2章・予言症候群
あれから僕らはテレビゲームなどをして過ごしていた。
午後6時くらいになると、昨日は夜更かしたのだろうか
友愛が部屋から出て来た。
「…?お兄ちゃんのお友達…?」
とトボトボ歩いてきた。
「おじゃましてま~す」
と遊は友愛の方に目を向けた。
僕と瀧澤はテレビゲームに夢中で、画面に集中していたのだが…
「きゃー!ゆあちゃん!!服はっ!?」
遊のヒステリックな声で、振り返る。
すると…、
そこには全裸の女子小学生がたっていた。
不幸中の幸い長い黒髪が恥部や胸を隠してくれていた。
「っ!しまった…」
「ッ!!!?」瀧澤は驚きながらも、精一杯目に焼き付けようと目を見開いている。
「みてんじゃねーッて!!他人んちの妹の裸体をガン見してんなっ!」
僕は瀧澤の視界を阻む。
「べっ…べつに見てねーし!つーか見えちゃったんだって!!」
不可抗力だとでもいいたいのか、この野郎。
僕は必要以上に驚かなかったのは……まあ、これもいつもってわけじゃないが。たまにあることだからだ。
真夏の熱い日、友愛よく全裸で生活をしている。
矯正しようとは努力したが、これはもう脱ぎクセがついてしまっていて、寝ながら無意識の内に全部。スッポンポンになってしまうのだ。
今の所引きこもりだし、裸を見られても家族だからまあいいか、成長すれば恥ずかしくなって自らやめるだろうと思ったが、心も体も成長しない。
ただまあ、部屋から出るのも珍しい上に、冬場で滅多に脱ぎクセは発動しないというのに。
まったく。瀧澤はかなりラッキーだ。
「友愛!服きてこいっ!!」
「ふくぅ…?」
と言って友愛は今の自分の状況を確認した。
「……あれ…?」
友愛は視覚的に状況を確認した上で、羞恥してない。
大丈夫か?人として…女として!
「布団でも良いから!早く!!」
「もぉ!お兄ちゃんさっきから怒りん坊……。」
「ゆあちゃん!これ着て!」遊が気を聞かせて自分の上着を羽織らせた。ありがとう遊!
友愛のやつは
いつもと違うリビングの様子に興味津々だ。
「どうしたんだ?まだご飯の時間じゃ無いだろ?」
廊下でリビングの様子を見ながら、立ち止まってる友愛。
「ちょっと…おしっこ」
ならさっさと行って部屋にもどってろ!!!と言いたかった。
しかし、引きこもり相手に怒るのはタブーだ。
怒って、喧嘩になったり落ち込んだりしてみろ…
引きこもりに拍車がかかる!
だから文句はすべて心の中で処理するのが僕の日課なのだ……。
「そ……そうか…じゃあ行っておいで・・・。」
さっき少し強い口調になってしまったお返しに、かなり優しい口調で言った。
「うんっ」
僕が優しい口調に戻って満足とばかりにいい笑顔だった。
昨晩、破竹の勢いでひたすら電波なことを語っていた電波娘は、元の大人しい、口数の少ない友愛に戻っていた。
トイレを済ませる音を聞きつつ、一段落したとばかりに僕は瀧澤の視界を妨害する行為を止めた。
水の流れる音と共にトイレから飛びだした友愛は
てってってって
と僕の元へと駆け寄る
勿論、裸に上着を羽織るだけの破廉恥な格好のまま。
しかし、それを叱ることが出来なかった。
友愛にこんなにも無邪気に抱き着かれたのは
引き込もって以来初めてだったのだ。
だんだん引き込もる前の友愛に近づいてきたような気さえした。
「ゆあ、昨日お兄ちゃんのお陰で交信できたの。」
昨日の話らしい。確かにあんなに急いでた友愛は見たことなかった。
友愛にとって大事なことだったんだろう
と、まあ全く電波なことは信じてないが…。
「昨日の交信でね、新しい予言が出たの…。」
電波な話をしているのに、まだ友愛は電波化していない。
「お兄ちゃんに教えてあげるね」
「え…。あ、ありがと」
友愛を抱っこしている形になり、友愛の体重を直に感じていた。またその体重が引き込もる前抱っこしてあげた時に感じた重みに比べてちゃんと重くなっていたことに感動していた僕は、友愛のその言葉に見合ったリアクションをとれなかった。
けれど、満足げに友愛は語ってくれた。
可愛らしい唇をこれまた、可愛らしく動かし耳元で予言囁いた。
しかしその内容は
僕にとっていいモノではなかった。
『切り裂きジャックは僕によって殺される。』
そういう内容の予言だった。
「え!?お兄ちゃんって、僕?」
「ゆあのお兄ちゃんはお兄ちゃんだけだよ!」
微妙に回答になってない気がするが、まあいいとしよう。
「頑張ってね!お兄ちゃん!私たち信じてる!」
朗らかに笑って
友愛は部屋に入っていった。
「予言って…なに??」
遊が神妙な顔で尋ねる。
僕は、こう答えるしかなかった。
「…ははは。友愛って…電波だから。」




