女王の爪痕
「おやおや、遅かったですね? 待ちくたびれてしまいましたよ」
「そうか? 結構早めにきたつもりだったんだがな」
暴食の祠の前に到着した俺たちは代行者に絡まれた。一応隠密系スキルは使ったんだがそりゃ効果無いよな…ところで仮面の女はどこいった?
流石にここまできてあいつは帰ったとかは無いと思うんだが…
「神之命、居ないのならその前に潰すまでッ」
「結果盛んですね、貴方達が転移した初期を思い出しますッ」
俺は初手から出し惜しみをしない全力、流石にⅡは効果時間も心許無いし使わないけど…まぁほぼ出し惜しみはして無いからセーフだ。
そして俺の刀と代行者の手に持つ長剣が鍔競り合う頃、鏡花が援護に──
「君は私と女子会ね!」
「ッ?!」
登場空間を割って現れた仮面の女によって援護は叶わなくなる。仮面の女は既に魔法を発動していて自身の肉体速度を上げているようだ。
対して鏡花は持ち前の白魔法でバフは万全、そこに蓮兎が掛けた人之限度も加わっている、そして2人はそのまま平地に移動され戦闘を開始する。
(不意打ちかよ…まぁ鏡花には監視者の眼を付与してるし何かあったら即行ける、それにそう遠くない位置にワープしたな? これならすぐに駆けつけられそうだ)
「私以外を見ている余裕があるのですか? 暴食様は一時的に封印を施したので権能も使えないでしょうに」
「せっかちか? あと呼び方それだと暴食に嫌われるぞ?」
ギイィィィンッ
長剣と刀が鍔迫り合い激しい火花を散らす。両者の得物は性能が拮抗しているのかどちらかが折れるなどは無いようだ。
そしてその剣撃の合間にも両者は魔法を発動、どちらとも風魔法を使い牽制を仕掛ける。
「暴風穿風」
「神風ノ激攻」
代行者が放つ魔法はSランク魔法神風ノ激攻、その攻撃は風の斬撃を地を這わせて放たれる。それは残留する風の刃を他に残しつつ次第に威力を落とし、暴風穿風と互角の威力を見せた。
(威力はギリ拮抗してるが残留効果があるあっちの方が若干有利か…黒域が使えないから魔法の処理も不可能、クソ厄介だな)
残留する風は触れた瞬間に肉を切り裂き枝分かれする。高速治癒の効果で辛うじて耐えているが長期戦となると蓮兎が不利になるのは明らかだろう。
「原初の黒、魂ノ採取ッ」
「能力低下ですか、小賢しい真似をしますね」
「勝つ為なら何でもするに決まってるだろ?」
舐めプで勝てる相手じゃ無いんだ、卑怯?
そんなの真剣勝負にあるはずが無いだろうが、できることは全て──
ブチャッ
突如代行者の背中から血の翼のようなものが現れ、俺の方に向かって覆い被さってきた。代行者の攻撃…?
いやでも当の本人も驚いてる様子だし違うのな、いや冷静に考えてるけど結構やばい状況じゃね?
「ッ?!」
鮮血は蓮兎の傷口から体内に侵入、特に体に異常は無いがステータス画面が突如として現れ種族に変更が起きたとの通知が来た。
『混血(悪魔&植物)から植物の遺伝子が始祖吸血鬼の遺伝子に負けました。種族を混血(悪魔&吸血鬼)に変更されます』
始祖吸血鬼の遺伝子…女王の血かこれ?!
あの戦いの最中に自身の血に最後の命令を下して潜伏させていたのか、そして俺に反応してその血が一気に爆ぜて俺に入ってきた…?
『3時間振りね、元気してたかしら?』
『何で生きて…いや暴食と同じ感じか』
『あら感が良いのね、でも少し違うわ。私は血液に自分の意思の一部を付与しただけ、すぐに私の意識は消えるわよ? まぁたまに出てくるくらいは出来るかもだけど』
まぁ力を貸してくれるってニュアンスで合ってるのかな?昨日の敵は今日の友、まだ3時間しか経ってないけど…
兎に角種族が変更されて魔力が大幅に上がった。吸血鬼の力なのか?何か固有スキル【血液操作】が追加されてるし…
「反撃開始ってことで良いのかな?」
『少しの間だけ力を貸してあげる、ちゃんと地上に出たら私を探すのよ?』




