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二十四日目後半 リオとアル

当然ここも大改造。ここの前半部分は前の話に移動しました。

 僕はリオと訓練室に来た。さっき魔法術式の授業で作った魔法のテストをしないといけない。先ほど僕が貰った防御魔法、リオに渡した攻撃魔法。どちらも、急ごしらえで作ったから発動するかや術式のチェックなど行っていないからである。


「じゃあ、僕はリオの魔法術式をコピーして一度使ってみるよ」


「はい。私も、レイのこの術式を基に色々やってみます」


 互いに契約した内容は「相手の術式のテスト」だし、これなら別に相手に利益を与えるわけでもない。損するわけでもないから僕もこの契約に乗った。


 リオの術式は属性が確定していない。つまり、実際に組んだ時に初めて属性が決まるということになる。ならば、その属性を「任意」にして組んだらどうなるんだろ?この任意は、自分の意思でバリアの属性を変えることをイメージした物なんだけど‥‥。よし、それで一度作ってみよう!


ーーーー


「レイの術式は問題ありませんでしたよ。属性の設定をいじりましたが、全く問題なく使えました」


 ああ、あれは使えたんだ。僕の方は今ようやく完成するんだ。コストは3に上がったんだけど、属性を任意に変えられるバリアなんてあったら便利だしね。それに、強度も時間も強化したんだ。


「……ふう。やっとできたよ。試作品だけど、上手くいくかな?」


「術式の基本部分をいじらなければ問題ないはずですよ」


「じゃあ、大丈夫だね。……バリア!」


 術式が発動し、赤色のバリアが周りに展開された。


「今は赤色にしているんですか?」


 リオにも、この仕掛けは分からないかな?‥‥行くよ!エレメントチェンジ!雷を纏え!


「な!これは!?」


 バリアの色が一瞬で紫色に変化した。さすがにリオもこれは想定外だろうな。だって、任意で属性を変えられれば一年のほとんどをやっつけられるもん。


「まさか……属性を変えた?……私の攻撃魔法と同じ……」


 ‥‥え?まさか、同じこと考えたの?


「ねえ、リオの攻撃魔法って属性を変えられるの?」


「はい。レイの術式をいじって作ったんですが、コスト3であらゆる属性に変化する魔法を作ってみました」


 うわあ‥‥。見事に同じ発想‥‥。さすがに、僕だけじゃないか‥‥。


「あらら……専売特許じゃなかったみたいだね……」


「まさか、レイのこのバリアも属性を変えるんですか?」


「そうだよ。エアメイクの代わりの防壁として使おうと思ったんだけど……」


「見事に私の攻撃魔法と同じ発想で作ってしまったんですね」


「……うん」


 どうして被ったんだか‥‥。


「ふふ……誰しも考えることは同じって事ですよ」


 はあ、良い考えだと思ったのに。秘匿技術にはならないか‥‥。あ、そういえば。


「……そういえば、ヨハン霊薬って本当に害は無いの?あんなに恐ろしい霊薬なのに?」


 その言葉に、リオも少し表情を暗くした。


「実は、メリシア先生は嘘を言って生徒に触れさせないようにしていたんです。本当の恐ろしさはあれから先生に聞きました。なんでも、さっぱり女の人にもてなかったヨハンが作り出したそれは、飲んだ直後に飲んだ人の近くに居た異性に対する恋をさせてしまい、最悪結婚まで行ってしまうほどの危険な薬品らしいんです。いわば、超強力な一目惚れ薬品なんです。しかも、効果は最悪永続します」


 それ、本当?‥‥すごく危険なんだけど‥‥‥‥。僕にもディスペルかけようかな‥‥。


「そして、私が飲んだのは更に強力な物でした。ヨハン霊薬を蒸留させ、濃縮した物を飲んだんです。そのせいで、理性が飛んでレイにあんなことを……」


 言われるとまた思い出して赤くなってくる。‥‥そんなに危険な薬品を何でセフィナ先生は飲ませたんだ!


「それはですね、セフィナ先生が「その辺の恋愛ドラマや小説よりも、生徒同士の生恋愛の方が面白い!」なんて理由で飲ませたらしいんです。メリシア先生に徹底的に怒るように頼みました。二度とセフィナ先生にはヨハン霊薬に触らせませんって言ってくれましたよ」


 あのバカ教師!雷の霊薬よりもこれの方がよっぽど危ないじゃない!人を玩具にしてるよね!?


「しかも、質が悪いことに、この霊薬の効果はただの解毒剤では消えないんです。……最悪、薬の効果で人格まで変わるとか言われています。その人への思いのあまり、依存症になってしまうこともあるとか……」


 怖!ディスペルなら多分大丈夫だと思うけど、それって最悪の薬品だよね!


「もし、人格が破綻したら、責任をセフィナに取ってもらいましょう」


「そうだね。そんな恐ろしい霊薬を平気で飲ませたんだから」


 これって、殺されるより怖いよね?‥‥本当に、リオが元に戻ってよかったよ。


「本当に、面白いなんて理由で人に毒薬を飲ませるなんて……」


「はあ。ディスペルを咄嗟に作れなかったらどうなってたんだろ……」


「きっと、とても言えないことになっていました」


「……だよね……怖……」


 ああ、また手が震えて‥‥。


「……大丈夫ですか?」


「……一応は」


 ああ、もう。ヨハン霊薬なんて飲むんじゃなかった‥‥。


 その時、予定外の訪問があった。


「レイ、ちょっと用が……って、君!さっきの時間の!」


「ああ、闇学科の生徒ですか」


 また変なタイミングで来たね、アル‥‥。


ーーーー


「だから、どうして光学科の人がレイと一緒にやってるの!?」


「そういう契約ですから」


「契約って何!?一体レイは何をしてるの!?」


 ‥‥はあ。まさに水と油みたいな関係だね。仕方ない、アルに話をつけるか‥‥。


「アル、この子と僕は技術の教えあいを約束してるの、だから、変に噛みつかないで」


 いくらアルでも、学科のくだらない対立を持ち込むのは許さない。それで僕の受ける不利益を考えたら、無視できないから。


「はあ。光学科が居たらおかしいのでしょうか?闇学科こそ、ここに居たらおかしいでしょうに」


 こっちもか。仕方ない。僕しかこの二人を止められないからやるしかない。


「リオ、アル。ここで、いや、僕の前で学科の対立を持ち込まないで」


「う、レイがそう言うなら……」


 アルも僕の話なら聞いてくれるか。


「良いですけど、対価は?」


 リオだね。さすがリオ。


「って、ちょっと!対価って何なの!?」


 また噛みつくの?アル‥‥。


「決まっているじゃないですか。対価も無く、言う事を聞くと思っていますか?」


「それって友達のすることじゃないでしょ!」


 まあ、アルにはリオと僕の関係をきっちり話そうか‥‥。


「ですから、私とレイは取引相手、つまり、契約の」


「はいはい、口論しない。アル、一々リオの言う事に絡まないでね。リオ、対価なら、ここの使用許可でどう?」


 ああもう。両方すぐに相手に噛みつく体質の子供だから‥‥。って、何、その目は。


「ねえ!明らかにこの中でレイが一番小さいよ!」


「ええ。さすがに、最も小さい人に子供と言われるのは……」


 ‥‥うるさい。すぐに大きくなるっての。


「それで、分かった?承諾できる?」


「レイが言うなら……」


 アルはこれで良いか。


「まあ、対価も貰いましたし……」


 リオもとりあえず納得したみたいだな‥‥。


「じゃあ、そういう事で」


 ちゃんと聞いてよ?二人とも。


「って言っても、そんなすぐに仲良くは……」


 アル。仲良くはしなくても‥‥。


「レイとだけ契約すればいいですし、気にしなくていいです」


 まあ、リオに聞くことは無いか。


「だから、どうして契約契約って……!」


 はあ、またか。友情はいいけど、押しつけや噛みつきは駄目。


「ああもう!少しは学習してよアル!」


「……うっ……ごめん……」


 悪気が無いのは分かってるんだけどなあ‥‥。


「騒々しいですよ?」


「リオ、火に油を注がない」


「まあ、分かっています……」


 この二人と同時に付き合うって出来るのかな?‥‥そうだ、アルは何で来たんだっけ?


「で、アルは何をしに来たの?」


「ああ、そうだ!これ、使えるかなって思って……」


 ‥‥?なにが?


「ほら、練習用の人形」


 アルが出したのは真っ白な丸太に手を付けたような人形だった。


「ああ、なるほど……確かにここには無いよね」


「うん。だから役に立つかなって思って。必要ならあげる」


 的があれば攻撃魔法の結果も分かりやすいしね。


「なるほど。そういう事なら貰うよ。ありがとう」


「それで、どうしてレイはこの子と一緒に居るの?」


 まあ、アルには話してないしね。


「リオとは、この前の術式の授業の後に話したの。それで、互いに意気投合したから三日前の大会に出たんだ」


「ええ。レイと契約して、湧いてきた落ちこぼれを掃除しようとしました」


「ん?……よく見たらあの時レイと一緒に居た子にそっくり、ううん。本人?」


「そうだよ。リオと一緒に光学科の模擬戦に出たの。魔力の色も変幻自在だからね」


「それに、私はずっと術式の授業に居ました」


 そうだよね。リオはずっと居たっけ。


「ああ、だからあの時見覚えがあったんだ……」


「まあ、光学科で私以外に術式の授業に来る人は居ませんしね」


 何でか気になるけど、別に気にすることも無いかな?


「ねえ。ところで、契約相手ってどういう意味?」


 まあ、アルもそこが気になるよね。


「うん、文字通り等価交換で協力し合う仲」


「今日の術式の授業の時は、私が防御魔法を教える代わりに、レイには攻撃魔法を教えてもらいました。今は、互いの術式のテストをしました」


「ああ、なんだ。てっきり現金のやり取りでもしてたのかと……」


 僕たちはそんな仲に見えるの?アル。いくらなんでも、そんなことはしないよ?


「まあ、闇学科でも対価を払えば協力しますよ?一応」


「……言ってることの意味は割と普通なんだけどなあ……」


「まあ、僕とリオはそんな関係。互いに使い道が無くなるまでの仲」


「そういう事です。それが私達ですから」


「うん。二人の考えは良く分かったけど、ホントに極端な考え方だね……」


 まあ、アルには分からないだろうね。


「まあ、光学科は光学科でそういう考えになる理由もあるんだよ……」


 地位を守るなんてレベルではすまない話だし。だって、潰しあいと競争がある場所だからね。光学科は。

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