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22 剣神?

神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、12柱の神々は囁く。

「うん?お前達だって出来るよ? やってみる?」

 顔を左右に振り、お互いの顔を見合う生徒達。コクコクと頷く。

「お前達。結構いい感じでマナを持ってるよ?まずはそれを見える様に……」

 フィオナにした様に、みんなを指導する。


「打って〜〜!!!」

 〝ドンドン!ドドドドドドドド〜〜ン!!!〝

 一斉に放たれ、大小有れど、爆発が起きる。

「「「「「「「「おお〜〜〜〜〜〜!!!」」」」」」」」

 皆んな顔を輝かせながら、大きな歓声を上げていた。


「な?簡単だろ?」

「なんか横から見てたら、催眠術をかけてるみたいね?」

「お?鋭いなフィナ。出来るって思わないとなかなか難しいから、

 暗示にかける様な感じでやってるんだよ」

「す……凄い……」

「何言ってるの先生?先生のマナは、こんなもんじゃ無いよ?

 生徒と同じ様にやってみて?きっと凄い魔法打てるよ?

 但し、今やった様に、詠唱もポーズも、本来は必要無いから止めてね?」

 クスッと笑いながらアルティスは言う。

「でも、それで魔法が、イメージしやすいなら、最初はそれで良いのかもね?

 徐々に、詠唱やポーズ無しで、

 イメージ出来る様にしていけば、それでも良いと思うよ。

 詠唱やポーズを、全否定するわけじゃ無いから」

 そうは言うものの、先程のポーズを思い出すと、肩を振るわせるアルティスだった。

 口を風船の様に膨らまし、顔を真っ赤にして、肩を振るわせるアルティス。

 笑つてはいけないと、思えば思うほど、お腹の震えを抑えられない。


「おい!君達。授業に集中出来ないから、花火で遊ぶんなら、防音障壁でも張って貰えないかな?」

 突然背後から声が掛かる。

 白髭で、相当に鍛えぬかれているだろう、無駄のない身体をした、

 50歳近い男性が、立っていた。

 剣術の達人で、ひとから剣神様と呼ばれている、騎士科を治める剣士だった。


「あっ!あっちで演劇の練習してた人達だ!なんかめちゃカッコ良かったよ!」

「えん?……演劇の練習だと〜!」

「えっ?何……何?」

 揶揄(からか)って言っている訳では無い。本当にそう思ったアルティスだった。

 フィオナは、少し前のアルティスとの会話を思い出す。


「第3の奥義!天空の雷!ウォリャー!」

「おお、カッケ〜 あれ演劇の練習だよな〜?そんなのも、やるんだな〜」

「は〜?演劇?何言ってるのよ、剣の訓練に決まってるでしょ?」

「またまたまた〜 嘘っしょ? フィナってば揶揄(からか)うのが上手いんだから〜」

「は〜〜……」

 ため息を吐くフィオナ。


「えっと……剣の練習?」

「当たり前だ!あれが何に見えると言うんだ」

 顔を真っ赤にして怒る剣士。

「演劇? えっ?でも……何とかの奥義。何とか何とかって叫んでたよ?」

「第3の奥義!天空の雷!だ!」

 剣士の後ろで生徒が叫んだ。


「でも本当の戦いで、あんな風に動き止めないよね?普通」

「あれは、決め技を打つ為に、気を練って(まと)っているんだ!そんな事も分からないのか!」

「いやいやいや……しかも〝天空の雷!〝って、上からの攻撃が来そうだなって……分かっちゃうじゃん……

 次の動きを、わざわざ敵に予告してどうするの?」

「あれが剣神様である、先生の流儀なんだよ!」

「えっ?剣神? 剣神は神界にいるけど……ここにも?」

「神界?何を訳の分からない事、言ってるんだお前?」

「あ……いや、ま、それは良いとして。実戦であんな事しないよね?絶対?

 魔族相手に、それしたら瞬殺されるよ?」

「魔族〜?馬鹿かお前!魔族とか相手にする時は、

 何人かで打ち込み、その隙に数人で気を練り、一斉に攻撃すんだろ!」

「いやそれ……1対多数って都合良すぎる設定だと思うが?」

「魔族相手なら、当たり前の戦い方だろ!」

「そう都合の良い戦いばかりじゃないけどな……そもそも人だって、魔族と対等に戦えるぞ?

 実際、俺は大勢の魔族に1人で勝ってるぞ……」

「お前こそ何都合の良い、嘘ついてんだよ!

 お前だろ?魔族軍を1人で壊滅させたとか、ホラ吹いてるの……

 お前が1人で魔族軍を倒したなんて、俺たち誰も信じちゃいないんだよ!」


「私は目の前で、それを目撃したんだけど……私も嘘つきだと?そう言うのかしら?」

「いや姫……で、でも…… 大体こいつ……そんなに強そうには見えない……んですけど?」

「俺ってそんなに弱そうに見える?フィナ?」

「は〜っっ…… この子達より、遥かに貴方の方が強そうよ?見た目もね」

 〝コクコク〝頭を縦に振る、魔法科の生徒達……同意らしい。


「何なら貴方。アルティスと手合わせしてみたら如何?」

「俺は騎士科の首席ですよ………………まあ良い。相手してやりますよ」

 剣神の先生も頷いて、許可を出している様だ。お互いに木剣を構える2人。


「始め!」

 開始の合図と共に、切り掛かる首席の少年カーマイル。かなりのスピードだ。

 〝カンカンカン!キンキン!〝

 お互いの剣が(まじ)わる。

 歯を食いしばりながら、必死の形相で、剣を振るうカーマイル。

 一方アルティスは、無表情でその剣に合わせる。

 〝ズシャ!〝下から斜めにアルティスが剣を振ると、カーマイルが5メートルほど吹き飛んだ。

 何とか立ち上がるが、息は絶え絶えだ。


「剣筋とか、すごく良いよ?しっかり修行を重ねているのがよく分かる」

 アルティスの方は、息切れもせず、飄々(ひょうひょう)と話す。

「ハアハアハア……くそっ! 第3の奥義……」

 そう言うや否や……

 〝スコーン!〝

 一瞬で後ろに回ったアルティスに頭を小突かれた。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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