巧みな偽装攻撃
――アブローラの偽装攻撃――
更に、敵同士の同士討ちに見えるように、
こちらの攻撃を、亜空間を経由して、敵の砲の先に転送し、
そこから、敵艦を攻撃するという攻撃も同時に行う。
現在、アブローラと随伴艦は、
上下左右360℃、全方位を敵艦に包囲されている。
だから、その砲は、アブローラと随伴艦に向けられている。
そして、今、間にいたハズのアブローラと随伴艦は、姿を消している。
こうなると、敵艦の主砲は、反対側を包囲していた敵艦に向いてしまう。
もちろん、間のアブローラと随伴艦が消えた状態で、
砲撃を始めるバカはいないが、そこで、撃ったかのように演出しているのだ。
真正面だけを狙うと、裏切りとは感じないかもしれないので、
複数の艦が合わせて、1つの艦を狙ったような軌道で攻撃をする。
そして、殆どの者は、主砲の先がどっちを向いてるかより、
どこから撃たれたかで、判断する。
だから、主砲の向きが、5度や、20度ズレてて、
絶対に当たらないようになっていたとしても、関係ない。
あくまでも、偽装の為の、なんちゃって攻撃なのだから……。
更に、アブローラと随伴艦の主砲は小さく、
大きな損害を出せるように見えない。
だけど、艦隊は、大きな被害を出している。
まるで、大口径の砲で攻撃してきているような損害だ。
それも、そのハズ、アブローラも随伴艦も、1発も撃っていない。
全部、この宙域にいない、大戦艦の大口径主砲で撃っている。
故に、アブローラと随伴艦の主砲から、発射された痕跡はない。
けれど、偽装して攻撃してるから、
敵艦隊の主砲から、発射されたような痕跡だけ、検出される。
前方の数隻が、一緒になって、
自分の艦を狙ってきているという、痕跡しか検出されない。
自分の艦隊の中に、裏切りがあったと勘違いしはじめる。
自分たちの艦隊の中に、スパイが乗り込んでるのでは?
憶測が憶測を呼び、生き残る為に、
自分たちを攻撃してきた……という痕跡があった相手を攻撃する。
そして、攻撃された方は、
自分たちは攻撃していないのに……。急に攻撃してきたと感じる。
こうして、疑心暗鬼に陥り、あちこちで、同士討ちが始める。
面白いように、自滅していく。
――敵の混乱に乗じて、たたみかける――
そうしている間に、
「ニクキュウ」で、あちこちの艦の主要部分が破壊されていく。
敵の空母は、エレベータを破壊され、
格納庫の中で、炎上がはじまって、発艦出来ない。
指揮命令系統も混乱をきたし、先に空母を出た艦載機も、
突然、内部から炎上する母艦を見てうろうろするばかり。
こうして、バステト王国軍の艦隊は、
謎の攻撃と、味方同士の同士討ちによって、全滅した。
――更に言えば、方位される前に、全てわかっていた――
セルカから、艦隊に送られていた暗号通信も、
全部傍受されていて、暗号解読の上、記録済みだった。
傍聴能力も、とんでもないものがあるようだ。
この事実を突きつけられ、セルカは、投降した。
アブローラは、セルカを連邦に引き渡す為、軍の港に戻った。
自分は、改めて、この艦隊のすごさを痛感した。
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