八雲くんと夏目くんと、たまに誰かさんと誰かさん。その6。
八雲くんと夏目くんと、たまに誰かさんと誰かさん。その6。
八雲 「小説の中で、ヒロインが主人公に指きりするシーンを入れようと思うんだけどベタかなぁ」
夏目くん「指きりの歌知っているか」
八雲 「もちろん。『指きりげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます、指きった!』だろ。歌詞こわいよね。言葉のあやと分かっていても嘘ついたら針千本飲まされるんだもんね」
夏目くん「げんまんの意味は?」
八雲 「げんまん? ああ、そういえば「げんまん」ってなんだろう」
夏目くん「拳の万と書いて、拳万。一万回なぐることだ」
八雲 「なんかすんごいバイオレンスなんだけど! 針千本より回数も上回ってるし! ヒロインにフルボッコされる主人公なんて俺イヤだよ!」
夏目くん「針千本は狂気的な印象だが、拳万は途端にアクティブになるな」
八雲 「え~。歌を歌いながらの指きりシーンを書こうと思ったけど、やめようかなぁ」
夏目くん「主人公はヒロインとの約束を破る予定なのか」
八雲 「いや、そんなことないよ。ないけど、げんまん~って歌ってる時に主人公がボコボコにされているのが目に浮かぶんだよ」
夏目くん「いっそ、主人公を融通が利かないヤツにして文字通り、フルボッコになればいいんじゃないか」
八雲 「そんな主人公イヤだよ! かっこよくて、優しくて、レディーファーストを大事にする紳士的な主人公を書きたいんだよ!」
夏目くん「『レディーファースト』は、中世ヨーロッパで男がドアを開けた瞬間、殺されないように女性を盾にしていたことが起源と言われている」
八雲 「もう! なんだよそれ! 『レディーファースト』って、もともとそういうことなの!? 昔の言葉の意味とか起原とか、こわいよ!」
夏目くん「『女は三歩さがって歩け』の武士の方がかっこいいか?」
八雲 「それって何かあったらすぐに守れるように後ろにいろってことだよね! 武士かっこいいじゃん!」
夏目くん「今の時代にそのスタンスを合わせるとなると……」
八雲 「ツンデレだ!」
それだ!