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1部 12芒星魔方陣 編  10章 デジタル魔法の実力 2話

 翌日、放課後に第7の魔法陣が設置されると予測した現場に行った。

「言って置くけど、やばくなったら直ぐに逃げるからね、分かった?」

「分かってる分かってる」

 私の忠告に対して多香子は軽く答える。

 第7の魔法陣が設置されると予測した場所は学研都市の北東に有るビジネス街に成った一角で学生より大人の人が多い上にプラザタウンから500m程で他に学生寮や学生マンションも多く建っている場所の中で大通りから1本中に入った雑居ビルは改装中なのか空きになっていた。

「どう?大丈夫そうでしょ?」

「そうね」

 多香子はそう言うと妙に大きな鞄をからトランシーバーを取りだしてビルの端に置いた。

「何をするの?」

「いいから、ちょっと待ってて」

 多香子はそのままビルとビルの隙間に入り4隅に同じトランシーバーを4台置いた後ビルの中に入った。

「ちょっと多香子?」

 私は多香子を追いかけてビルの中に入る。薄暗いビルの中は不気味と言うに相応しい空間だった。

「浩子、ここはまだ魔法陣は設置されていないわね」

「そうみたいね、でもこれからどうするの?」

「このビルに人が入れないように結界を張るの」

「結界?そんな事が出来るの?」

「デジタル魔法よ、古代魔法でも結界魔法があるのだからデジタル魔法でも結界魔法くらい有るよ」

 多香子はそう言ってノートパソコンを地面に置いて電源を入れた。LinuxのOSの様な単調な画面が表示された。多香子はそこからパソコンのキーを叩きプログラムを完成させ、スマホを取り出しパソコンの上に置き立ち上がってステッキを構えた。

「どうするの?」

「ちょっと黙ってて」

 多香子は静かに目を閉じ意識を集中する。するとノートパソコンを中心に青い魔法陣が浮かび上がりくるくると魔法陣が回転し始めた。

「うわ!」

 4台のトランシーバーが置いてある方に魔法陣から触手みたいにラインが伸び繋がる。 私はビルの入り口の方を見ると外にも大きな魔法陣の円ができくるくると回っているのが分かる。

 魔法陣は次々とその模様を変えながら置いてあったノートパソコンに一度収束するとまた広がり消えて無くなった。

「どうしたの?」

「結界魔法のセットが終わったの」

 多香子はスマホをスカートのポケットに入れるとノートパソコンの電源を落とし鞄に入れビルの4隅に置いてあったトランシーバーも片付けた。

「これでどうなるの?」

 荷物をまとめて帰ろうとする多香子に私は聞いた。

「これで通常なら人が入って来れなくなるの」

「それでも入って来ると」

「浩子も分かるよね、何か嫌な感じ」

「魔法陣が消えると同時に何か圧迫感があると言うか変な感じがする」

「そういう事、これは人の本能の様な物でなんて言うの断崖絶壁に立っている様な感覚にさせて『一歩先はもう進めない』みたいな恐怖感を与えて人が立ち入らないようにするの」

「それが結界?」

「そう『見えない壁』が有るように感じさせ人が入れない様にする結界よ」

「私、結界ってもっとバリアの様な物だと思ってた」

「そういうのも有るかも知れないけど昨日の夜に見付けたのがこれだったから無いよりはましかなって思って」

「そうね、無いよりはましよね、それに犯人と他の一般人が無暗に接触して怪我とかする可能性は少なくとも減るわね」

「・・・そう言う事は考えていなかったけど、そういう事も有るね」

 私達は方向へ向かった。

「ねえ浩子、気分転換にちょっとつき合って」

「良いよ、私も少し気分転換したかったし、丁度帰る方向にプラザタウンが在るし」

「じゃあ決定ね」

 と言う事で、私と多香子はプラザタウン内に在るモンローと言うカフェでカフェオレを飲んでいた。

『あの時は、裕貴が寝坊するから学校遅刻しそうになったんだもん』

『俺のせいか』

 隣のテーブルに居る男女の話し声が聞こえる。ちらりと目を遣ると比較的しっかりとした体格の男子生徒とスタイルの良い女子生徒だった。

「ねえ、あの人、格好良くない?」

 私は多香子にそっと話し掛けた。

「誰?」

 多香子は辺りを見回す。

「ほら隣のテーブルに居るあの人」

 私は横目で相手の方を指した。

「おお、確かに良いわね」

「ね?」

「そっかー、浩子はああいう人が好みなんだ」

 多香子は冷やかす。

「そうねぇ」

 真面目に返す私に多香子の方が少し驚いた表情をした。

「でも、彼と一緒に居るあの子も可愛いね、あの制服って確か大誠(たいせい)学園のじゃないの?」

「大誠学園?」

「高レベル能力者が通う学校よ」

「凄い学校が在るのね」

「まあね、超能力とデジタル魔法の2本立てがこの学研都市だからね」

「私、デジタル魔法の事しか知らないよ」

「まあ、そういうのも有るって事で、カラオケ行こ!」

「うん、行こか、直魅や千恵美も呼ぼうよ」

 しばらくして直魅と千恵美と合流してカラオケへ行った。

 カラオケなんて学研都市に来てから初めてだった。とても久しぶりで楽しい時間だった。

 意外と多香子は音痴だった事や直魅がものすごく歌が上手かった事、私の歌う曲に「マニアックすぎる」なんて言われる始末。それがまた楽しかった。

 2時間程経った夕方7時、直魅と千恵美は寮に帰った。

「ねえ、多香子、もう一度通り抜けるだけ行ってみる?」

「なに?やっぱり気になるの?」

「うん、あの魔法陣が今も動いているのか気になって」

「分かった、行きましょ」

 そして私と多香子はもう一度、現場の様子を見に行った。

「何とも無いみたいね」

「術者ですら結界の中に入ると何かに圧迫される感覚に遭うなんて不公平よね」

 多香子は訴えた。

「でも、結界が発動している事が分かるって事でしょ?」

「そうね、じゃあ家に帰りましょうか」


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