39、急増第五オスリス国軍
昨日、ゼビルナンから帰った時には、今日一日中ゴロゴロする予定であった。もとい、各最大城塞都市に『M1910/30 107mmカノン砲』を設置するのに余裕をもって二週間の予定(俺の中で)であった。思い立ったら吉日と言うことで、迅速果断に行動したというのに―――――。
最低でも一週間の休みが欲しい。休暇代わりの視察でもよい。しかし、ここにきて、デリックのお説教で視察にも行けぬ。実に困った。泣きたい。『M1910/30 107mmカノン砲』の練度を確かめておきたい。本番で失敗したら困る。困るで済んだらよいのだが……………。その点は、各将軍たちに任せるか。頑張ってくれ。
ちなみに、オバリから見て、東側が第一オスリス国軍、北側が第二オスリス国軍、西側が第三オスリス国軍、南側が第四オスリス国軍(王直轄軍のため将軍、俺)である。
と考えながらも、執務室で一人、上奏に玉爾を押していく。ちゃんと読んでるからね。読んで理解してから押してるからね。大丈夫だよ。多分…………
「陛下、宰相デリック・ベイントン様が参られました」
「お通ししろ」
デリックが跪いた
「面を上げよ。して、何用だ?」
「はっ、用件としましては、北カンナルの住民の避難についてです」
「何か問題でもあったのか?」
「北カンナルの都市は敵国による破壊及び奪還による自国軍の攻撃により多大なる損害になると予想されます」
「そんなに被害が出るのか?」
「予想としましては、敵による破壊ではあまり被害がないと予想されます。しかし、自国による奪還時に相当な損害が出ると予想されます」
「自国による相当な損害とは?」
「新兵器、加農砲?ですか?、あれで相当な被害が………」
「え、加農砲は、攻城兵機ではないぞ。そもそも、攻城は、井闌車とマシンガンでするからな」
「あ………」
「何勘違いしてたんだ?」
「…………。」
「しかし、被害が少ないことは、良いことなのだかな………」
「よい方法は、ないのですかな」
「第四オスリス国軍を北カンナルへ配置するのもな、ラクバスク騎士国がどう動くか解らんからな。第三オスリス国軍もまたサタル帝国がな………。用心しといた方がいいからな。そう言えば、ドブマタ連邦は、何も噛んでないよな?」
「今のところ連邦は、噛んでないはずです。そうです。北カンナルには、第三、第四オスリス国軍の半数を送りましょう。そして、急増第五オスリス国軍といたしましょう。戦争が終われば解散と言うことで」
「その案でいこう。して、将軍は誰がするのだ?」
「地位の高い方でよろしいのでは?」
「デリックが言うのであればそうしよう」
俺は、ニヤリと笑う。そうすると、デリックが何故俺が笑うのか分かっていないみたいである。
「侯爵と王、どっちが地位が高い?」
「それは勿論王でしょう」
「カタナスと俺、どっちが地位が高い?」
「無論、陛下であります」
「第三オスリス国軍、将軍は?」
「カタナス・キメリエス殿」
「じゃ、第四オスリス国軍、将軍は?」
「それはまだ決まっておりません。なのでへ、い…………」
デリックは、唖然としている。やっとデリックは、分かったみたいである。
「ということだ」
「……………」
「デリックが言ったんだからな」
「しかし、陛下」
「有言実行と言うことで、近衛は、どうする?」
「つ、連れていきます。」
と言うことで、俺は、第五オスリス国軍将軍?として北カンナルへ赴くことになった。いや、赴くことにした。
これで、視察ができる。兵の練度を確かめるのは、将軍の仕事だからね。仕事はきっちりとこなさないと。
しかし、俺は、第五オスリス国軍以外にも視察に赴くのであった。
そして、バナパンヨバ三国同盟との戦争の幕開けが間近に迫っていた。
デリックは、執務室を出て、一直線にカジノへ向かった。見事に惨敗。まさに、「二の句にカジノへ」である。意味「唖然のあまりカジノへ行き散財する様子」類語「泣きっ面に蜂」「踏んだり蹴ったり」など




