第二十一話 緊急クエスト!! 王女が連れ去られた!?
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僕は日課のトレーニングを終え、意気揚々とギルド会館へ向かった。
「おはようございまーすっ!」
元気な僕の挨拶に帰ってくるのは、同業者たちの熱い視線だ。
なんかやっぱり、『流星』と呼ばれるようになってからというもの、
皆の僕を見る目が変わってきた気がする。
女の子からの視線は良いが、野郎どもに見られるのはちょっと嫌だ。
僕にはそういう趣味はないから、勘弁してほしい。
僕は向けられる視線を女の子だけには返してクエストボードの前へと躍り出た。
張られた依頼書を片っ端から確認していく。
「えーっと、10万の首、10万の首は……お、あったあった」
ドラゴンゾンビ討伐依頼、とそこには書かれていた。
山奥にゾンビ化した大型の飛竜が現れ、森林を腐らせながら南下中とのこと。
どうやら王都に現れた危険度A級相当の飛竜を、騎士団が仕留め切れたのはいいものも、
魔石を回収する以前に、驚異的な生命力をもってゾンビ化してしまったらしい。
ドラゴンゾンビは、なんと王女を連れ出して山へと逃げ込んだのだとか。
「王女を連れ込んだ!? というか、これ、緊急クエストだ……。どうして皆……って、ああ、そっか」
勇者パーティのメンツは王都に行っていて、おそらく討伐隊にも参加しているのだろう。
あのパーティを除けば、比較的弱い魔獣しかいないから、
ここら辺の冒険者は正直、大したことはない。
僕みたいに一時間や二時間かけて馬車にのり、迷宮を見つけて潰す、なんて熱心な人もあまりいない。
だからそもそも挑戦しようなどという発想に至らないのだ。
まぁ、ともあれ。
ラッキー、というのは不謹慎だろうが。
おかげで滅多に現れない10万の獲物が出てきてくれた。
それにしても王女を連れていくなんて、かなりの変態ドラゴン……いや、頭が切れるドラゴンのようだ。
危険度としては推定A++級とのこと。
S級魔獣のように一瞬で地形を変えるほどの大魔法を使えるわけではないが。
モンスターとしては破格の知能と魔法を扱うことができるというわけだ。
「これは中々の冒険になりそうだな……」
呟きながら、心の中は沸き立っていた。
そこに悲観はなく、「望むところだ!」というワクワク感で満ちていた。
僕は依頼書をボードから引きちぎり、受付へと向かった。
いつものようにしてエルさんにお願いしようとして、その姿がないことに気付く。
そういえば。
昨日、ダンジョンから帰ってきたときから、休暇を取ってるんだったっけ?
「あの、エルさんって今日もお休みなんですか?」
男性の受付員に聞くと、
「ああ、エルなら昨日から実家に帰るんだとか言ってたなぁ」
とのこと。
「そうですか……」
驚いた。
あの小悪魔エルさんにも、実家の親を想う気持ちはあるんだなぁ。
僕は感心しつつ、クエストの受注を済ませた。
「はい、これ反重力シューズね。サイズは27でよかったんだっけ?」
「はい、ありがとうございます」
言いながら、僕はシューズを受け取った。
山間部の、それも国からの緊急クエストともあって、
支給アイテムとして、空船の動力と同じ反重力魔石が使われた、
一度地を駆ければ長時間跳躍することができる魔道具、反重力シューズが配れた。
何度か難関クエストを受けたときに履いたことがあるが、今回も支給されたようだった。
「では、行ってきます」
「はい、気を付けて」
僕はシューズを手に持ち、向けられる視線を躱しながらギルド会館を出る。
目指すはドラゴンゾンビが待ち構える山間部だ。




