北城戸結(キタキド ユイ) 女
北城戸結 女
小さいときからずっと一緒の幼馴染と
①月曜日
(5歳)
こらーっ!!!何してるの!!いじめるのはよくないんだよ!!お友達にそんなひどいことをして何が楽しいの?はやくどっかに行っちゃえ!!
もうなんなのあいつら!…ねえ、大丈夫?あ~…血が出てるねえ、あそこのイスまで歩ける?ここに座ってて?……えっと、水で濡らして……、あのね、ママがゆいにもおんなじことしてくれたの!
ここの痛いとこに砂が入っちゃうといけないからきれーきれーにしなきゃいけないんだよ~。
ゆいね、北城戸結っていうの。ゆいちゃんってよんでいいよ!
どうして君はいじめられてたの?背が小さいのなんて気にしなくていいんだよ!ゆいなんて5歳にしてはおおきいのね~ってよくご近所さんにも言われるよ?あっ君も5歳なの?一緒だ~!ねえおうちどのへん~?一緒に行ってあげる!……へぇ~最近お引越ししてきたの?あれっ、ゆいのお家の近くだ!じゃあおんなじ小学校にいくんだね!…良いこと思いついた!ゆいね、好きなお話があってね。お姫様を守る騎士様のお話なんだけどね。私が君の騎士様になるから一緒に学校行こうよ!それで一緒に帰ってくるの!そうしたら、あいつらみたいにいじめてくるやつが居てもゆいが助けてあげる!ねっ約束ね!!
②火曜日
(15歳)
ねえどう思う?!アタシの友達に彼氏ができちゃって全然遊んでくんないの!そりゃね~一応応援してたしさ~、付き合った時はそりゃもう盛り上がったんだけどね。なんか取られちゃった気がしてちょっとさみしいっていうの?
はあ?あんたに彼女が出来たら?…(笑う)無理でしょそもそも!あんたが誰かと付き合うとか全然想像できないわ。あーはいはい、もしも、の話ね。そうだなあ、別にいいんじゃん?……寂しい?思うわけないし!あんたと付き合う女なんて物好きがいたもんだな~って思うくらいでしょ。
じゃ逆は、よ。逆!アタシに彼氏ができたらあんたどう思うわけ。……ぷっ、ウケるんだけど!めちゃくちゃおもしろい顔してるよ今。え~?なんていうの、複雑~って感じ。
アタシに彼氏ができたらやなの?……ふうん、そうなんだ。……は?いないし、馬鹿にしてんの?
絶対あんたよりは先にできるから。人の心配より自分の心配したほうがいいんじゃないの~?
では、いざ尋常に。最初はグー!ジャンケンポン!……っしゃあ勝ち~じゃ、今日のおごりはあんたね~!よろしく~
③水曜日
(25歳)
もうさ、そんなことのために頑張る必要ないでしょ?なんでアンタは自分のことは後回しで、他人のことばっか考えるの。
仕事一人で背負い込みすぎ。今そんなになっててどうすんの。会社は違うから仕事を手伝ってあげることは出来ないけどさ。話ならいくらでも聞くよ?私になら……愚痴でも弱気なことでもなんでも言えるでしょ?昔からずっと一緒じゃない。こういうときに頼ってもらえなくて幼馴染なんてやってらんないよ。別に感謝されることでもないから……でもあんたってほんと変わんないね。……ううん、いい意味で。ちょっと安心するよ。最近私も仕事で疲れることも多いしさ……帰って自分だけのためにご飯作って洗濯して寝て………、あのさ、提案があるんだけど。ルームシェアしない?……ほら、ほぼ毎週飲みに来てるし、電話とかもしてるしさ。それだったら一緒に住んじゃったほうが、家賃も安上がりだし、家事も分担すれば楽だし、いつでも話せるし、一石何鳥だろって感じになるでしょ?……なに?あんたが男だって?知ってるけど、何を今更。はあ?(笑う)あんたと私で「何か」起きるわけないでしょ!だって幼馴染だよ?……え、お、さななじみ…だよね……?好きって……どういう…意味の……?
④木曜日
(35歳)
(洗い物しながら)ねー、……ちょっと、聞いてる?……あのさあ、結婚しない?
あああちょっと何してるの、お茶……!びしょびしょなんだけど……!いやいやびっくりしてお茶吹き出すとか漫画じゃないんだから。
だから、結婚しないか?って言ったの。だって、25のときに付き合って、もう35よ?10年付き合って同棲してるんだよ?もうこれ結婚してるのと同じじゃない?
むしろ結婚しない理由がわからないっていうか……まさか、あんたこの歳になった私を捨てようってことはないわよね?若い子がいいなんて言わせないわよ?あんたももう同じ35なんだからね?この辺りで折り合いつけないと一生結婚なんて出来ないんだか……ら……
なによ。……当たり前じゃない。緊張しないとでも思ってたの?手くらい震えるわよ。
そもそも駄目なのはあんたなんだからね……待っても待っても…全然そういうこと、言ってくれないし……もしかして、将来のこと考えてるの……私だけなのかもって……不安だった。
……抱きしめていいなんて誰も許可してないんですけど。……馬鹿。
⑤金曜日
(45歳)
こおら!!!何してるの!!いじめるのはよくないんだよ?そんなひどいことをして何が楽しいの?……まったく……いつの時代もこういうことはなくならないのね。
え?聞いたことあるセリフ?ああ~そうね、そう言えばパパと出会ったときもこんなこと言った気がする。あのとき出会ってなければこんな未来もなかったんだなって思うとほんとに不思議ね……。初恋は実らないってよく言うけど、あれもまやかしね。
…ほーら泣かないの。ママの子はつよーい子だからね、こんなのすぐに治っちゃうよ~?いまきれーきれーにしてあげるからね。
この痛いとこに砂が入っちゃうといけないからきれーきれーにしなきゃいけないの。だからもしお友達が痛いってなってたら同じように助けてあげてね。
そう、君が好きなあのお話の騎士様みたいにね!おお、かっこいいね~騎士様の剣だ!ほらあれはお姫様をさらうわるぅい魔王パパだぞ~!やっつけろ~!!!ふふふっ
⑥土曜日
(65歳)
ちょっと、お酒飲み過ぎ。子供の結婚よ?いい加減泣き止みなさい!あの子に恋人ができたときもあからさまに寂しそうにしちゃって……。大人げないわよ?
……うるさいわね、…私とパパは別でしょ。別に恋人なんて居なくたって十分楽しかったもの。
そういえば……あんまり聞いたことなかったけど、あなたっていつから私のこと好きだったの?
いいじゃない、こんな歳でも。気になるものは気になるのよ。
だって正直、最初は付き合って、結婚して子供まで授かる相手があなただなんて思ってなかったから……あなたと私が25のときに言ってくれなかったら、きっとこんなことにはならなかったと思うのよね。
ま、まさか最初に出会ったときから、なんていわないわよね……?あっははは!!!ほんとに?そうなの?!5歳よ5歳!ふふふ、……そっかあ、あ、じゃああれ覚えてる?学生のときにもしお互いに恋人ができたらどう思う?って言い合ったの。ふふふ、あのときも…そっかあ~~(にやつきながら)ごめんごめん、あれね、嬉しかったのよ、わたし。…ああコイツは寂しがってくれるんだ~ってね。自覚はしてなかっただけで、実は私もその頃には好きになってたのかもしれないわね……
⑦日曜日
(85歳)
そうして、騎士様はお姫様を救い出し、2人は幸せに過ごしましたとさ、めでたしめでたし。
ふふ、このお話好きねえ?……うん、そうなのね。分かるわ、おばあちゃんもね、このお話が大好きだったの。
そう、おじいちゃんとの出会いもね?この騎士様とお姫様みたいだったのよ?え?おばあちゃんが騎士様みたい?ふふ、おうちじゃあね、そうだけど。
でもね、その時はおじいちゃんが騎士様だったのよ。おばあちゃんは女の子にしては力も強いし荒っぽいし、背も大きかったからあんまりお友達が居なくてね?…そんなときにおじいちゃんと出会ったのよ?
おじいちゃんと遊んだり、勉強したりして、ずうっと一緒にいてくれたから、私はちっとも寂しくなんてなかったの。そう、だからね、あなたも大きくなったら誰かの騎士様になって、守ってあげたり、お姫様みたいに大事にしてもらうのよ?
あらあら、はあい、今行きますよ~。ふふ、おばあちゃんの騎士様がお呼びだわ?急いで行かなくてはね…?




