一章「実った恋」2
約束通り僕らは隣同士に座って仲良く登校をした。
「出渕さん、おはよ」
乗車した彼女と目が合う。にっこりと微笑むと目をそらさずに小さく笑う。
「おはよう、零児君」
惰性で毎日生きていた日々がこれほどきらきらして見えるのは恋のおかげなんだな。
◇
「……であるからして」
授業中。頬杖をついて前方の出渕さんを注視する。
あぁ、本当に僕の彼女なんだな。
肩まで掛かる黒髪。少しあどけなさが残る丸顔。醸し出す雰囲気は少し地味目な印象があるがそれがいいのだ。あと冬服でも体のラインがわかって大きめの胸のふくらみが堪らない。
性格は大人しくておっとりしてる。相手に合わせることが多いらしくよく気が利くタイプだ。
友達はあまり多いほうではらしく、人見知りをするらしい。その代わり打ち解ければ密な関係になるということを昨日本人から聞いた。
僕も是非、密で甘々な関係になりたい。
「(ん?)」
携帯がチェインの通知で振動をする。
―ちゃんと授業聞かないと。めっ、だよ―
やだ。表現可愛い。
てか、見られてたんだ。そういえば僕の視線には気づいているらしいって言ってたもんな。気軽におっぱい見れないなこりゃ。
僕は敬礼する犬のスタンプを押して真面目に授業を受けるのだった。
◇
「常盤。昼メシ食おうぜ」
中学からの親友の秋田が肩を叩く。
「あ、うん」
僕は机を動かして後ろの席の秋田の机と合体をさせる。
出渕さんは自席で弁当を行儀良く食べている。
「常盤いつもに増して出渕のこと見てるな」
弁当持参の出渕さんに比べ僕らはお互いコンビニ飯同士カロリーと栄養バランスが滅茶苦茶である。
「あぁ、僕ら付き合ったからな」
「……さらっと言うなよ。おめでと」
秋田は唐揚げ弁当の唐揚げを僕のコンビニ弁当の器に置く。唐揚げを差し出すなんて本気の気持ちが伝わる。
「ありがと」
「でも、出渕で良かったのか? 常盤ほどのルックスだったらもっと上行けたんじゃね?」
「上ってなんだよ。僕にとっては出渕さんしかいないよ。彼女以外に選択肢は無いよ。かけがえのない僕の恋人だよ」
ミートドリアを一口頬張る。レンジでチンすればもっと美味いんだろうなあ。
「うーん、正直、目立たないし大人しそうで会話つまらなそうじゃん。中学の時も噂も微妙だしよ。あ、胸目当てか?」
「ぶっ、そ、そんな訳あるか。全部だよ全部が好きなんだ。あー、彼女への想いが高まってくるのを感じるよ」
もちろんおっぱいも目当てではあるが。
「さっそくのろ気かよ。うぜー。さて、ごっそさん。購買に飲み物買いに行こうぜ」
「あ、待てよ」
財布を手にして秋田のを追う。
秋田と話をしていたらもっと出渕さんの良さを知りたくなってきた。放課後はどこかでゆっくりと二人っきりで話したいな。
途中、出渕さんの目の前を通る。目が合ったので手を振ると、出渕さんは律儀に箸を置いて小さく手を振り返してくれた。
決めた。放課後デートに誘おう。




