第十三話 ある厨二病患者の暗殺
「さて、こんなものかな?」
俺は知り得た情報を羅列して書く。ちなみに、使っているのは自作小説投稿サイトの新規作成ページ。何かの機会で作ったものだが、管理が楽で便利なのでゲームの情報をまとめたりとよく使っている。
"まきというリスナーについて調べて欲しい"
───それがツーからの頼みだった。
俺は、彼女のSNSに書かれたなんでもない日常の文や写真から小さい情報を切り抜き、後はまあここには書けないが犯罪行為ギリギリスリーアウトレベルの情報収集を行い、彼女を丸裸どころか細胞クラスまで調べ上げた。
‥何とは言わないが裸繋がりで俺より20センチも大きかったのはイラッとしたがそれはともかく。
「SNSは怖い世界だと言うのに、セキュリティがアマアマだな」
実際、彼女のことを知るのは割と簡単だった。車のガラスに映る看板やチラッと映り込んだチラシからいくつか近隣を探すと簡単に家も特定できた。あとはそこを拠点に情報を集めれば彼女が生まれた日から現在まで全て丸わかりだ。
「これをアレな出会い系サイトに貼れば充分痛めつけれるが、まあそれはつまらないよな」
俺はスマホを取るとある番号に電話を掛ける。
『はい、田中です』
「田中まきのさんだな?」
『‥誰ですか?』
「住所は◯◯県◯◯市◯◯町54-321。旦那の名前は田中三郎、◯◯小学校4年2組17番席は左から2列目前から3番目の息子は牧郎くん」
『‥は?だ、誰ですか!?』
「その前に録音を止めさせてもらう」
『‥!?な、なんで』
慌てる声に思わず笑いが溢れそうになり抑える。明らかに脅している俺の声を押さえようと録音アプリを使っていたようだが、ちょっといじって元々そんなものインストールされてなかったことにさせてもらった。ボイスチェンジャーを使っているとは言え警察沙汰は避けたいしね。
「何も脅そうってわけじゃない。こちらが求めるのは1つ。あんたが二度とネットの世界に関わらないことだ」
『だ、誰よアンタ!?私のこと調べ上げて気持ち悪い!!』
「そうか?自分の幸せのために他を不幸にして何にも感じないあんたの方が人として気持ち悪いと思うけどな」
ツーから聞いた情報では、彼女は林に対してガチ恋しておきながら疑われるとあっさり存在を消したと。そして林以上に本当に好きだった配信者が居たこと。だがそれは彼女のほんの一部だった。
彼女がある配信者にガチ恋、いや最早ストーカーレベルに好意を持っていたのは本当だったがそれは常軌を逸したものだった。家への不法侵入は序の口、ゴミを漁りカメラを仕掛け彼の目の前で寝顔を撮りそしてそしてR-18過ぎてとても口に出せないアレな行為の数々。彼女のスマホに不正アクセスして写真をみたが中学生の俺には刺激が強すぎるものばかりだった。例えば、◯◯◯◯画像とか◯◯◯◯動画とか正直BBAがやってるかと思うと寒気がした。あとはなんだろ、旦那の給料や貯金のほとんどを配信者への爆投課金に使っていることぐらいだろうか。まあこれは暴露として匿名で旦那に送っておくか、サービスサービス。
「いいか?難しいこと言っているんじゃない。二度とSNSに関わるな、それだけだ。アンタを甘やかすばかりの旦那と将来碌な大人になれないのが確定している息子もだ。さもなくば」
『‥さもなくば?』
「アンタらが全て失う。地位も立場も人生も何もかも。死んだ方がマシだという人生を送らせてやる」
『わ、わかったから‥!もうSNSはしない!絶対、や、約束します』
「その言葉で信用を得られたと思うなよ?アンタが可愛いのは旦那でも息子でもなくアンタ自身なんだから、家族なんて簡単に捨てられるだろ。アンタはずっと見られていると思え。朝も昼も夜も起きている間も寝ている間も全て見張っている。油断、するなよ?」
そして俺は電話を切る。彼女の、そして家族のデバイスがSNSに接続した途端、調べ上げた個人情報全てがネットに流れるよう細工をして置いた。見張り?知らん知らん、コイツらがどうなろうが興味ない。せいぜいビクビク怯えながら幸せに生きて欲しい。
「さて‥‥どうやってツーにマイルドに伝えるか」
"まきなら大丈夫だよ、社会的に◯したから♬"なんて言おうなら多分怒られる。
俺は頭を悩ませながらツーに送る文章を考えるのだった。




