春介と晴美、博多南幼稚園入園準備.
ただいま準備中、幼稚園は予告編から全力
夕方の廊下に、買い物袋の音がかさこそ鳴った。
光子が靴を脱ぎながら言う。「みんな、よう頑張っとるねぇ。帰ったら、うちらも準備するかね」
優子は玄関マットに反射テープ(川原印)を並べ、「スーツケースに巻く用、忘れんごと」
テーブルには、**軍手(薄手)と耳栓(ケンタ印)**も待機中。
ピンポーン。
「はーい」と出ると、美香とアキラ、そして春介と春海がちょこん。
二人はおそろいの博多南幼稚園の制服を着て、帽子をちょい斜めに被っとる。
春介「おねえちゃん、ようちえんの ふく、にあう?」
春海「にあう? かわいか?」
光子は即答。「めっちゃ似合うとる! かわいか〜!」
優子もうなずく。「そげん似合う子、ポスター決定やん」
美香が胸を張る。「採寸のときからこの破壊力やけん」
アキラはすでにカメラ構え。「今日は“入園予告編”のスチル撮りまーす」
リビングに入ると、二人は赤い通園バッグを見せびらかし。
春介「ここに おべんとう 入ると」
春海「ここに おてがみ 入ると」
優子「お弁当“ありがとう”って言う練習もしとこ」
春介・春海「ありがとう!」(元気よすぎて拍手付き)
光子が帽子の角度を直しながら、ふっと笑う。
「博多南幼稚園かぁ。うちらの時、幼稚園が爆笑ライブ会場やったもんね」
優子「先生方、毎週“腹筋トレ”させられとった」
美香「はい、整骨院送り」
アキラ「テロップ:※先生は元気です」
「じゃ、“朝のごあいさつ”のリハーサルいってみよう」と光子。
春介が胸ば張る。「おはようございま——ちゅ」
春海が小声でツッコミ。「ざいま“す”やろ」
春介「す。……おはようございます!」
優子が拍手。「完璧。先生の腰、守れた」
次は“合法祝砲”のお時間。
光子「今日はちいさく一発ずつだけ解禁」
春介「はいぱー ゆうわく うぃんく——ちいさく!」→ きゅるん
春海「きょくじょう なげちゅ——ちいさく!」→ ちゅっ
美香「効く……!」
アキラ「先生の腹筋に配慮した出力調整、助かる」
優子「でも入園したら、先生たち、また整骨院コース見えとるね」
光子「“笑いすぎ注意”の校内放送、流れそう」
ひと段落ついたところで、東京の話。
美香「二人とも、月末に旅立ちやね。準備はどげん?」
光子「反射テープ・軍手・耳栓・“ありがとう”、ぜんぶ入っとる」
優子「“がんばる”は家に置いてく。楽しむだけ持って行く」
春海「たのしむ、だいじ」
春介「ただいま、も だいじ」
アキラがまとめに入る。
「本日のアジェンダ:1. 幼稚園ビジュ爆誕 2. 先生の腹筋、危険水域 3. 東京準備、順調」
美香「補足:おやつは別腹」
光子「異議なし」
優子「“ただいま”の練習して帰ろっか」
玄関で靴を履く前、春介と春海がもう一回だけ極小の祝砲。
春介「きゅるん(極小)」
春海「ちゅっ(極小)」
光子「効いた。明日も積み上げよ」
優子「先生方、どうか腰を守ってください(合掌)」
ドアが閉まる。廊下に小さな足音がととととと遠ざかる。
静けさが戻った瞬間、二人は同時に伸びをした。
光子「よし、パッキング再開」
優子「まず“ありがとう”のスペース空けてからね」
テーブルの上で、反射テープがぴかっと光った。
“いってきます”の準備は、笑いと一緒に、着々と進んどった。
入園前プレビュー:爆笑注意報、博多南幼稚園
門の看板に「入園説明会」。
リボン付きの春介と春海が、ちょい斜めの帽子で胸を張る。
美香は襟を整え、アキラは既に連写モード。
美香「ほら、名札見せて。……よし、完璧」
アキラ「はい笑って〜。3、2、1——ぱしゃぱしゃ」
春介「おねえちゃん、しゃしん いっぱい とってね」
春海「せんせいに みせる」
そこへ人影が二つ。
青柳ほのか(翼の妹/小3)と、柳川みなと(拓実の弟/小学生)が手を振る。
ほのか「かわいすぎて反則! 今日の主役やん」
みなと「俺、先生のガード役しとく。倒れたら運ぶ係」
玄関・くつ箱前
春介は上靴を左右逆に突っ込む。
春海「まっすぐ、こっち。はい、できた」
春介「できた! はやい!」
ほのか「連係プレー優勝」
みなと「俺も上靴、今日から右と左仲直りさせよ」
教室見学
担任の山下先生がにっこり。
山下「春介くん、春海さん、よろしくね〜」
春介(胸を張って)「よろしく おねがいします!」
春海(ちょい恥ず)「よろちく……じゃなかった、よろしく おねがいします」
光子「“朝のごあいさつ”いけるやん」
優子「次、“合法祝砲”は出力ちいさめで」
美香「先生の腹筋守る運動」
アキラ「整骨院の回数券はいりません」
予告編・祝砲
春介「きゅるん……(極小)」
春海「ちゅっ……(極小)」
——教室の空気が一段やわらぐ。
山下先生「……は、はい、刺さらん刺さらん。大丈夫、大丈夫……(腰に手)」
ほのか(胸を押さえて)「今、なんか飛んできた……きゅるん砲。尊死」
みなと「ガード失敗。俺にも直撃」
園庭で自由時間
すべり台の下で、小さな演説。
春介「せんせいに おはよう いって、て を あげる」
春海「ならんで、ぺこ。ハイタッチ、ひとり ひとり」
ほのか「教育番組かな?」
みなと「俺より段取り上手い」
そこへ別の先生が通りかかる。
先生B「お二人、うわさの双子ちゃん?」
春介・春海「はーい!」
先生B「(目を押さえながら)可愛か……。ストレッチしてから教室入ろ」
優子(小声)「防災訓練:きゅるん来たら深呼吸」
光子「非常口=ストレッチ」
ほのか&みなと、振り回され会議
ほのか「春介くんの“きゅるん”は近距離で撃つやろ?」
みなと「春海ちゃんの“ちゅっ”は角度が鋭角。背後から来る」
ほのか「つまり——先生たち、両面作戦で来られる」
みなと「俺ら、緩衝材になる。まず視線をもらう。ダメなら笑って倒れる」
ほのか「尊死は自己責任」
光子「自分の命は自分で守りつつ楽しんで」
優子「でもほんと、先生方の腰、準備運動お願いしたい」
ベンチでひと休み
春介「ようちえん、たのしみ」
春海「おともだち、いっぱい できる」
光子「うちらも、帰ってきたら話、山盛り聞かせて」
優子「写真も動画も、ぜんぶ見せてね」
ほのか「任せて。私は公式ファンクラブ会長」
みなと「俺は保安部長」
説明会の締め、先生が手を振る。
先生B「また入園式で会いましょうね〜」
春介・春海「はーい!」(ぴょんと同時に跳ねる)
門の外へ出ると、夕方の風が制服の袖ばすっと撫でた。
アキラ「今日のログ:先生・児童・保安部長、一同平和」
美香「効き目は“ちいさく一発”。この運用で本番もいこう」
光子「了解。先生の腰ファースト」
優子「そして笑顔は満員」
四人(+二人)は手を振って解散。
足音がそれぞれの帰り道に散っていく。
門の上の空は、入園前のわくわく色。
——爆笑注意報は、もう出ている。
ほのか&みなと、陥落の瞬間
園庭のベンチ。
ほのかとみなとが並んで座り、ニヤニヤしながら双子を見つめとる。
ほのか「ねぇ春介くん、きゅるんって一回だけしてみて?」
みなと「春海ちゃんは、ちゅっの見本、角度45度で頼む」
春介は帽子をちょい斜めにして、すっと前に一歩。
春介「きゅるん!」——目が光って、空気がピカッと跳ねた。
春海は小皿みたいな手を口に当てて、
春海「ちゅっ!」——音がコロンと転がる。
ほのか「うわ、心臓が跳ねたーー! ちょ、ちょ、私、今ので今日の宿題ぜんぶ忘れた」
みなと「視力上がった気がする。 てか俺、先生守るつもりが、先に倒れる側やん」
ほのか「これは反則やろ! かわいさでレッドカード!」
みなと「でも退場はせん。追加で見たい」
春介「もういっかい?」
ほのか・みなと「お願いします!!!」
春介「きゅるん!」
春海「ちゅっ!」
——二人は同時にベンチへパタリ。
ほのか「尊くて無理。 わたし、今“かわいさの海”で泳ぎよう」
みなと「助けて。 今、笑いすぎて肺が喜びよる」
光子「ほのかちゃん、呼吸できとる?」
ほのか「できとる。 でも心が忙しい」
優子「みなとくん、立てる?」
みなと「立てる。 でも膝が『もっと見せて』言いよう」
美香がケラケラ笑いながら手を振る。
美香「ほら二人とも、いったん深呼吸。双子はここで給水タイムね」
アキラ「ログ記録:ほのか&みなと、被弾2、笑顔100%、問題なし」
最後に、ほのかが真顔で宣言。
ほのか「私、公式ファンクラブ作るけん。会長は私。」
みなと「副会長兼・先生ガード。 募集要項は“きゅるん&ちゅっに耐性ある人”」
春介「がんば……じゃなくて、たのしみにしてる!」
春海「また みせるね!」
二人は手を振り、門の外まで見送った。
夕方の風が通って、きゅるんとちゅっの余韻だけが、しばらく園庭にぽかぽか残っとった。
逆パターン実験:春海きゅるん、春介ちゅっ
園庭の真ん中。
ほのかとみなとが腕を組んで立つ。
ほのか「今日は逆いってみよ。春海ちゃんがきゅるん、春介くんがちゅ」
みなと「了解。俺、反応タイム計るけん。3、2、1——」
春海は帽子をちょこんと直して、一歩前へ。
春海「きゅるん!」
——陽射しがぴかっと跳ねて、空気が一枚やわらぐ。
ほのか「わ、かわいさの方向がちがう! ふわっと来る系!」
みなと「胸のとこにクッション置かれた感じ。やさしか」
続いて春介。両手を小さく丸め、角度を決める。
春介「ちゅ!」
——音がコロンと転がって、砂場のスコップまで照れる。
ほのか「直球きたー! 心臓が一回ジャンプした」
みなと「今の“ちゅ”はストライク。先生、審判お願いしたい」
通りかかった山下先生が笑いながら親指を立てる。
山下「はい、ど真ん中! でも先生は倒れん、倒れん……(深呼吸)」
光子が手を叩く。「逆パターン、手応えあるね」
優子もうなずく。「春海ちゃんのきゅるんは春風、春介くんのちゅは直球」
ほのか「もう一回だけ、お願いできる?」
みなと「二連コンボ、耐性テストや」
春海「きゅるん!」
春介「ちゅ!」
——ほのかとみなと、同時にベンチへ着席(ほぼ着地)。
ほのか「尊っ……! これ、“ふわ→ドン”の二段攻撃やろ」
みなと「先に笑わせてから刺す。妙技やね」
アキラが肩を揺らして笑う。
アキラ「記録:ほのか3.1秒で赤面、みなと3.4秒で語彙喪失」
美香「健康そのもの。かわいさ過多は水分補給で治るけん」
最後に春海が手を振る。
春海「また みせるね」
春介も胸を張る。
春介「つぎは ななめ から いく!」
ほのか「予告までかわいいとか反則」
みなと「次回、受け身の練習して来る」
園庭に笑い声が広がる。
逆パターンは大成功。
——今日も、博多南の空はきゅるんとちゅで晴れとった。
三姉妹 美香と光子と優子の物語〈完〉
『三姉妹爆笑交響曲 — 大学生篇から陽翔&結音誕生まで』に続く。




