第2話 スペード2の女騎士
成る程、そういう訳か!
俺はこのトランプカードを使って、この女騎士を召喚する力を持つようになったのか!
「―――私の役目は、貴方の勝利の切り札となること。御主人様の御命令とあらば、何なりとお申し付け下さい」
俺の前に召喚された『スペード2』の騎士であるニーナという少女。金髪で、ツインテールで、可動性と女特有の美を意識した紅色の鎧ドレスを身に纏っていた。
「……御主人様、どこを見ているのですか?」
鎧ドレスの下の果実は……絶望的な不作だった。
あの女神とは真逆で、実がなっているのかすら怪しいほどの絶壁。それだけが俺の不満だった。
「それよりも御主人様、早く御命令を! ゴブリンたちが……!」
先程の目眩ましから視界が晴れたゴブリンが、再び俺を標的に棍棒を振り回そうとしていた。
「やべっ! えーと、ニーナだっけか? 騎士なんだろ? アイツらをちょいちょいっと蹴散らしてやれ!」
「―――御意!」
ニーナはキリッと鋭い眼をゴブリンに向けると、腰に携えた細長く鋭い刀身を持つ『レイピア』を引き抜き、戦闘態勢に入った。
「やああああああああッッ!!」
横一文字に、ゴブリンの新緑の身をレイピアが引き裂く!
群れは一瞬たじろぐも、数に物を言わせた人海戦術でニーナに応戦する。
対して彼女は、レイピアで棍棒を持つゴブリンの手を攻撃し、武器を持てなくさせて無力化。これを一匹ずつ確実に対処していく。
「良いぞニーナ、その調子だ!」
「えへへっ☆」
俺の応援に照れて、気を良くしたのか。ニーナは群れるゴブリンたちから一旦距離を空けて、レイピアを真っ直ぐ前に突き出して構える。
「いっくぞ〜! 私の必殺技、フェイズ・ワン!!」
レイピアを突き出し、一直線に突撃するニーナ。しかし、足元を見ずに猪突猛進した彼女は、
コツン☆
「はわわわわわわわっっ?!!」
地面に出っ張った小岩に足がつまづき、もんどり打って倒れていった。
その隙にゴブリンたちが、倒れたニーナに情け無用の棍棒百叩き!
「いやぁぁあああ〜! 御主人様、助けてぇ〜〜!!」
おい、ちょっと待て! お前、俺を助ける為に来たんじゃないのか!?
しかし、俺とてゴブリンにボコボコにされてる少女を前に、何もしないような男ではない。
トランプで少女を召喚できたんだ、また何か出せるかも。何とかなれ、トランプカード!
――シュッ!
引いたカードが風を切り、出たカードは―――【ダイヤの2】!! ―――すると、
『【ダイヤ2―ファイア・ショット―】!!』
「え、トランプから音声が!?」
何かの商業戦術でも企んでるのか。トランプカードから音を発したかと思えば、ニーナの方から不思議なことが起こった!
「「「グギャアアアアアア〜〜!!!」」」
なんと、ニーナの身体から炎が発生し、彼女を取り巻いていたゴブリン達は火だるまになり、焼却されていった。
黒焦げになったゴブリンは忽ち消滅し、跡には無数の銅貨が音を立てて飛び散ったのだった。
「ふえぇ〜、助かったぁ……」
当のニーナは目を回し、体中にたんこぶや痣を作って仰向けに倒れていた。なんとも格好のつかない姿だ。
「おい、ニーナ。大丈夫か?」
「あ、はい……。面目ないです……」
お初に掛かる御主人様に対し、カッコいいところを魅せられなかったニーナ。分かりやすくしょんぼりしていた。
しかし、なんというか……ゴブリンってファンタジーの中でも格下のモンスターだよな。多勢に無勢だったとはいえ、あんなのに翻弄されていた騎士って……はっきり言って、
「お前、もしかして弱いのか?」
「なっ……!?」
命を狙われていた身として、不甲斐ない姿への不満が漏れた。とはいえ、今の言葉は明らかに失言だった。
「な、何よーー! 私、弱くなんかないもん!!」
「だったらゴブリンくらいやっつけてくれよ!」
「私が力不足だって言いたいんですか!?」
「じゃ、他に召喚できる奴がいるのかよ!?」
「……いますよ。私の同胞…………12人の騎士たちが」
小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも『★★★★★』の評価、「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を付けて、応援してください!




