47話 大樹海の放浪者
◇オルグス大迷宮・31階層◇
「うわ〜森」
「森だね」
31階層は30階までの迷宮とは違い無限に続くと錯覚するほどの蒼天が続いている。
地上には大小様々な木々が生え揃い、それに伴い花や果実が実っており甘い香りが漂っているがその裏には──
「ギュルア?」
全身が蔓で覆われている化け物……
いや覆われているのでは無く体自体が蔓なのだろうその生物は、巧みに腕の蔓を使い蓮兎達の前に現れる。
「明らかに弱点だろ……狙ってくれと言ってるのと同じだぞ?」
「ギュルゥア!」
その有機物の体には橙色に輝く核と思われる球があった。
それは蠢いていて、見る者によっては不快感を覚えるだろうが蓮兎からするとゲームで見慣れているので「弱点だ」としか思っていないだろう。
だが他の者は気持ち悪がっている。
「草の弱点と言えば昔から炎と決まってるよなぁ!妖焔ッ」
「ギュア!」
怪しげな焔が視界に映る者全てを焼き尽くす。
不思議と周辺の植物には燃え移ることは無く対象のみに集中して、主人である蓮兎の命令を実行している。
「ふぅ、俺満足」
「良かったね! それにしてもこの焔凄いね、全然熱く無い……」
「敵対してるやつにしか効果無いんだよ、敵意があったら勝手に燃やすけど」
実に使い勝手の良いスキルだ。
周りを気にして使うのをやめるとかもしないでブッパすれば良いし!
いつか統合のスキルをゲットしたら合体とかもしてみたいな?
統合って何層を攻略すればゲットできるのであろうか……
「なぁここって森だよな? どっちかと言えば樹海か」
「そうだね、見たところはだけど」
ここは森だ……
植物があるって事は肉以外の食べ物があるって事だよな?
既に果物があるのは確定してるし野菜があっても不思議じゃ無いよな?!
米は無いだろうけど……
「空間把握発動ッ!」
ーーズキッ
何回使ってもこの頭痛には慣れない……
あのバカ狼が使ってた堕トス者と同じ感じか?
耐性を貫通して痛みを感じる。
『鑑定結果 ヴァインドール を確認しました。』
え、さっきのやつか?
まぁ単体性能は良く無いけどたくさん集まれば的な感じか、有象無象の相手をするのは面倒なんだけどな。
こいつら植物だからか魂ゲット出来ないし。
「連続で大群戦とかネタ被ってないかぁ〜?」
「どうする? 逃げる? 戦う戦いするならバフ掛けるけど!」
「経験値もそんなに美味しくないし……冥府ノ大地揺ルガセを使っても良いけどせっかく綺麗な景色だし壊すのもな……」
でも連続で逃げるのも癪に触るし殲滅しても良いんだが適正な魔法も無いし……
よし、逃げるは恥だがなんとやらだ!
「逃げるぞ〜! 疾風の靴掛けるから遅れるなよ〜」
「またこれかぁ?! 俺体力無いの知ってるだろ!」
「なんだ? おんぶして欲しいならそう言えば良いのに」
「……やっぱ自分で走る」
「おk、じゃあ頑張れ!」
どこに向かうのか、どこに辿り着くのかは分からないが皆は走り出す。
何故錬成で安全地帯を作らないのかは不明だがそんなことも知らずに今も走り続けている。
単純に馬鹿である。
◇オルグス大迷宮・32層◇
「はぁはぁ……最近走ってばっかじゃね?」
「そうか? まぁ確かにそうかもな……1層分も走っちゃったし」
体力が飽きるまで走り続けられたのは鏡花の疲労を軽減する魔法を使用したおかげだろう。
そうでなければとっくの昔に体力が尽きて死に絶えていただろう。
「休憩してから食えそうなの探すか」
「「「賛成」」」




