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1部 12芒星魔方陣 編  4章 岡本浩子の疑念 1話

 目が覚めた時、私は保健室のベッドに居た。

 体を起こすと、机に向かって仕事をしている白衣の女性が居た。

「あ、気が付いた。気分はどう?」

「はい、大丈夫です」

「少しお話したいんだけど時間有るかしら?」

「大丈夫です」

 私は何気なくそう返答した。白衣の先生は机に置いてあった携帯を持って誰かに連絡を取った。

「──岡本さんの意識が戻りました。ええ、これからでも大丈夫だそうです。はい・・・宜しくお願いします──」

 先生は携帯を机に置くと私の方へ振り返って

「ちょっと待っててくれる。いま坂本先生が来るから」

「あ、はい、分かりました」

 私はベッドで体を起こしたまま待っている間、先生は紅茶をティーカップに注ぎ私に勧めた。お礼を言ってお茶を飲んで待った。

 紅茶を飲み終わった頃、坂本先生が保健室に入って来た。

「体の調子は大丈夫かな」

「はい、思ったよりは大丈夫だと思います」

「あの魔法は凄かったねー、びっくりしたよ」

「私もビックリしました。全身から炎が吹き出すなんて思っても無かったので」

「そう、その時の状況を教えて欲しいんだ」

「と、言いますと、先生も見ていたと思いますが」

「あの後、実習室を検証をしたんだが、的が燃えた時の熱量が摂氏4800度に達していた事が分かった」

「どうしてそんな事が分かったのですか?」

「サーモグラフィーで温度の観測をしていたから分かったのだよ、それと的を固定していたコンクリートが溶けて小さいがガラスができていた。コンリーとにはセメントと砕石を混ぜるのだがその砕石にはケイ素の成分も含まれていてそこから分かった」

「それって凄いのですか?私、初めてあんな魔法を使ったから分からなくて」

「一緒に居た浦さんで最大熱量が2350度位だったか倍の熱量が有った事になる」

「え、そんなに」

「それでいて、君自身は魔法を使う前と何も変化が無い、それにあの爆風は君を避けて言った様にも見えて」

「確かに炎に包まれた時何も熱く無かったです」

「本当に熱さが無かった言うならそうなんだろう、君の衣服に乱れが無い事がそれを証明できるだろう」

「そうですか」

「ではもう一つ確認、全身の炎が出てから的が燃えるまでに何かあったかな」

「魔法を発動させる時、目の前に魔法陣が出て炎が全身から出ましたけどその後に的が燃える時、何かのプログラム計算をしました」

「どんなプログラムだった?え、魔法陣が目の前に出たって言ったが」

 坂本先生は体を乗り出して聞いてきた。

「ええ、目の前に多香子が・・・浦さんと同じ魔法陣が出て」

「君が魔法を使う映像を確認したが魔法陣は出てなかったよ」

「え、でも確かに魔法陣が出てました」

 坂本先生はしばらく考え込むと。

「マジシャンタイプの事はまだ分かっていない事が多いからそれは後で確認しよう。次の質問だが炎のプログラムに付いては何か計算をしたと言ったが」

「ええ、口で上手く説明が出来ないので紙に書きます」

 私は、机に有った紙とペンでその式を書き出した。不思議なことにプログラムの全てを覚えている。簡単なプログラムとフローチャートを書き出した。

「これが、そのプログラム?よくここまで覚えていたね」

「私、記憶力は良いんです」

「時間を取らせて悪かったね、もう下校時間だから気を付けて帰るんだよ」

「はい、分かりました」

 坂本先生は私の書いた紙を持って保健室を出て行った。

「なんだか分かんないけど随分注目されているのね」

「そうみたいですね、なんて言うかとても珍しい魔法のタイプらしいので」

「珍しい?」

「マジシャンってタイプなんです」

「貴方もマジシャンなの?」

「貴方もって他に誰か知ってるのですか」

「私の兄ちゃんもマジシャンなの」

「先生のお兄さんのマジシャンのタイプなんですか」

「マジシャンは接近しないと魔法が発動しないし魔法はメイジより能力が弱いし接近タイプなのに端末も持っていないと発動しないし」

「え?でも坂本先生はマジシャンはメイジより魔法は強いって言っていましたよ」

「それは、マジシャンのタイプが少ないから比較対象が余りないって事が有るわね」

「そうなんですか」

「でも比較対象が少ないから本当はどっちが魔法の能力が上とか分かってないみたいね」

「なるほど、あの先生はどんなタイプなんですか」

「私はこれ」

 そう言い先生はカップに残っていた紅茶を見せた。すると中の紅茶が揺れはじめアメーバのように形を変化させながら空中に浮き始めた。

「能力者?」

 私は聞いた。

「そ、水流使い《ハイドロバンド》って言う能力よレベル3位かな」

「凄い」

 先生はゆっくりと宙に浮いている紅茶をティーカップに戻した。

「そうそう、私は千代川、宜しくね」

「あっ、岡本浩子です」

「岡本さんね、またいつでもいらっしゃい」

「有り難うございます」

 私は空になったティーカップを机に置いて保健室を後にした。教室に戻ると数人のクラスメイトが残っていた。


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