

 そうこなくちゃと、売られたものを買うことにする。

「何さ。ちっさいくせに」

 着替えの時にチラ見したモノは、確か、私とそんな変わんないあれだった。

 モノの大小という観点に関しては、的は射てると思うけど、形とか感度とか、言い訳するのは目に見える。

 前方はシャンプーで塞がれてて見えないけど。

「大きさを気にするとは、子供じゃのう。大事なのは手触りじゃろうて」

 おちゃらけた人相に見合って、詰めが甘いね桜さん。

 ちょっと可愛く見えてきた。

 いや、前は見えないけどね。

「触る時しか意味をなさないじゃん。手触りなんてさ。見る機会は多いけど、触る機会、そんなないし」

「そうかそうか。なるほどのう。経験が足りんのじゃな」

 反論したかったけど、桜さんに“経験”って言葉を出されると、何故か「うっ……」ってなって口が重い。そんなに歳変わらないはずなんだけどな。

 やっぱあれか。これが俗に言う、ばばくさいってやつか。

「何……。経験って」

 渋い顔で言う私は、すでに知っていた。

 おばあさんたちが挙って話す、どうでもいい武勇伝の、圧倒的に無駄な長さを。

 そしてどうせ、聞かずとも言うし、聞きたくないと言っても言うということを。

 対抗策は、先に結論を引き出してしまうことだってことも。

「経験は経験じゃよ。言葉にはできんのじゃ」

「それじゃ、桜さんが言ってる事はデタラメかもしれないってことだよね」

 ちょっと撒き餌をしてみれば、食いつく食いつく。

 これなら、目を瞑っていても釣れるんじゃないか。

「すとれーとじゃのう。るーとの妹なのに。……まぁ、よいわ。そこまで言うのなら、試してみればよいじゃろう」

「触っていいの?」

 私も私で、そこの興味はかなりあった。

 撒き餌したところに自ら飛び込んでいくスタイル。それが私だったりする。

「よいぞ。但し、目はそのままじゃ」

「いいよ。わかった」

 なるほど。負のシャンプースパイラルは、これの伏線だったということか。

 抜けてるように見せかけて、実はなかなかのやり手だな、桜さん。

 そうなってくると、このブラックな視界も、俄然、演出チックに思えてくる。目隠しをすると視覚以外の感覚が鋭敏になるという話は聞いたことがあるけれど、ホントにそんな感じがしてくる。

 あんなお転婆のちっさいアレなのに、なんかよくわかんないけど緊張する。

 すごい。すごいぞ、桜さん。

 私も、その経験とやらを是非、してみたい。

「興奮しすぎじゃろ」

「は、はぁっ? しし、してないしー?」

「鼻息が荒いのじゃ。もしやお主、はじめてか? 他人(ひと)の」

「ち、違うしっ?」

 私は母乳育ちだからな。昔、お母さんのを、そう、やってるはずだ。

「ぬははっ。かわいくないのう」

「何がだしっ!」

「ぬふっ。まぁよい。今、お主の前に行くから、そのまま待っとれ」

 桜さんが背後でそう言うと、ペタペタという音が私の前側に移動するのがわかる。同時に、背後にあった人の気配も、何となく前側に来たような気がする。

 私はもう、目を開けられない。

「どれ。座るのじゃ」

 座るとは言っても、高さ的には中腰くらいになるだろうか。

 そうなると、足腰が辛いだろうからなるべく早く触ってあげよう……とは思うけども、そんなすぐ手を出したら、はしたない女だと思われちゃうので、とりあえず我慢する。

 この時点で、大分はしたない気がするけど。

「ほれ。目の前におるぞ。好きにせえ」

「そうなの。じゃ、じゃあ、さ、触るね」

 心置きなく揉めるよう、手を伸ばす前に、一旦この状況を整理する。

 かたや泡で目隠ししていて、かたやその前に全裸で胸を張っていて……。そこへ手を伸ばそうとしている輩は多分、わりと、そう、満更でもない。

 そんなわけで、脳の司令塔からもゴーサインが出た。

 私はゆっくりと、恐る恐る手を前に伸ばしてみる。

 いつくるかな? いつくるかな? なんて感じに湧き上がる興味心なんかは、本当に目隠しの賜物だ。役に立つ役に立たないは棚に上げて、これを経験できたのはかなり大きいんじゃないかと思う。

 それはさておき、そろそろ到着なのではないだろうかという頃。

 なかなか着かない。

 桜さんの大きさからすれば、そろそろ到着してもいい頃なんだけど。

 桜さんには興味ないのに、何だか凄くそそられる。つまり、桜さんの言う大きさ意外の魅力というのは、この時点ですでに始まっているというわけね。

 腕を伸ばすにつれて高鳴る鼓動は、何とも形容しがたい感情を連れてくる。今、目を開けたら、きっと、とんでもなくいやらしい顔をした美少女が映ることだろう。


「んんっ」


「あっ……」

 その特有の感触とそれとない罪悪感は、予告なく私のもとへやって来た。感想を述べるのに堪えない、それだった。

 けど、ある種の責任感から、私はその手を決して離そうとはしなかった。今離しちゃいけないと思った。そして、無理くりにでもフォローをしないととも悟ってしまった。

 桜さんは、実は小さかった。

「えっと……。ちょっとだけ、触るね?」

 自分が今、どの辺にいるのかもわからないので、とりあえず探検はしなければならない。

 ここまできて嫌なんて言うはずないだろうから、積極的にやった。

 目隠し探検だからこそなのかもしれないけど、大きな山も谷も無いことがこんなにも興味心をそそるなんて。全然、想像もしなかった。

「んんんっ」

「あ、ごめん」

 あんまり平坦だから何か隠されているのではないか、と疑ってかかってしまううちに、手が柔肌を貪ってしまっていた。肌トゥー肌でダイレクトに返ってくる反応が嬉しい。これは初めての心地かも。

 平坦平野とは言っても、ちゃんと少しある。

 それが、こう、なんか、すこぶるイイカンジだった。

「桜さん、すごい柔らかー。おっきい冷えピタいじってるみたいで、気持ちいー」

「ん……」

 おっきいという言葉に悦に入っていたのか、暫くは大人しくて私のなすがままだった。

 私の指遣いも手練れてくる頃、再び罪悪感が頭角を現してきた。

 いつまでもやってていいって言うならそうしてたいけど、そんなことはないと思うんだ。

 それに、そろそろ遠慮しておくくらいの奥ゆかしさみたいなのがあれば、きっと、また今度触らしてくれるはず。

「まだいい? もうやめたほうがいい?」

 一旦、手練れは休業して、尋ねてみる。

 けど、返答は脈絡が無い。

「んーっ!」

 そうやって艶っぽく唸るばかりで、意味のある言葉が返ってこない。艶めかしいという意味はあるけども、今、そういうのは欲してない。

 ……待てよ。

 私は欲してなくても、桜さんが欲しちゃってるってことはあり得るんじゃないか?

 つまり、艶っぽいと言うのは、無言の肯定。やめないで、という心の声。体は嘘をつかないとか言う、アレそか、そういうものなのではないか。

「んんっ……」

「え、えっと……。やめない方がいい……みたいな?」

「んんんーっ!!」

 一際大きな反応、ということは。

「し、仕方ないなぁ。じゃあ、少しだけ付き合おうかな」

 とりあえずの許しを得たということになるということで、やれやれ感を装ってみる。尚も、手は平野を鋭意探検中である。

「んー……っ!」

「ね、桜さん。声さ、ちょっと狙ってるでしょ?」

「んん……?」

「うん。かわいい。ちょっとドキドキするかも」

「んんーんっ!?」

 いつもより、ツートーンほど高めで、でもそれでいてどこか夜っぽい暗さで、生々しくもダークな声色。声を我慢してお腹に力が入っているせいか、質はちょっとこもっている。

「ね。桜さん」

「…………」

「目、開けてもいい?」

「…………」

 私の問いかけに対して、桜さんは無言の肯定をした。

「じゃ、開けるね……」

 目のあたりを一度擦って、泡をどかす。

 そして、自分自身を焦らすように、わざとゆっくり瞼を開けてみる。

 大きさよりも大切なことがあるのなら、これでわかるはずだ。


「え」


 私の腕は卑しくもそこへと伸びていて、その先の五指の合間からは肌色の温かい冷えピタが、白々とこちらを見ていた。言うところの平坦で、よく言えば可愛い。それでもやっぱり丁度いい柔らかさで、私の物欲のほとんどが吸い尽くされるみたいではあった。


 せめてその人が、半泣きじゃなければ。



「ええっ!? ノアさんっ!?」



 私が触っていたのは、桜さんのではなくて、ノアさんのだった。

 当の桜さんは、ノアさんの口を塞いだまま羽交い絞めにして、年寄り臭く笑っていた。私の手は、強制的にはだけさせられたそれを、優しくも心許なく、隠していた。

「ぬっははは! お主はヘンタイじゃのう! はっはっはっは」

「ばっ――」

 ノアさんには悪いけど、なるほど理解ってしまった。

 私は、ぺたんこも好きなのだと。





【あとがき】

 ハイテンションなメンバーが揃いも揃ってお風呂場に。

 そんな中に一人、ノアが。

 嫌な予感しかしませんね。

 許諾したノアは成長していると言えるでしょうけど、他の人たちは全然な感じがすごいですね。完全にリゾートの空気感に飲まれてます。


 そう言えば、時間表現が曖昧になってきていることにお気づきでしょうか。

 これがやり辛いったらないのです。

 感覚ってすごい。


 次回は本編です。

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