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第三十七章:ある娼婦の独白

 新しいメンバーが加入してから数日、開店前のミストナイトクラブで、サラは一人打ちひしがれていた。


 娼婦の経験は長くはないが、それなりに場数は踏んできたつもりだ。見た目だってそれなりだし、テクニックだって自信はあった。しかし、ミストナイトクラブに来てから、彼女の売り上げは他の四人の娼婦に大きく抜かれ、最下位だ。


 一番売れているのは、カトレアというオートマトンだ。彼女は給料を受け取り、オーナーにも不遜な態度を取る、とにかく異質な存在だ。営業中の人員配置を任されており、ここではオートマトンが人を働かせるという、異様な状態になっている。ただ、その傲慢さに釣り合うだけの能力はある。客が好む性格になりきり、うまくおだてては高価な酒を注文させる。ベッドでの技術も相当なもので、彼女の虜になっている常連も多い。特にすごいのが、客をさばく能力だ。一度に複数の席を接客し、寝室では最短時間で客を相手にして、とにかく数をこなす。ここでは誰も彼女に逆らうことはできない。彼女は、この娼館に女王のように君臨していた。


 二番目は、マーシーさんだ。彼女は私たちの中で一番のベテランで、この町の金持ちの常連を多く抱えている。そういった上等な客を長時間相手することで、一人当たりの売り上げを稼いでいた。ベテランというだけあって、娼婦としての知識も豊富だ。アドバイスをもらう機会が何度もあったが、どれも有用なものばかりだった。それに、得も言われぬ包容力があり、疲れた時に彼女にマッサージをしてもらったことがあるが、あまりの心地よさに寝落ちしてしまった。


 三番目のリリィは、努力の人だ。彼女は実家の借金を返すためにここで働いていると聞いた。とにかく働き者で、開店作業や雑用なども一生懸命にこなしている。そのひたむきな姿勢と純真無垢な見た目で、コアな常連も多い。接客人数で言えばカトレアに匹敵するだろう。ただ、客一人当たりの売り上げは一番低い。彼女は酒を飲まず、酒の注文も煽ることがない。寝室も通常料金だけの客が多く、数をこなして稼いでいた。だが、客の満足度で言えば、彼女がこの娼館で一番だ。彼女がミストナイトクラブを支えていると言っても過言ではないだろう。それに、とてもいい子だ。私にも丁寧に接してくれるし、彼女のアシストで得た客も多い。


 四番目のセシルさんは、ホールでの案内や酒の提供がメインで、席で客を相手する機会はあまりない。なのに私より稼いでいるのは、一回の接客で稼ぐ額が圧倒的だからだ。彼女はとにかく話が上手い。あれよあれよと客をおだて、あっという間に高価な酒を注文させてしまう。テクニックの方も相当あるようで、様々なオプション料金を付けて通常の倍以上の稼ぎを出していた。それに幅広い知識を持っており、外国や色々な仕事の話をよくしている。歳はそれほど離れてなさそうなのに、一体どんな人生を送ってきたのか、謎が多い人だ。


 私もそれなりに頑張ってはいるが、他の娼婦たちのような個性は持っていないし、卓越した技術もない。ミストナイトクラブの賑わいのおこぼれにあずかって、予約の漏れた客を相手している状態だ。だが、私にも娼婦としてのプライドがある。新人のおこぼれにあずかって稼ぐのは恥だ。


 彼女たちの技を盗み、テクニックを磨いてこの娼館で成り上がる。そう心に誓い、私は今夜の営業に臨むのだった。

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