6.どうしてこんな増やした!言え!
結論から言おう。
やりすぎた。
俺は目の前の惨状に目をやる。
あれから俺は、自分の爪や鱗を使ってゴーレム・ホムンクルスを量産し続けた。
と言っても、衣類の関係があるから人間型は作れない。
さすがに常時全裸はなぁ……。
ゴーレムに倫理観も何もないだろうと思うけど、それでもマネキンを全裸でショーウィンドウに飾るか?って思うじゃんか。
あれと一緒だね。
あ、ちなみにウナやドス、トレスたちはきちんと自分で服を作った。
なんかアオザイ風の衣装だった。
つーか、ドス。お前男性型だけど、女性用のでいいのか?
何で男性用のヤツで作らなかった?
まあ、本人たちが喜んでいたので良しとした。
ということで動物型にチャレンジしたのだが、これが予想以上に楽しかった。
というか、楽しすぎた。
猫型や犬型を始め、蛇、鳥、猪、熊など様々な動物型を作っていった。
どうやら術の精度?が上がっているみたいで、器用さもアップしているらしい。
以前よりも全然ゴーレム達が作りやすかった。
小さいものも大きいものも自由自在。
そうなると熱も入る。
動物型の中でも一番大きなのはサイ型のゴーレム・ホムンクルスだ。
体長およそ五メートル。体重はすっごく重い。
一番小さいものはネズミ型。
小型だけど多少アレンジを加えてある。
とるに足らない小さなアレンジだけどね。
造ってみて分かったが、人型と動物型の違いなのか、動物型は知能は人型に比べると低い。
個体差もあるけど、それでも人型に比べれば格段に落ちる。
それでも俺の命令はきちんと聞くし、自分で考えて行動できるくらいの知性はある。
まさに野生の獣だ。
そんな感じでゴーレムを作って作って作って作って、疲れたら魔石を食って眠って、何日経ったかわからないある時、おれは気づいてしまった。
ある問題に。
あ、痛っ。
鳥型のゴーレムとぶつかってしまった。
鳥型(メイちゃんと命名)が申し訳なさそうに頭を下げるしぐさをする。
かわいい。
と思ったら足もとに猫型がいた。
つい尻尾を踏んでしまう。
猫型が悲鳴を上げる。
ああ、ごめんよタマン……。
タマンをよけようと脇にそれると、サイのゴンゾーに当たってしまった。
かたくて壁かなんかと間違えたわ。
すまん、ゴンゾー。
とまあ、こんな状況なのだ。
足の踏み場がない。
………作りすぎてしまった。
その数およそ数百体。
個体差はあるにせよ、百体以上もいれば大きさなんてあってないようなもんだ。
もともと作ってたゴーレムも合わせればどんだけの数になるか……。
ああ、俺ってほんと凝り性だったんだな。
作り始めるともう止まらなくて、夢中になって作り続けてしまったのだ。
いろいろ作りすぎているうちに気づけばこうなってしまっていた。
皮や爪なんかも全部使い切ってしまった。
まあ、ただ持ってても意味ないしな。
で、問題が発生した。
ダンジョンが狭い。
いや、一人で住む分には十分すぎるんだけど、ゴーレム・ホムンクルスたちに加えアンが量産した兵隊アリが驚異的なスピードで増え続けている。
低層に行ったら、すでに壁なのか蟻なのかわからないくらいに兵隊アリが増殖していた。
正直すごいキモかった。
アンの命令で俺を襲わないように厳命されているけど、あれが一斉に襲ってきたらと思うと正直ゾッとする。
テレビとかで軍隊蟻の恐怖みたいな番組をやってたのを思い出した。
改めて災害指定種というものの恐ろしさの片鱗を味わった。
ともかくとして、これはまずい。
狭い、狭すぎる。
もはや足の踏み場もないほどだ。
ていうか、俺にも非はあるけど。
ん、ていうか全面的に俺が悪いのか?
はは、まさか。
と言う訳でだ。
『これよりダンジョンの増築を行う!』
俺はゴーレム・ホムンクルス達を集合させ、念話で伝える。
ちなみにこの内容は低層にいるアンにも届いている。
ダンジョン内であれば念話は自由自在さ。
『現在のダンジョンでは我々が住むには狭すぎる!各員ダンジョンの増築に励め!』
俺は蟻とゴーレムにダンジョン拡張を命令した。
『お父様宜しいでしょうか?』
ウナが質問してくる。
その体は俺の脱皮した皮で作ったアオサイ風の衣装に包まれていた。
ん?そういえば着色ってどうやったんだ?
ウナの着ている服装は青、ドスは黒、トレスは薄い紫色だ。
あとで、どうやって着色したか聞いてみよう。
『なんだ?』
『掘るといっても、どのようにすればいいのでしょうか?』
『ん?そうだなー』
言われてみればただダンジョンを広げろってだけじゃ、曖昧すぎるな。
何か参考になるようなもの………。
あ、そうだ。エリベルの知識があるじゃないか。
さっそく迷宮の知識を検索してと。
お、これ良いじゃん。
『世界八大迷宮』
数千年間難攻不落と言われた、世界最難関のダンジョンズ。
あ、エリベルのダンジョンもきっちり入ってやがる。
こんなものもあるんだなこの世界。
ということは、少なくともダンジョンマスターは数千年生きてるやつもいるってことだね。
うへー、どんな奴なんだろ?
会いたくないわ。
まあ、それはいいとして。
このマップを見ると、階層が中途半端に切れている。
攻略されてない迷宮だっていうし、途中までしか書かれてないんだろうな。
でもいいや。これを参考にしよう。
各員に念話で八大迷宮のマップを転送する。
知識大事ね。エリベルに感謝。
『こ、これは………っ!』
皆にどよめきが走る。
あれ?なんか動揺してる?
うーん、これと似たようにっていうのは難しすぎるかな?
いや、でもせっかくだしこれくらいにしないと、俺の安全な生活は難しいんじゃないだろうか?
この世界の冒険者がどの程度かわからないけど、とりあえず世界最大の迷宮と同じように作れば安全性は増すだろう。
『今送ったのはこの世界の八大迷宮と呼ばれるダンジョンのマップだ。もっとも途中までしか載ってはいないがな。これを参考に各員ダンジョンを増築しろ!』
ま、何とかなるだろ。
そうだ、工具作んないとな。
こうして俺のダンジョンは拡張を続けるのであった。
せっかく拡張していくし、今度はどれだけ大きくなっていくか記録してみるかな。
………外界との接触はどこへ行った、主人公?
活動報告にも書きましたがブックマーク件数が一万を超えました。
この場を借りて、お礼申し上げます。
有難う御座いました。




