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三十日目 リオと薬学

「レイ。今日はどんな薬が出るのかな?」


 ミリアと今日も一緒に盗聴で受ける。これはいつも変わらないだろう。


「さあ、何が出るかな?面白い薬とか出ないかな?」


「そうだね。便利なのも良いけど、たまには変わった効果の薬も欲しいよね」


 ヨハン霊薬のような恐ろしい薬は論外として、何か少し変わった効果の薬でもあると良いんだけどな。


「レイ。そろそろ始まるみたいだよ」


「本当だね。聞こうか」


 メリシア先生の講義に耳を傾けた‥‥。


ーーーー


「ええ、それでは、今回の落ちこぼれ学科行きの生徒を発表します。この決定は覆ることはありません」


 いきなりこれか。まあ、リオが落ちることはありえないよね。


「落ちこぼれ行きは……メディ、テル、リック、トム、以上4名です」


「なんだと!」


「嘘……」


「俺が……」


「落ちこぼれ以下……」


「以上4名はさっさと落ちこぼれ学科に移動しなさい」


 自分たちの座っている椅子を取り上げられるのは辛いだろうな‥‥。


ーーーー


「ねえ、落ちこぼれ学科ってここと違うんだよね?」


 ミリアが聞いてきた。多分違うだろう。だって仮にそうなら、風学科=落ちこぼれになるし。


「そうみたい。だって、ここには僕とセフィナ先生しか居ないし」


 そもそも、ここには僕と先生以外の人はいないはず。


「でも、その人たちどこに居るのかな?」


 ‥‥それが本当に謎なんだよね。どこに居るのかな?


「家に居るはずなんだけど、それにしては来るのが早かったしね」


「迎えがあっても結構遠いはずなのに……」


「……気にはなるけど、その話は良いか」


「そうだね。今は授業に集中しよう」


ーーーー


「さて、落ちこぼれが出たわけですが、意外ですね。あそこの6人組の方が彼らよりも成績が高いと言う結果が出ました。授業以外は我々の話を聞くつもりは無いようですが、これは意外な結果でした。あなたたちも、彼らに追い落とされないように気をつけなければいけませんよ?」


 これはまた酷いプレッシャーだ。リオや優秀な人はどうでもよさそうな顔をしているだろうけど、ほとんどの人は明日は我が身と思っているかもしれない。


「良いですか?あのようなゴミに負けるような存在だったというのであれば、容赦なく落とします。覚悟しておきなさい」


 教育方針がアレなのがなあ‥‥。


「さて、それでは授業を始めましょうか。ニヒル霊薬です。これは新暦812年4月15日8時4分30秒32にニヒル博士が作成し、新暦812年4月15日14時31分25秒28に世界に発表されました。この霊薬はまず根源たる物質である魔力結晶と知力草を混ぜ合わせて、それらをあらかじめ用意した魔力ダケと知力草を混ぜ合わせたものに混ぜ合わせて作ります。これは、飲んだ時に魔力を回復させるのみならず、その後しばらく魔力を減らなくすると言う夢のような回復薬です。別名は魔力霊薬。魔力結晶が手に入りにくいため量産は不可能ですが、その効果は絶大だと言われています。ニヒル博士がこれを作成したときにはフェナテリスはもうこの世に居ませんが、フェナテリスの霊薬の効果を強化したこれは、世界に衝撃を与えました。フェナテリス霊薬だけでも凄まじい効果をもたらすものなのに、上には上が居たのか、と言わしめたほどです。今日はこれと、フェナテリス霊薬の復習をしましょう。まずはここの部分を2回言ってあげます。その後で、こことフェナテリス霊薬の両方を書いてもらいます。ああ、落ちこぼれ学科には分からないでしょうが、まあ、それは自業自得と言う事です。フェナテリス霊薬とは、最初にやったあれの事ですよ。さあ、覚えなさい」


 ‥‥さすがにこれなら落とせる、そう踏んだのかな?でも、6人全員をこんなことで落とせるかなあ‥‥?とっくに自習でもしているだろうけど‥‥。


ーーーー


「ねえ、レイ。フェナテリス霊薬って何?」


「ああ、ミリアは居なかったよね。これの事」


 赤紫色の薬、魔力回復薬を出してミリアに見せる。


「これと他の薬草を混ぜて作るってことは、レイは途中からって事かな?」


「さすがにそれは無いよ。分量とかの問題があるだろうし、これを使うよりも新しい物を作った方が良いよ」


 だって、そっちの方が持てる薬が増えるし。


「ねえ、それで、纏めは?」


「ああ、何故かそのまま言ってたからすごく楽に書けたよ。ほら、これ」


魔力結晶+知力草+魔力回復薬=魔力霊薬

魔力ダケ+知力草=魔力回復薬


「なんか、どこかで見たような組み合わせだよね」


「間違ってないよ。回復の霊薬を作った時とそっくりだから」


 あの時の薬も作った薬に別の物を混ぜて作ったし。


「そっか。だからあれ?って思ったんだ」


「そうだろうね。……そろそろテストが始まるみたい」


「どうなるのかな……?これって、凄く難しくない?」


「通る人は居るんだから、抜け穴もあるんだろうけどね……」


 まあ、聞くだけ聞いてみようか。


ーーーー


 リオside


「では、テストを始めます。さあ、書きなさい」


 まあ、これならあれも落ちるでしょうね。何せ、やっていないところを平然と出したんですから。さて、さっさと書いて終わりましょう。


 リオの書いた答案↓

魔力霊薬・・・魔力回復薬に魔力結晶と知力草を加えて作る霊薬。魔力を回復し、更に一時的に減らなくする。ニヒルが作成した。

魔力回復薬・・・魔力ダケに知力草を加えてつぶして作る赤紫色の薬。魔力を一気に回復する。キノコと草から作られた桃の味の液体。フェナテリスが作成した。

魔力結晶・・・魔力霊薬の素材。魔力を固めて作ったものとされるが、人工的に作り出せないため、天然品を探すしかない希少な素材。

知力草・・・魔力回復薬と魔力霊薬の素材。どこにでも生える赤い雑草である。そのままだととてつもなく苦い。

魔力ダケ・・・魔力回復薬の素材。闇さえあればどこにでも生える紫色のキノコ。見た目は大きな紫色のしいたけ。食べると普通のしいたけの味がする。毒性は無い。


「書けました」


 さて、出したら暇つぶしも兼ねてレイの所に行きますか。


「……合格です」


 ふふ。これなら不合格にはできないでしょう。その顔を見られるのは私くらいでしょうね。本当なら暗記自体していないので落としたい。でも正解だから落とせない。そんな表情ですね。


「さて、私は帰りますか……」


 周りは「速すぎるだろ!」「ありえない!」「マジで!?」とか言っていますが、私には簡単です。間違ってなければいいんですよ。それだけです。


ーーーー


 レイside


 あれから終わるまで聞いていたけど、やっぱり阿鼻驚嘆の叫びが発生するよね。メリシア先生はどうして丸暗記をさせるのかな?


「魔力霊薬だけを作ることにします。あっちは材料の急な発注に間に合わないらしくて……作れるのは大分後になるかもね。二回目の調達には間に合うから必ず作らせてあげられるけど」


 まだ届かないんだ。まあ、それだけ強力な霊薬だろうしね。


「じゃあ、魔力回復薬を作ってください。魔力ダケと知力草を潰して作ります。レイはもう知ってるよね?」


「大丈夫です。じゃあ、さっそく作ります」


「うん。じゃあ、始めて。レイはそのまま私が止めるまでやっていてね。ミリア、これから作るのは……」


 さて、まずは魔力回復薬だ。魔力ダケと知力草を入れ物に入れて潰して作らないと。


「あれ、まだ実験していたんですね、いや、私が早く来たんでしょうか?」


 あれ、この声って、リオ?


「ああ、君もついでにやっていく?」


「良いんですか?では……」


 え、飛び入りでも受けさせるの?まあいいや。続けよう。


「レイ、じゃあ次は、これとこれを入れてまた砕いてね」


 セフィナ先生が渡してきたのはピンク色の塊と赤い草。片方が知力草なのは知ってるから、もう片方が魔力結晶なのかな?


「分かりました」


 今は薬を作らないと。これに集中しよう。


ーーーー


「レイ。その辺で良いよ」


 あれから数分この作業を続けた結果、入れ物の中の魔力回復薬は更に変化していた。その色は薄い赤色の液体へと変化していた。


「じゃあ、一旦棒の先の物を舐めてみたらどう?」


 早速自分の持っている棒の先端についた液体を舐めてみる。魔力回復薬とよく似た甘い香りと味だった。そしてそれを喉に入れたら一気に体の奥から魔力が湧き出してきた。


「どう?魔力結晶が希少品だからなかなか作れないけど、その分効果は絶大でしょ?一滴でその効果が一時間続くの。つまり、この入れ物一本分飲めば一日保つよ」


 これはもはや反則ではないか?って言いたくなる。これを使えばものすごいことになりそうだし‥‥。


「まあ、その薬も当然小分けにしないと駄目だけどね。じゃあ、今日のレイの実験はこれで終わり」


 終わったのか。じゃあ、戻ろうかな?


「レイ。それならこっちを手伝ってくれませんか?」


「リオ?どうしたの?」


「術式の調子が悪くて思うように材料を砕けないんです。一度これを見てくれませんか?対価で術式を差し上げます」


 術式?普通に棒で潰すんじゃないの?まあいいや。


「見せて」


「はい。これです」


 ‥‥ミクシア?えっと、物質破砕の効果で、薬学の素材を一気に砕く魔法か。


「……棒で潰さないの?」


「ミクシアならすぐに潰せると思いました」


「そうだね……これをいじるなら、こことここを変えた方が良いよ?」


「ねえ。二人で何の話してるの?」


 ミリアか。まあ、僕は良いけど、リオは‥‥。


「何でも無いですよ」


 まあ、こう言うよね。


「術式の事を話してたみたいだけど……」


 ミリアも横で聞いてたしね。でも、リオはそう簡単に口を割らないよ。


「ええ。でもそちらには関係ないですよ」


 まあ、こう言うよね‥‥。リオだから‥‥。


「その態度じゃ皆怒らせるわけだよ……」


 さすがにこれには関われないよね。だって初めから相手を拒否する気だし。まあ、今はこれに集中しよう。


「ミクシア強化。並びに性能追加。始動」


 リオに渡されたミクシアを改良して動かしてみた。すると、先ほどまで削れなかった魔力結晶も一気に砕けて溶けてしまった。‥‥威力不足だったみたい。


「出来ましたか?」


「はい、これで良い?」


「ええ。完璧です。威力が足りなかったんですね……」


「自分でやるのが薬学でしょ……」


 まあ、ミリアのように自分の手でやるのが楽しいって意見もあるだろうけど、こういうのもあるから‥‥。


「何言ってるんですか。薬は大量に作ってこそですよ」


「だって、それじゃ薬の価値が……」


「はいはい、そこまで。出来たなら渡してね。次の時間に渡すから。リオは後日メリシアを通して届けるからね」


「分かりました」


「それと、この前二人が作ったピール秘薬を渡すね」


 ピール秘薬で飛行魔法の酔いが治ればいいかもしれない。でも、沢山欲しくても素材が無いよね‥‥。

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