↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大賢者と16人の落ちこぼれ弟子  作者: 伝説の男前
第一部 賢者塾開校編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/38

第6話 「魔力の秘密」

一


七月の朝。


ドアを叩く音で、ミア・ルーンは目を覚ました。


彼女の部屋は、塾の二階の静かな場所にあった。


「ミア。起きなさい」


大賢者の声が、ドアの向こうから聞こえた。


「はい…!」


ミアは、急いで起き上がった。


彼女の目は、まだ眠気が残っていたが、それでも素早く覚醒した。


おとなしい彼女の中には、訓練に対する真面目さがあったのだ。


彼女は、急いで着替え、大賢者の前に現れた。


「おはようございます…」


彼女は、小さな声で挨拶した。


「おはよう」


大賢者は答えた。


「では、訓練場に来なさい。今日から、君の本格的な修行を始める」


「は…はい…」


ミアは、頷いた。


心の中では、微かに不安があった。


「本格的な修行」とは、何なのか。


レオンは、この一週間、毎日、何かの訓練を受けているという話だった。


自分も、同じような訓練をするのだろうか。


そう思いながら、彼女は、大賢者に従った。


二


訓練場に到着すると、ミアは、目を見張った。


床の上に、複雑な図形が描かれていたのだ。


それは、魔法陣だった。


しかし、通常の魔法陣ではなく、ほぼ無限に複雑に見える、複雑な魔法陣だった。


何十本もの直線。何百という円。記号。数字。文字。


すべてが、精密に、完璧に配置されていた。


「これは…?」


ミアは呟いた。


「君の修行だ」


大賢者は答えた。


「この魔法陣を理解することから、始める」


「え…?」


ミアは、その図形を見つめた。


「理解…ですか」


「そうだ」


大賢者は続けた。


「通常の魔術師は、大きな魔力で、単純な魔法を放つ。しかし、君は違う。小さな魔力で、複雑な魔法陣を組み合わせることで、同じ効果を生み出す。これが、君の才能だ」


「でも…」


ミアは言った。


「私は…魔法陣を…作ったことがありません…」


「だからこそ、学ぶのだ」


大賢者は答えた。


「では、まず、この魔法陣を理解しなさい。何日かかってもいい。これを理解できれば、君の修行は大きく前に進む」


三


その日から、ミアの修行が始まった。


彼女は、朝から晩まで、その複雑な魔法陣を見つめ続けた。


一本一本の直線の意味。


各円の役割。


記号の意味。


数字の意味。


文字の意味。


すべてを、理解しようとした。


しかし、理解は進まなかった。


最初の一日。


彼女は、この魔法陣の前で、何もできなかった。


ただ、見つめ続けた。


二日目。


彼女は、幾つかの部分に分けることで、理解を進めようとした。


この部分は、魔力の供給に関する部分だ。


この部分は、魔力の増幅に関する部分だ。


この部分は、魔力の指向に関する部分だ。


徐々に、その全体像が見えてきた。


三日目。


彼女は、この魔法陣全体の構造を、頭の中で再構成しようとした。


しかし、完全には再構成できなかった。


四日目。


五日目。


一週間。


ミアは、この魔法陣の前で、一週間を過ごした。


睡眠は最小限。


食事は、最小限。


ただ、この魔法陣を理解することだけに、全力を注いだ。


四


一週間後。


大賢者が、ミアに言った。


「では、この魔法陣を、描いてみなさい」


ミアは、大きく息を吸った。


彼女は、紙とペンを持った。


そして、その複雑な魔法陣を、描き始めた。


一本目の直線。


完璧だ。


二本目。


三本目。


四本目。


次々と、直線を描いていく。


最初の円。


その中の記号。


その中の数字。


ペンは、彼女の手の中で、ほぼ自動的に動いていた。


一週間、彼女は、この魔法陣を見つめていた。


その図形は、彼女の記憶の中に、完璧に刻まれていたのだ。


三十分。


四十分。


一時間。


ミアは、集中し続けた。


そして、二時間後。


魔法陣が、完成した。


紙の上に、複雑で、精密で、完璧な魔法陣が、描かれていた。


大賢者は、その魔法陣を見つめた。


そして、元の床に描かれた魔法陣と比較した。


「完璧だ」


大賢者は言った。


「君は、見るだけで、この複雑な魔法陣を、完全に記憶できた」


「え…?」


ミアは、自分が何をしたのか、完全には理解していなかった。


「ほとんどの魔術師は、何度も繰り返し見ることで、やっと魔法陣を記憶できる。しかし、君は、一週間の観察で、完璧に記憶した」


大賢者は続けた。


「これが、君の才能の第一段階だ。魔力が少ないという欠点は、実は、魔力を正確に理解する才能をもたらしたのだ」


五


次の段階。


大賢者は、ミアに、その魔法陣を「実際に描く」よう指示した。


紙ではなく、床に。


魔力を使って。


「え…?」


ミアは、戸惑った。


「魔力で…描くのですか」


「そうだ」


大賢者は答えた。


「魔力で、光の線を描く。その光の線で、この魔法陣を再現するのだ」


「でも…」


ミアは言った。


「魔力が…足りません…」


「だから」


大賢者は言った。


「少ない魔力で、効率的に描くのだ。これが、君の修行だ」


ミアは、深呼吸をした。


彼女は、魔力を集中させた。


そして、その魔力を、指の先から放出した。


光の線が、床に描かれた。


一本目。


二本目。


三本目。


しかし、四本目で、ミアの魔力は枯渇した。


「だめです…」


彼女は呟いた。


「一本の直線で…魔力が…なくなります…」


「ならば」


大賢者が言った。


「方法を変えなさい。魔力を、少量ずつ放出する。完全に放出するのではなく、制御して放出する」


「制御…?」


「そうだ」


大賢者は続けた。


「これまで、君は、全力で魔力を放出していた。その結果、一回の放出で、すべての魔力を消耗した。しかし、少量の魔力を制御して放出することで、より多くの時間、魔力を使い続けることができる」


ミアは、その言葉を聞いて、新たなアプローチを試みた。


彼女は、魔力を、わずかな量だけ、指の先から放出した。


光の線が、床に描かれた。


一本目。


二本目。


三本目。


四本目。


五本目。


今度は、五本の直線を描くことができた。


「いい」


大賢者は言った。


「では、続けなさい」


六


その後の、二週間。


ミアは、毎日、この魔法陣を床に描く修行を続けた。


最初は、わずか五本の直線で魔力が枯渇した。


しかし、彼女は、魔力の制御方法を、少しずつ磨いていった。


一週間後。


彼女は、全体の三分の一の魔法陣を描くことができるようになった。


二週間後。


彼女は、全体の三分の二の魔法陣を描くことができるようになった。


そして、三週間目。


ミアは、完全な魔法陣を、床に描き上げた。


光で描かれた、精密で、複雑で、完璧な魔法陣。


大賢者は、その光の魔法陣を見つめた。


「完璧だ」


大賢者は言った。


「ミア。君は、わずか三週間で、この複雑な魔法陣を、完全に再現できた」


「でも…」


ミアは言った。


「魔力が…まだ…余りがあります…」


彼女は、自分の状態を、正確に把握していた。


「そうだ」


大賢者は答えた。


「つまり、君は、この魔法陣を、最小限の魔力で描いた。これが、君の『極限の効率化』の才能だ」


ミアは、その言葉を聞いて、初めて自分の成長を実感した。


最初は、一本の直線で魔力が枯渇していた。


今は、複雑で完璧な魔法陣を、それでも魔力を余らせて描くことができるようになった。


「すごい…」


ミアは呟いた。


「私は…本当に…できるようになったんだ…」


七


次の段階。


大賢者は、ミアに言った。


「では、この魔法陣に、実際に魔力を流してみなさい」


「魔力を…流す…?」


「そうだ」


大賢者は答えた。


「魔法陣は、描くだけでは、機能しない。その中に、魔力を流すことで、初めて効果を発揮する」


大賢者は、その魔法陣の中心に、石を置いた。


「では、この石を浮かせてみなさい」


「石を…浮かす…?」


「そうだ。通常の魔術師なら、『浮遊魔法』という単純な魔法で、石を浮かせる。しかし、君は、この複雑な魔法陣を使って、石を浮かせるのだ」


ミアは、その指示を聞いて、戸惑った。


なぜ、複雑な魔法陣を使う必要があるのか。


単純な魔法では、駄目なのか。


しかし、彼女は、黙って大賢者の指示に従うことにした。


彼女は、魔力を集中させた。


そして、その魔力を、魔法陣の中に流した。


光の魔法陣が、更に明るく輝いた。


そして、その中央の石が、ゆっくりと浮かび上がった。


「できた…」


ミアは呟いた。


「できました…!」


「ただし」


大賢者が言った。


「石は、どの程度浮かんでいるか」


ミアは、石の高さを見つめた。


床から、わずか五センチ。


「五センチほど…」


「そうだ」


大賢者は答えた。


「通常の浮遊魔法なら、石を一メートル以上浮かせることができる。しかし、君は、わずか五センチしか浮かせられなかった」


「すみません…」


ミアは落ち込んだ。


「いや」


大賢者が続けた。


「これは、成功だ」


「え…?」


「ほぼ同じ効果を、通常の魔法よりも少ない魔力で実現した。これが、『極限の効率化』だ」


八


その後の、一か月。


ミアは、この魔法陣を使った様々な魔法を学んだ。


浮遊魔法。


火魔法。


水魔法。


風魔法。


氷魔法。


あらゆる種類の魔法を、この複雑な魔法陣を使うことで、実現した。


そして、その度に、彼女は発見した。


通常の魔法では、大量の魔力を消耗する。


しかし、この魔法陣を使うことで、その効果を、わずかな魔力で再現できるのだ。


「すごい…」


ミアは、毎日、その発見に驚嘆していた。


「本当に…すごい…」


九


一か月後。


ミアは、訓練場で、他の弟子たちと一緒に、修行を行うことになった。


大賢者の指示で、ミアは、火魔法を放つことになったのだ。


彼女は、床に描いた魔法陣の中に、魔力を流した。


光が、輝いた。


そして、その魔法陣から、火が噴き出した。


しかし、それは、通常の火ではなかった。


非常に細かく制御された、精密な火。


その火は、訓練場の一角にある、木製の標的を、完璧に燃やした。


しかし、その周辺の木には、一切、火がつかなかった。


「素晴らしい」


大賢者は言った。


「ミアの魔法陣魔術は、通常の魔術よりも、遥かに正確だ」


十五人の弟子たちは、その光景に、驚嘆した。


「すごい…」


ガルドが呟いた。


「ミアの魔法、本当に凄い…」


「でも…」


ミアは、その称賛に、戸惑っていた。


自分は、まだ、「極限の効率化」の初段階に過ぎない。


もっともっと、磨く必要がある。


そう思っていたからだ。


十


その夜。


ミアは、塾の図書室に行った。


大賢者が、彼女のために用意した、魔法陣に関する書物。


その中には、数百の魔法陣が描かれていた。


彼女は、その書物を、一ページずつ、丁寧に読み進めていった。


各魔法陣の意味。


各魔法陣の効果。


各魔法陣の組み合わせ方。


すべてを、理解しようとした。


その作業は、一晩中続いた。


朝方になって、彼女は、その書物を読み終わった。


その時、彼女は、新たな発見をしていた。


複数の魔法陣を組み合わせることで、更に複雑で、更に効率的な魔法を作ることができるのだ。


「これは…」


ミアは呟いた。


「本当に…素晴らしい…」


十一


朝方。


ミアは、大賢者を訪ねた。


「大賢者…」


彼女は言った。


「複数の魔法陣を…組み合わせることで…」


「わかった」


大賢者が言った。


「君は、昨夜、その可能性に気づいたのだな」


「はい…」


ミアは頷いた。


「では、その方法を、学んでみようか」


大賢者は、新たな修行を提示した。


複数の魔法陣を組み合わせることで、新たな魔法を作る。


その修行は、これまでの修行よりも、更に複雑で、更に難しかった。


しかし、ミアは、その修行に、全力で取り組んだ。


十二


一週間後。


ミアは、複数の魔法陣を組み合わせた、新たな魔法陣を完成させた。


その魔法陣は、火魔法と水魔法を組み合わせたものだった。


火の力と、水の力を、同時に発揮することで、蒸気を生み出す魔法陣だった。


彼女は、その魔法陣に魔力を流した。


訓練場に、大量の蒸気が立ち込めた。


「成功だ」


大賢者は言った。


「ミア。君は、新たな魔法を発明した」


「え…?」


ミアは、自分が何をしたのか、完全には理解していなかった。


「新たな魔法…ですか」


「そうだ」


大賢者は答えた。


「通常の魔術師は、既存の魔法を学ぶだけだ。しかし、君は、新たな魔法を作った。これは、創造だ。魔術の創造だ」


ミアは、その時、初めて気づいた。


自分の「魔力が少ない」という欠点は、実は、限られた魔力の中で、最大の効果を生み出すための「創造性」をもたらしていたのだ。


十三


その後の、数週間。


ミアは、複数の魔法陣を組み合わせた、新たな魔法を、次々と作った。


火と氷を組み合わせた、温度差魔法。


風と水を組み合わせた、水流魔法。


地と火を組み合わせた、溶岩魔法。


その度に、彼女は新たな魔法を作り出した。


そして、その度に、大賢者は言うのだった。


「素晴らしい。君は、真の魔術師だ」


十四


八月の初め。


大賢者は、ミアに言った。


「では、今度は、実戦での魔術を学びなさい」


「実戦…ですか」


「そうだ」


大賢者は答えた。


「君の魔術は、非常に複雑で、精密だ。しかし、戦闘では、シンプルさも必要だ。複雑さとシンプルさを兼ね備えた、魔術を学ぶのだ」


大賢者は、訓練場に、木製の的を置いた。


「では、この的を、火魔法で燃やしてみなさい」


ミアは、その指示に従った。


彼女は、床に、単純な火魔法の魔法陣を描いた。


それまで学んできた、複雑な魔法陣ではなく、シンプルな魔法陣だ。


彼女は、その中に魔力を流した。


火が噴き出した。


的は、燃えた。


「いい」


大賢者は言った。


「では、複数の的を、同時に燃やしてみなさい」


大賢者は、訓練場に、複数の的を置いた。


十個。


ミアは、深呼吸をした。


そして、複数の魔法陣を、同時に床に描き始めた。


彼女の手は、素早く動いた。


一つ。二つ。三つ。


十個の魔法陣を、完璧に描いた。


そして、全てに、同時に魔力を流した。


訓練場が、炎に包まれた。


十個の的が、全て燃えた。


そして、その周辺には、一切、火がつかなかった。


「完璧だ」


大賢者は言った。


「ミア。君は、複数の敵に対して、同時に魔術を放つことができた」


ミアは、その時、初めて感じた。


自分は、本当に、強い魔術師なのだと。


十五


塾の食堂。


昼食時。


他の弟子たちが、ミアに話しかけた。


「ミア、凄いな」


ガルドが言った。


「最初と全然違う」


「そう…ですか」


ミアは答えた。


「でも、まだ…学ぶことがいっぱいあります…」


「へえ」


リナが言った。


「でも、あの魔法陣、本当に綺麗だった」


「ありがとう…」


ミアは微かに笑った。


その笑顔は、初めて見るものだった。


自信に満ちた、笑顔。


レオンが、その様子を見て言った。


「ミア、変わったな」


「え…?」


「最初は、すごく小さかった。でも今は…」


「今は…?」


「光ってるみたいだ」


ミアは、その言葉を聞いて、心の中で何かが温かくなった。


自分は、本当に、変わったのだ。


失意から、希望へ。


不安から、確信へ。


十六


その夜。


ミアは、自分の部屋で、今日の修行を思い出していた。


最初は、魔力が足りないという、致命的な欠点だと思っていた。


しかし、それは、実は、「極限の効率化」という才能をもたらしていたのだ。


そして、その才能を磨くことで、自分は、新たな魔法を発明することさえできた。


「本当に…すごい…」


ミアは呟いた。


「大賢者が、教えてくれなかったら…」


「一生、気づかなかったかも…」


その夜、彼女は、深い感謝の気持ちで、眠りについた。


十七


八月の中盤。


大賢者は、ミアに言った。


「では、今度は、君の魔術を、レオンの剣術と組み合わせてみなさい」


「え…?」


ミアは戸惑った。


「組み合わせる…ですか」


「そうだ」


大賢者は答えた。


「二人で、訓練を行うのだ。レオンが敵の動きを予測し、ミアがそれに対応する魔術を放つ」


ミアは、その話を聞いて、新たな可能性を感じた。


自分一人では、成し遂げられないことが、誰かと組み合わせることで、成し遂げられるのか。


その可能性は、今までの修行とは、全く異なる次元だった。


十八


翌日。


ミアとレオンは、訓練場に立った。


大賢者が、複雑な敵役を演じた。


「では、二人で、私に対抗しなさい」


大賢者は、二人に向かって、攻撃を仕掛けた。


レオンは、転んで躱した。


同時に、ミアは、火魔法を放った。


大賢者の攻撃は、ミアの火に、阻止された。


「いい」


大賢者は言った。


二人は、瞬間的に、互いの動きを理解した。


レオンが躱す。


ミアが攻撃する。


その連携は、完璧だった。


「では、複数の敵を相手にしてみなさい」


大賢者は、他の弟子たちを呼んだ。


五人の敵役が現れた。


レオンと、ミアの二人で、五人に対抗する。


レオンが、左の敵を躱す。


ミアが、右の敵に火魔法を放つ。


レオンが、上からの攻撃を躱す。


ミアが、複数の敵に同時に水魔法を放つ。


連携は、次々と、効果を発揮した。


五分後。


五人の敵役は、全員、訓練場の隅に追いやられていた。


「素晴らしい」


大賢者は言った。


「ミアとレオン。君たちの組み合わせは、完璧に近い。レオンの予測不能な動きと、ミアの正確な魔術。この二つが組み合わさることで、一人では成し遂げられない力が生まれるのだ」


ミアとレオンは、その言葉を聞いて、初めて気づいた。


自分たちは、一人では、最強ではない。


しかし、誰かと組み合わせることで、最強になるのだ。


十九


その後の、数週間。


ミアと他の弟子たちは、組み合わせての訓練を始めた。


ミアの魔術と、レオンの剣術。


ミアの火魔法と、ガルドの武術。


ミアの水魔法と、シルフィの弓術。


その度に、新たな可能性が生まれた。


二十


八月の終わり。


大賢者は、ミアに言った。


「君の修行は、一段階完了した」


「完了…ですか」


「そうだ」


大賢者は答えた。


「君の『魔力が少ない』という欠点は、実は『極限の効率化』という才能だった。そして、その才能を磨く過程で、君は『新たな魔法の創造』という、更に高い才能も発見した」


ミアは、その言葉を聞いた。


「そして」


大賢者は続けた。


「君が、誰かと組み合わせることで、更に大きな力を生み出すことができることも、気づいたはずだ」


「はい…」


ミアは頷いた。


「レオンとの訓練で…本当に…感じました…」


「そうだ」


大賢者は答えた。


「これが、君たち全員が学ぶべき、最大の教訓だ。一人では弱い。しかし、誰かと組み合わせることで、最強になる」


その言葉は、塾の中に響き渡った。


二十一


その夜。


ミアは、塾の屋上に立った。


月が、高くなっていた。


八月の月。


彼女は、この一か月を思い返していた。


複雑な魔法陣の学習。


魔力の制御。


新たな魔法の創造。


そして、誰かとの組み合わせ。


すべてが、自分の中で、変化をもたらしていた。


かつて、「魔力が足りません…」と呟いていた、おとなしい少女。


その彼女は、今、確実な自信を持つようになっていた。


「ありがとう…」


ミアは呟いた。


大賢者に。


レオンに。


そして、自分自身に。


「本当に…ありがとう…」


その言葉が、初夏の夜に消えていった。


第6話終了。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。