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第二十三話 VSドラゴンゾンビ!!②

 


 魔法というものの力は偉大だ。

 戦場でもってそれは、最大限の戦力になり得る。


 しかし、だからこそ。

 魔法というものほど、如実に才能の優劣というものが残酷かを語るものはないだろう。


 普通は魔導書を読み込み、修練に修練を重ねなければならないはずなのに。

 生まれたその瞬間から魔法が扱える者がいる。


 普通は1~5個程度のスキルスロットしかないはずなのに。

 何十種類もの魔法を扱える者がいる。


 魔力値は努力次第で上昇するとはいえ、

 初期値ですでにBやらAやらに到達している者もいる。


 成長速度だって才能がある者とそうでない者とでは雲泥の差が生じる。

 そしてその結果、双方には彼我ほどの歴然たる実力差が生まれるのである。


 そして天才がいるならば、凡才もまた、存在しているわけで。


 そういう意味で、僕は凡才で、『彼』は天才だった。


 僕は『彼』が嫌いで、『彼』も僕が嫌いなはずだ。

 片や異常なほどのスピードで追い上げてきた新星。

 片や生まれた頃から周囲に期待され、それに応え続けてきた勇者。


 とはいえ、お互い今は一端(いっぱし)の冒険者。

 一瞬の躊躇いが人死にに直結することを知っている。


 だから僕達は、己のプライドや感情は無視して、最善策を取ることができた。


「アクセル! 魔力をもっと込めて!! それじゃあ効果が薄くなる!」


「うるせぇなぁ!! わーってるよ!!」


 悪態を吐きながら、アクセルは白く発光する右手をさらに輝かせた。

 彼の手の先。

 彼がイライラとしながら魔力を送る先にいるのは、とある猿だった。


『ウキッ! ゴザルウキッ! ゴキッ!』


 シノビモンキー。

 忍者の恰好をしたモンスターだ。

 ふざけた名前と鳴き声だが、なんと危険度B級を誇る驚異である。


 なんとヤツは、潜伏(ハイディング)の魔法を使えるのだ。

 対象は姿を消し、対象の持つ魔力すら認識から消えることとなる。


 そして、アクセルが生来持つ魔法は使役魔法。

 倒したモンスターを使役する魔法だ。

 彼はこの力と、収納魔法とかいう埒外の魔法で、

 モンスターを倒しては異空間に収納しては使役している。


 敵である魔獣をも引き連れ、前に前にと進む姿からつけられた異名が『勇者』。

 腹は立つが、実力があることは認めざるを得ない。


 まあ、『実力』なら、僕も負けるつもりはないけどな。


「……よし、そろそろアレをやるから……、ユウキ。騎士団の皆の耳を塞ぐように言ってくれた?」


「うん! ばっちりOK!」


「ありがと。じゃあ、ユウキとアクセルも耳塞いでて」


 言われ、ユウキは即座に、アクセルは渋々と耳を塞ぐ。

 二人の様子を確認した僕は、ドラゴンゾンビを見据える。

 姿勢は低く、獲物を狙う獣のような姿勢になった僕は――、


「彗星走(コメットファスト)!!!!!」


 叫び、駆けた。


 直進する流星は、まさしく獲物を射抜く矢であった。

 蒼の軌跡は周囲の人間を愕然とさせた。


 そこに注ぎ込まれた魔力は僕の中のありったけだったが。

 事情を知らない人たちからしたら、山に何かが撃ち込まれたと勘違いするであろう。

 現に、標的であるドラゴンゾンビは、視界の外から風となり急接近した僕に気付くこともなかった。


 僕は反転しながら、剣を引き抜き、

 腕に魔力を移し替え、振り抜いた。


 僕は、ドラゴンゾンビの首を両断した。


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