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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
第六章 道外しの少女とファーブニルの迷宮

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20.集う力

 ファーブニル最終層『黄金の間』にて―――


 全身武装化した俺は正面を見据える。

 大量に湧き出て来る魔物達。


 俺はそいつらに向けて、腕を横なぎに振るう。


 たったそれだけで凄まじい衝撃波が発生し、十体以上の魔物が吹き飛ばされ肉塊へと変わる。


 『すげー威力だな……』


 手足だけの武装化の数倍、いや下手すれば十倍近くに上がってるんじゃないか?

 インフレもいいところだ。

 振った腕の感覚を確かめる。


 ……………まだ、大丈夫そうだな。


 魔物達は死んだ瞬間、光の粒子となって消える。

 これは、俺のダンジョンの魔物、ギジーによって生み出されたゴーレム達と同じ特徴だ。

 ダンジョンによって生み出された魔物は、死ぬとダンジョンに魔力として還元される。

 

 「殺セ!殺セ!殺セ!」


 ファーブニル、いや迷宮核が叫びながら指示を飛ばす。

 先ほどの攻撃がよほど効いたのだろう。

 取るに足らないと思っていた器候補が、急激なパワーアップをしたために、焦っているのだ。

 指示を受けて、魔物達は俺に向かって来る。

 正面だけじゃない。

 砕かれた壁や通路からも、次々に魔物達は現れてくる。

 おそらく、この階層や上層に居る魔物達を片っ端から呼び出してるんだろう。


 「ギシシシシ!」「―――ォォォオオオオオ!」「ブッシュブッシュ!「ギュルルルルル!!」「ゴアッゴアッ!」「ガルルルルル!」「ジュルルルル」「ギーギー」「シャシャシャシャシャ」「オッシュオッシュ」「ブルアアアアアアアア!!」


 雄叫びをあげながら向かって来る魔物達。


 でも、ファーブニル。

 さっきのを見ただろう?


 “今の俺”じゃあ、こいつ等程度じゃ意味ないぞ。


 俺は足に力を籠め、弾丸のように魔物の群れに突っ込んだ

 ボボボボボ!と、まるで粘土細工に穴を開けるがごとく、俺の正面に居た魔物達はその体を抉られ光となって消える。

 更に、その衝撃の余波で周りにいた魔物達まで吹き飛ばされた。


 「何……ダト……?」


 あっという間に、俺はファーブニルの正面まで来た。

 迷宮核は信じられないと言った表情だ。


 だが、直ぐに攻勢に移る。

 その黄金の腕を俺目がけて振り下ろした。

 

 俺はそれを片手で受け止める。

 今度はひびが入らない。

 いや、それどころか――――。


 「ぐっ……があああああああああああああああああ!?」


 ファーブニルが苦痛に顔を歪める。

 その腕の鱗はひび割れ、ところどころ剥がれている。

 殴ったファーブニルの方が負傷してしまったのだ。


 『身体能力だけじゃない。硬度も凄まじいまでに上昇してるな………』


 “部分”ではなく、“全身”を武装化すると、こうも違うのか。

 確かにエリベルの言った通り、戦闘能力に関してはとんでもなく強化されている。

 戻れるのかどうか……とりあえず、それは後だ。

 今は、目の前の問題を片付けろ。

 

 ファーブニルは俺から距離を取り、大きく口を開いた。

 あの構えは―――。


 「ギガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 ―――ブレス!!

 黄金色の魔力の奔流が押し寄せてくる。

 それはまるで、金色の津波の様だ。


 でも、恐れない。

 恐れる必要はない。


 俺はすぅっと息を吸い。

 

 『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

 対抗するように、ブレスをぶっ放した。

 お互いに放ったブレスが激突する。

 

 ズドドドドドドドドドドドドド!!!!

 

 二つのブレスは、巨大な魔力のうねりとなって、ダンジョン全体へと拡散した。

 だが、被害そのものは少ない。

 俺の放ったブレスが、ファーブニルの放ったブレスの威力を殆ど相殺してしまったからだ。

 心地よい魔力の風だけが俺の体を駆け巡る。

 見れば、ファーブニルはぱくぱくと口を開いている。

 もはや、言葉も出ないのだろう。


 ブレスの威力も上がってるな。

 肉体の表面部分だけじゃない。

 肺の一部や口の中も武装化した分、吐き出せる魔力の量も強化されたようだ。

 

 再び跳躍し、距離を詰める。

 

 『ふんっ!!』


 爪撃。

 強化された俺の爪は、ファーブニルの鱗を易々と切り裂く。

 ファーブニルが苦悶にあえぐ。

 でも、まだだ。

 俺は追撃を加える。

 牙で、拳で、尻尾で。

 その度に、ファーブニルの肉体は切り裂かれ、ボロボロになってゆく。


 「――――お、お父さん!それ以上やったら、ファルが死んじゃうよ!」


 後ろから、道外しの声が響いた。

 

 『大丈夫だ!殺しはしねーよ!だけど、徹底的にボコボコにはする!動けないくらいな!』


 「ふぇっ!?」


 道外しの少女が泣きそうな声を上げるが、ごめん、聞こえない聞こえない。

 ホントごめんね。

 でも、仕方が無いんだ。

 今のファーブニルを支配しているのは、鉱龍の人格ではなく、迷宮核の方だ。

 それも、防衛本能が暴走して会話が殆ど成り立たない状態。

 ファーブニルを殺すにしても、延命させるにしても、今の状態じゃ成り立つわけがない。

 なので、どうにかして“ファーブニル”本人の人格をもう一度表に出す必要がある。


 では、どうするか?

 

 簡単だ。


 ――――エリベルさんに任せる。

 ザ・丸投げ。


 どうやったって、俺じゃあファーブニルを元に戻す方法なんて、ましてや延命させる方法なんて思いつかない。


 でも、あいつなら可能な筈だ。

 ダンジョン破壊なんて馬鹿げた理論を組み立て、武装化した俺の手足を直し、疑似迷宮核を生み出した賢者なら、きっと可能な筈だ。


 俺に出来るのは、その前の段階。

 ファーブニルをボコボコにして、全く身動きの取れない状態まで弱体化させておくこと。

 例え、迷宮核に支配されて、暴走状態になっていたとしても、動けない程に痛めつけておけば手も打ちやすい筈だ。


 ………ホント、嫌になる。

 道外しに息巻いて見たものの、結局、俺に出来るのは問題解決の為の前座だ。

 でも、それでも良い。

 例え前座であっても雑用であっても、それが主役の助けになるのならば、俺は喜んで引き受ける。


 それで、この子が―――道外しが笑顔になるなら安いもんだ。

 俺の命位、いくらでも賭けてやるさ。

 主(おや)なんだからな。


 「ぐがっ……がぁぁ……」


 既に、ファーブニルはボロボロだ。

 魔力による回復も追いついていない。

 これならいけるか。


 『これで……終わりだ、ファーブニルッ!!』


 もう一撃。

 これで決める。

 そう思った次の瞬間だった。

 

 ガクン、と。


 俺は膝から崩れ落ちた。


 「―――ッ!?」


 『あ……れ……?』


 身体が動かない。

 がくがくと震えて、指一本動かせない。

 どうして?

 魔力切れじゃない。

 魔力はまだ有り余ってる。


 となれば、考えられる理由は一つ。


 ――――肉体の限界(タイムリミット)。


 ヴァレッドの時と同じだ。

 わずかに残した生身の肉体が、武装化した肉体に付いていけず、悲鳴を上げている。

 流石に生命維持に必要な器官までは武装化できない。

 その部分が、武装化した俺の戦闘に耐え切れずに、僅か数十秒で限界を迎えたのだ。

 あまりにも早すぎる限界。

 それほどまでに、俺の元の肉体は――――脆かった。

 僅か二歳の俺の体は、全身武装化で動くには余りにも幼すぎたのだ。


 『――――がはっ……』


 ボタボタと口から血が溢れる。

 ダメージを自覚した瞬間、激しい痛みが俺を襲った。


 その光景を、ファーブニルは冷ややかに見つめていた。

 ともすれば、あっけないその展開に冷めたのか、それとも安堵からか、ファーブニルは深く息を吐いた。


 そして、ファーブニルが手を挙げる。

 すると、再び魔物達が集まってきた。

 壁や天井から湧き出た魔物は、再び広間を覆い尽くしてゆく。

 

 「危ナカッタガ、コレデ終ワリダナ侵入者ヨ……」


 ボタボタと口から血を流しながら、ファーブニルが宣言する。

 自分の勝ちだと。


 『……………ああ、そうだな』


 「最後ニモウ一度ダケ、問ウ。我ヲ受ケ入レル気ニナッタカ?」


 『………………嫌だね』


 「デハ死ネ」


 やっぱり、どう頑張ったって、俺は主人公(ヒーロー)にはなれない。


 でも、それでいい。

 

 時間は稼いだ。

 

 だって――――本当の主人公(ヒーロー)は、いつだって遅れてやってくるのだから。

 

 ファーブニルが、俺に止めを刺そうとした、次の瞬間だった。


 カッ!と、天井が光った。


 次の瞬間、極太の光の柱が目の前に出現する。

 いや、それはどちらかと言えば“光の渦”と表現する方が良いのかもしれない。

 竜巻の様なうねりを伴って、“光の渦”は俺の目の前の空間を削り取った。

 ああ、俺はかつてこの光景を見たことがある。

 

 「ナ、何ダコレハ?」

 

 数秒の後に、光は収まる。

 そこには、大きな穴が開いていた。

 どこまでも、上に続いているような大きな穴が。


 これは……この術式は………。


 「――――全く、無茶すんじゃないわよ」


 その穴から聞こえてくる、良く知った声。

 何かが―――降ってくる。


 降りてきた影は四つ。

 その影が俺の前に並び立つ。

 

 『御無事ですか、アース様』

 「ぷぅー」

 「あ、お父―さんみーっけ!」


 そして、その内の一人が俺の前に立つ。


 「………はぁ、約束破ってんじゃないわよ、このバカ」


 ガツンと、捻じれた杖でそいつは俺の頭を軽く叩く。

 痛くは無かった。


 『はは、返す言葉もないな………でも、助かった』


 俺が素直に礼を言ったのが意外だったのか、そいつはポリポリと頭髪の無い頭を掻いた。


 「……まあ、でもアンタにしては頑張った方じゃないの。ま、後は私達に任せて、そこで休んでなさい」


 俺は、その四人を見る。


 『ごめんな、皆。助かった……』


 アン、ぷるる、トレス、そしてエリベル。


 誰よりも頼れる―――俺の眷属(かぞく)が集結した。




 ―――第二十話 『集う力』




 


 すいません、次回で決着です。

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― 新着の感想 ―
まぁ王道の展開にしたかったのは分かるけど、最初から言い方をしっかりしてればファルも何とか正気を保とうとしたのでは?と思ってしまうなぁ。 背骨の粉を舐めて冷静さとか手に入れたはずなのに、明確な拒絶だけす…
[気になる点] わーきもい展開 この作者 これで満足するから、小説化しても売れへんねん ここまで主人公を強くさせたんやったら 最後まで戦わせてあげろや そのせいで主人公やってたことほんまに意味無くなっ…
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