12.見た目と中身って一致しない
ウナ視点です。
ウナ視点
エルド荒野を抜け約一時間。
ようやく私たちは人間たちの住む町というものを発見しまた。
成るほど、多数の人間の気配がします。魂の気配がアンさんからお聞きしていたものと一緒ですね。
これが、人間の気配と言うものですか。
おそらくアンさんやお父様なら正確な人数まで把握できるでしょうが、私では大まかな数までしかわかりません。
もっと精進しなければいけませんね。
おや、ドスとトレスは随分とそわそわしてますね。
成程二人とも初めて見る人間の町に、興奮しているようですね。
ふふ、普段無表情のドスまで興奮した様子です。
若干頬が赤いですしね。
可愛いですね。
それではお父様に指示を仰ぎましょうか。
私は胸元から通信石を取り出し、お父様の匂いを嗅いだ後魔力を込めます。
匂いを嗅ぐのは集中するためです。
「お父様、ウナです。人間の町を発見しました」
お父様は直ぐに出てくださいました。
『そうか、思ったよりも早かったな。良くやった。さて、これから如何するかだが……』
「お父さーん!私あの町見たーい!」
あ、横からトレスが会話に割り込んできます。
私とお父様の会話を邪魔するだなんて!
もうっ!
後でお仕置きですからねトレス!
『ん?トレスは町の中に入ってみたいのか?』
「うん!」
『そうか………』
お父様は何やら考え込みました。
きっとトレスが勝手に意見したので戸惑っているのでしょう。
全く、トレスは全く。
『良し。それじゃあ三人ともよく聞いてくれ。これからその町に入って情報収集をしてきてくれ。内容は何でもいい。出来れば言語や常識、文化、あと冒険者について重点的に調べてきてくれ』
「畏まりました」
私は直ぐに返事をします。
お父様の指示です。反対意見なんてあるはずがありません。
他の二人も見ましたが、頷いています。当たり前ですね。
『それじゃあ期待している。何かあったら連絡をくれ』
「はい。必ずやご期待に応えて見せます」
私は通信石に頭を下げて通信を終えました。
懐にしまう際にもう一度匂いを嗅ぎます。
ふわぁ。
「………さて、それでは二人とも、お父様の言葉は聞こえてましたね。これより人間の町に潜入します」
「わーい」
「………(コクリ)」
「では、行きましょう」
私たちは真っ直ぐに人間達の町へと向かっていきました。
さあ、お父様のご命令。
完遂して御覧に入れましょう!
「通行証か、身分証の提示をお願いします」
「「「…………」」」
早くも最大の壁にぶつかりました。
門兵と思しき男が私たちの前に立ちふさがりました。
「おじさんだれー?」
トレスが首をかしげて聞きます。
「こんにちわ、お嬢ちゃん。自分はこの町の門兵を務めていますアルテミストーン・バルフレインと言います。悪いんだけど、お兄さんに身分証を見せてくれないかな?こっちも仕事で、それが無いとお嬢ちゃん達を町の中に入れるわけには行けないんだ」
門兵はトレスの視線に合わせて、トレスの質問に答えます。
おい、ゴブリンごときがトレスと目ぇ合わせんなよ。
殺すぞ?
あ、いけない、いけない。
とりあえず、身分証とはいったいなんでしょう?
この身はお父様より頂いた躰です。
私を証明するものなど姉弟か、お父様しかおりません。
トレスとドスの方を見ます。
二人とも困っているようです。
どうしましょうか?
このままでは街に入れません。
そこで私は閃きました。
あ、そうか、この門兵を殺してしまえば―――
「あー、もしかして嬢ちゃん達身分証なくしちまったのか?」
私が剣に手をかけようとしたその時、何やら門の奥から無精ひげを生やした同じ装備の人間が出てきました。
うわぁ、汚らしい外見。
「その恰好、見た感じ冒険者だろ?商人にはみえねぇしな。だったら、ギルドで再発行してもらいな。通行料を払ってもらえりゃ一時的な仮身分証を発行してやるからよ」
ほう、お金を払えば町に入れるのですね。
どうやら私たちは冒険者という者たちに思われたようです。
冒険者………ああ、お父様を狩る存在でしたね。
あんなものと一緒にされるのは、心の底から不愉快ですが、ここは話を合わせた方が良さそうですね。
「そうなのです、それと言いにくいのですが、その時にお金も無くしてしまいまして」
だから、さっさと町に入れろ。
あ、違った。入れてください。
「おいおい、そりゃあ困ったな。んー、じゃあお嬢ちゃん達、他になんか換金できそうなものってあるかい?ありゃあ俺が換金してやるよ」
ふむ、この門兵、汚らしい見た目の割にずいぶんと話が通じる相手ですね。
部下の方はずいぶん慌てていますが。
しかし換金できそうなものですか。
あ、そういえばお父様に頂いた“コレ”がありましたね。
お父様がもしもの時のために持っておけと言っていました。
もしかしたら、使えるかもしれません。
「あいにく、今持っているモノでしたらこれ位でして」
そういって私は腰に下げていた袋をひげの門兵に手渡します。
ひげは袋の中を見て、目を見開きました。
「な……っ!?お、お嬢ちゃん、こりゃぁ、魔石じゃねーか……!?それにこの純度と魔力………おいおい、この袋一つで一体いくらに……っ!?」
「はい、お父様から頂いたもので何とかこれだけは無くさずに済んだのです」
もちろん嘘ですが。最初からお金なんてもってませんし。
お父様が何かあった時にと渡しておいてくれた魔石ですが、どうやら当たりだったようです。流石、お父様です。
ひげは随分と困った様子で頭を掻きます。
「これ一個でも相当な値になるな…………。はぁ、仕方ねえな。おい、お嬢ちゃん達、こいつは受けとれねぇ。とりあえず、俺が仮の身分証を作っといてやる」
「隊長ッ!?」
何やら部下の男が驚いています。
「仕方ねーだろ。こんな魔石、俺の手持ちじゃ、一個だって換金できねーよ。お嬢ちゃん達、冒険者ギルドに行くんだろ?だったら、そん時に、この魔石を換金してもらえ。その後で通行料を支払いに来てくれればいい」
「た、隊長!?それでは規則に反します!」
「黙ってろ」
目で若い門兵を黙らせ、ひげは奥からくすんだ銀色のプレートを三枚持ってきてくれました。
「ほらよ、通行証だ。この町に滞在する間はこれが仮の身分証代わりになる。あとはギルドに行って冒険者カードを再発行してもらいな」
「有難う御座います」
「あー、後お嬢ちゃん、こいつは老婆心だけどな、その魔石、受付の奴には全部見せんじゃねーぞ。絶対に不審に思われるからな。2~3個位で十分金になるはずだ。その後でここに戻ってきな」
ふむ、このひげ中々に使える人間の様ですね。
覚えておきましょう。
私たちはギルドとやらの場所を聞いて、門を抜けました。
なにやら後ろでさっきの二人が揉めていましたが、知ったことではありません。
さあ、ようやく町に入ることが出来ました。
お父様のご命令、今度こそ完遂して御覧に入れましょう!
その頃ダンジョンでは
主人公「え?正面から行くの?(コネコネ)」←ゴーレムを作ってる
アン「穴を掘って侵入するのではないのですね」
ぷるる「ぷーぷー」
感想返しと今後については活動報告に載せました。
そちらも見て頂ければ幸いです




