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第六節.造られた異変 後編

 そこからの二日間は、御門さんと魔力強化、術式を中心に特訓をして過ごした。術式は、魔力強化ほどでは無いがスムーズに起動できるようになっていくのを感じる。

 そして、二日目の夜に新しい技術である"結界術"の習得をする流れになった。


「よし、術式も魔力強化も最初に比べたらだいぶ上手になってる。だから次は、結界術をやっていくよ。」


「……結界術?それなら減速をするときにやりませんでした?」


「いや、厳密にはちがう。楓が今までやってきたのは術式結界と言って、応用技なんだ。これからやるのは術式を付与しない、無垢の結界だ。」


 思い出せば、初めて減速を成功させた時にも同じようなことを言っていた様な気がする。


「その、無垢の結界っていうのは術式結界とは何が違うんですか。」


「よくぞ聞いてくれた!無垢の結界、通称防御結界とも言われているね。これは文字通り防御術だ。

 結界に触れる、もしくは入った術式の効果を軽減する技術だよ。軽減できるのは魔術だけで、物理攻撃は軽減できないのは気をつけて。」


「わかりました。やり方って、減速と同じなんですか。」


「そう。だけど、術印には流さずにね。」


「やってみます。」


 意識を内側へと落とす。

 やり方は、減速の時と同じ。体を満たす純粋な魔力を、自身を中心に外側へと広げていく。減速の結界とは違い、頬に触れる空気は暖かく感じた。

 結界の見た目も原則の時とは異なるものだった。減速の時は、青白い寒色系の色だったが今展開している結界は白い結界だった。


「成功だ、楓。防御結界も使えたらあとはもう心配は要らないな。もし、敵と接触しても大丈夫。」


「ありがとうございます。」


「楓、そしたら今日はもう解散だ。明日に備えてゆっくり休んでね。」


「はい、わかりました。それじゃあまた明日!」


 廃ビルを抜けて、坂道を下っていく。魔術に触れてもう二週間か。そういえば、もうすぐ高校の部活に顔を出す頃合だ。


――■■に、連絡してみるか。

ちゃんと、顔を見て話せるかな。


 骨を軋ませるような寒さが俺を非日常から日常へと落としていく。



 翌日17:45。予定の集合時間よりも早くビルに到着してしまった。ビルの壁によりかかって空を眺める。曇り空、冬ということもあり日が落ちるのは早かった。


「楓、早いね。」


「御門さんこそ……手に持ってるの、なんですか。」


「あぁ、これ?楓用の短剣とカグヤG3だよ。」


 そう言い、御門さんは二つの魔導具を手渡した。霊獣を倒した時に用いた黒く染まった刀身が特徴の短剣と、カグヤレプリカG3。短剣はずっしりと重いが、カグヤはびっくりするほど軽かった。


「ありがとう、ございます……カグヤめちゃめちゃ軽いです。」


 カグヤレプリカG3。形状は正五角形で、黒い筐体に金で装飾されている。中央には、黄色く発光する核のようなものが埋め込まれている。


「その、中心の光っているところから武器を取り出したり格納したりするんだよ。」


 言われるがまま、カグヤの核に短剣を当ててみると、吸い込まれるように消えていった。


「え、これどうやって取り出すんですか。」


「何を取り出したいか考えながら核を軽く叩くんだよ。」


 叩いてみると、本当に出てきた。ますます構造が理解できない。


「すごい、ですねこれ。」


「だよね、私もびっくり。あ、赤城くんたちが来る前に取り付けちゃいな。」


「わかりました。」


 時刻は18:00丁度、赤城さんが茶髪のショートヘアの女性を引き連れてやってきた。


「御門さん、こんにちはー!そこの男の子が東雲楓くん!?」


「三輪、声がでかいぞ。」


「……ごめんなさい、センパイ。」


 三輪と呼ばれた女は、どこか抜けているような印象だった。赤城さんのような硬い感じではなくて安心したが、あれはどこか心許ないような気がする。


「東雲くん、私は赤城センパイの後輩、三輪葵高等執行官です!よろしくね。」


「し、東雲楓です。御門さんの弟子やってます。」


 軽く自己紹介を済ませ、赤城さんはこれからの行動について軽く話し始めた。


「これからは、班に別れて行動をする。目的は犯人の確保、そして動機と霊獣生成地点の特定だ。俺と御門は東区を単独で。東雲と三輪は共に西区を担当だ。

散開するのは、18:30だ。それまでは各自準備や装備の点検をしろ。」


「了解です!」


 三輪は、やけに明るい声で返事をする。その声とは裏腹に、腰に差した武器を確認する手つきは妙に手慣れていた。

 俺も、カグヤをしっかりと作動させられるか何度か短剣の出し入れや、実際の短剣の使用感を廃ビル裏の森で試したりした。


 気付けば時刻は18:25。赤城さんが全員を招集する。


「これから、散開しそれぞれの持ち場へと移動する。戦闘及び魔術の使用は最低限にしろ、そして一般人へは被害は出すな。」


「……それと、あまり目立つな。」


 赤城さんの視線は御門さんと三輪さんへ向いている。かく言う二人は気まずそうに目を逸らしていた。


「最後に、絶対に死ぬな。」

こちらの作品は、現在公開されている

『【通常版】アカシックテイル〜正義と魔術が交錯する現代魔導戦記〜』のエピソードを分割して公開している作品です。


【通常版】も一緒に、よろしくお願いします!

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