フェリオ・レイン
私は、将官昇進試験の会場に足を運んでいた。
そこでは、シミュレータによる艦隊模擬戦が、行われていた。
そこで、ひとりの青年の戦い方に、目を止めた。
ほぅ……。
模擬戦の内容は、首都惑星の前に、敵艦隊が出現した。
至急、敵艦隊を排除せよ……という内容だった。
殆どの者が、命令書通り、敵艦隊を全滅もしくは、半壊に追い込んでいた。
中でも、味方の艦隊無傷のまま、唯一、敵艦隊を全滅させた男がいた。
名前を「ザダ・メオ」と言った。全滅までに要した時間も最短だった。
だが、その男の模擬戦の結果では、
唯一、首都惑星が、星のカタチが、原形をとどめないほどに破壊された。
もう、首都惑星に住む事は不可能だろうというほどに……。
その男の戦い方は、
首都惑星を餌に使い、敵艦隊の背後から、首都惑星ごと攻撃していた。
しかも、大量破壊兵器を湯水のように使い、それは、首都惑星をも破壊した。
試験を監督した「ムノ・ウナ中将」は、
首都惑星の防衛は、命令書には書かれてないとして、少しも気にする事なく、
最短時間で、敵艦隊を全滅させた事を、大絶賛していた。
一方で、真逆の結果を残した者がいた。
名前は「フェリオ・レイン」。
その男は、唯一、敵艦隊に1撃も与える事が出来なかった。
それどころか、味方の艦隊にも、中破以下の損害が多数発生させていた。
この結果に、試験を監督した「ムノ・ウナ中将」は、最低評価を下した。
しかし、今回の中で、唯一、首都惑星を「無傷」で守った。
無能な「ムノ・ウナ中将」の判断で、落としてしまうのは惜しいと思った。
この試験は、将官であれば、評価に介入出来るので、介入する事にした。
その結果、私の艦隊に編入するのなら……という事で、合意を得た。
その後「フェリオ・レイン」に会いに行ってみた。
ネコの扱いになれていて、とても気持ちいい撫で方をしてくれた。
試験官「ムノ・ウナ中将」絶賛の「ザダ・メオ」は、
今回の試験の中で、唯一「大尉」に抜擢され、
「ムノ・ウナ中将」率いる「第二艦隊」に配属された。
どちらも、本質が見えてない無能コンビで、丁度いいかもしれないと思った。
ザダ・メオ大尉は、同期のフェリオ・レインを見下しながら言う。
「そんなんだから、お前は、ダメなんだよ! しょせん、俺の足元にも及ばない」
しかし、言われた方は、あっけらかんとしている。
「そうですね。自分では、メオ大尉には敵いませんよ。大尉昇進おめでとうございます」
……と、笑顔で返した。
メオ大尉は、舌打ちすると、その場を後にした。
一方で「フェリオ・レイン」は、今回の試験で最低の「少尉」となったが、
私の率いる「第八艦隊」に配属された。
レイン少尉は、私が乗艦している事にしている旗艦アブローラに乗艦すべく、
緊張した面持ちで、乗艦口の通信ボタンを押すのだった。
私は、それを遠隔で見て、思った。
期待しているぞ、青年……。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
数ある作品の中からこの物語を選び、貴重なお時間を使って読んでいただけたことを、とても嬉しく思っています。
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