1部 12芒星魔方陣 編 8章 魔方陣阻止の計画
週明けの5月1日、月曜日。朝食を済ませ身支度を調えている間に見ていたニュースでビルが爆破事件が有った事を知った。
「これってあの事件の続きかな」
私はテレビ画面を見ながら呟いた。
教室の机に鞄を置いて椅子に腰掛けた所に直魅が教室に入って荷物を置いた後、私の所に来た。
「今朝のニュース見た?」
「ええ、爆発事件の事だよね」
「これで四件目だよね」
「場所だけで言うと三箇所目」
「三箇所目?」
その間に多香子も私の所に来ている。
「何が四箇所目なの?」
「今朝のニュースで言ってた爆発事件の事」
「爆発事件が有ったの?」
私の説明に多香子が聞き返す。
「この前から起こっている放火事件と関係が有ると思うの、そして今回は爆発事件になった」
「何か分かったの?」
「少し気になる事が有るの、何処か話が出来る所無い?」
「それなら、後で部室に来る?」
「部室?多香子何か部活動してたの?」
「あら、知らなかったの?私『魔法研究部』の部員よ」
「知らなかったわ」
「それじゃ放課後に部室に来るって事で良い?」
「うん、お願い」
放課後、私は多香子に連れられて魔法研究部の部室に向かった。
「ここよ」
魔法研究部の部室は地下の第二魔法実習室の隣に在った。中に入るとサーバーが一台とパソコンが四台置いてあった。
「ここで何をしてるの?」
私の質問に多香子は答えた。
「ここで新しい魔法を作ったり、他の人が作った魔法の検証をしているのよ」
「魔法を作る?」
「そうよ、魔法の作製ツールはキングローズ社が公開しているからそれを元に新しい魔法を作ったり、他の人が作った魔法がどういう効果が有るかを研究している部だよ」
「すごーい、ここ、私も入部したい」
「いいわよ、入部届、何処だったかな?」
多香子は部室の書類棚を探し始めた。
「ああ、有った有った、この書類に書いて」
「これね」
私は入部届に記入していた。
「あれ?そういえば、直魅と千恵美は?」
「あの二人は水泳部よ」
「私達がどうしたの?」
ドアを開けた千恵美が部室に入ってきた。直魅も後ろから続いた。そしてしばらくしてまたドアが開き人が入ってきた。
「今日は随分に賑やかね」
部屋に入ってきたのは私より背は高いけど私よりもずっと子供っぽい顔立ちの髪が長い女子生徒。
「香津未先輩お疲れ様です。入部届を書いて貰ってます。後、ちょっと部室使わせて下さい」
「新入部員ね、でも部室で何するの?」
「最近起きている放火事件に付いて気になることがあるので調べているのです」
「あの連続放火事件ね」
「そうですね」
「それで、どちらが入部するの」
「あ、私です、岡本浩子です」
「私は三井香津未、魔法研究部の部長よ、宜しくね」
「宜しくお願いします」
「浩子の魔法タイプ、マジシャンなのよ」
「マジシャンなの?私始めて見た。今度魔法使う所見せて」
「は、はい」
私は三井先輩の勢いに飲まれながら返事をしてしまった。
「あ、それで何を調べているんだっけ?」
「は、はいえっと放火事件の場所です」
「ここで分かるなら調べて行っていいわ」
「ありがとうございます。えっと、まずは今朝の放火事件の場所が分かる?」
多香子は部室のパソコンを起動させてインターネットの地図を開いた。
「放火事件の現場の住所が分かったよ、マップに表示するね」
「お願い」
多香子はカタカタとパソコンのキーを叩いた。
「ここよ」
「ここ?学研都市の地図って有った?」
私は多香子に聞いた後、はっと気付きパソコンに向かい学研都市の公式ホームページを開いた。そこに対外向けのマップが有ったが簡素化されいる。
「これでいい?」
多香子と直魅は地図を探し回った後、学研都市の全体地図を持ってきて机の上に広げた。
「ありがと」
私は今まで三回起きた放火事件の地点を地図に書き込み、その三点を直線で結んだ。
「何か分かるの?」
直魅は不思議そうに私へ質問した。
「これが三回起きた放火事件の現場って事は分かるよね?」
「ええ」
「じゃあここから・・・」
私は放火事件の1・2・3点を繋いだ線の2点目の角度を計ると150度になっている事ことから半分に割った75度の直線を引き1・3点目からも75度の線を引き交わった1点を表した。
「何これ?」
「これが、3箇所の放火地点の交わる点よ、そこから・・・」
中心に交わる点より30度づつ直線を放射状に引き、外の放火地点から150度の角度を内側に向けた線を順に引いていき交わる所をマークしていった。
「これって、まさか?」
「そう、次の放火地点の予測ポイント」
私は地図に書き込んだ後、全体を見て。
「そして、何かが起きようとしているわね」
綺麗に並んだ放火事件とこれから起きる予測ポイントは、時計の文字盤と同じ12個の位置に並んでいた。
「何かの儀式と考えるのが自然ね」
黙っていた直魅が地図を見ながら言った。
「それだけ?12のポイントで何らかの魔法陣の儀式をしているのなら。中央が最後って事かしら」
三井先輩の一言に息を呑んだ。
「そうだとすると、これから起きる放火予測ポイントで何かの儀式が行われているでしょうね、これを阻止すれば良いって事になるね、それが阻止出来なかったとしても、最後はこの中心ポイントで何らかの儀式をしないといけないでしょうからそれを阻止出来れば良いことになるのかな」
「とにかく第4の放火現場がおおよそ分かるよね」
「うん在来線の『学研都市駅』の東側になるよね」
三井先輩と多香子は机に広げた地図を見て言った。
「後で正確な位置を割り出せればもっと詳細な場所が分かるのだけど」
「でも、これが本当なら警察か学研警備隊に連絡した方が良いんじゃない?」
「とにかく、学研警備隊に連絡してみるね」
「ええ、お願い」
直魅は早速、学研警備隊に電話した。
「・・・ええ、そうです・・・ですから・・・」
しばらくして直魅は電話を切った。
「どうしたの?」
「悪戯と思われて相手にされなかった・・・」
直魅は不機嫌そうにスマホを置いて足を組んだ。
「まあ、まだ事件を連続放火事件として捉えていないのでしょうね、だから、これから起こる放火の予測が出ないのでしょうね」
三井先輩はそう言いながらは紅茶をティーポットに入れ机に置いた。
「みんな一旦休憩にしましょ」
「あっ先輩、私がやります」
千恵美もすぐに椅子から立ちティーカップを机に並べ、多香子は戸棚からビスケットをお皿に盛り机に置いた。
「こんな事ならいっそ、私達が放火現場を押さえに行ったらどう?」
紅茶とビスケットで静かになったひととき、多香子が突然言った。千恵美はそれを聞いて咽せている。
「こうなったらそれで行くしか無いね」
「ちょっと本気で言ってるの?」
「放火現場を見付けたら通報でも何でもすれば良いし」
「でも、この前みたいに相手が攻撃してきたらどうするの?」
「事前に魔法を準備しておけば大丈夫じゃない?」
私も多香子に賛同すると直魅が心配する。しかし多香子は
「大丈夫よ、私も居るし浩子もいるし、この二人なら」
「なぜ、そう思うの?」
三井先輩は素朴な質問をする。
「ウィザード炎属性の私と私の弱点を補う近接マジシャンの浩子だよ」
「そういう事ね、でも危なくなったらすぐに逃げるのよ」
「先輩、良いんですか?」
「二人なら多分大丈夫だよ」
「それなら私も行きます」
直魅は呆れた表情で言った。
「それなら私もやろうかな、怪我したとき治療出来る人、必要でしょ?」
「分かった、みんなでやろう」
「でも、おおよその場所が分かっても確実では無いわね、何か方法は有るの?」
三井先輩は千恵美の質問に答えた。
「2チームで交代でパトロールしましょ」
「じゃあ私と芦田さんと織田さんでAチーム、浦さんと岡本さんがBチームで1時間おきにパトロールして10時には解散で、翌日の授業に響くでしょ、みんなもそれで良い?」
「はい」
「分かりました」
「じゃあ、早速今日からやりましょ」
私達は次の放火が起こる場所を地図からほぼ特定して今日の夜に待ち合わせた。しかし、夜の10時を過ぎても、特に不審な人物や気配を見る事は無かった。
「今日は何も起こらなかったね」
「一昨日の放火から火が浅いから犯人も警戒してるのかも知れないね」
あの3件目の放火事件から1週間が過ぎた。
「結局4件目の放火事件が起きなかったね」
「せっかくのゴールデンウィークだったのにブルーバンドに任せておけば良かったわ」
「でも事件を単体で考えてるから無理よ、この件は連動してるのよ」
「その事を知っているのは私達だけだよね」
私が予想した3箇所目の放火現場の倉庫の周囲を多香子と歩く。
「もう、今日の所は帰ろうか」
「そうね、ここって家まで結構遠いしもう良いんじゃ無い」
「それじゃあ私の家に寄ってく?」
「うん、私そう言えば多香子の家行くの初めてじゃない?」
「よし、そうと決まればさっさと帰ろう」
「三井先輩には私から連絡しておくね」
私は携帯を取りだしメールを打った。
「この後、どっか行く?」
「うん、今日も下宿の晩ご飯要らないって言ってあるから」
「じゃあそこのファミレスに寄ってく?」
「うん」
しばらくして三井先輩から返信が有った。
「先輩達もこっちに来るって」
「じゃあみんなでご飯だね」
「だね」
私は三井先輩と合流して晩ご飯を食べた。




