表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする  作者: 流優
二人の成長

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

582/613

子供達との海《1》


 その日、俺はリウとサクヤの二人を抱っこして、最近見ていなかった幽霊船ダンジョンを訪れていた。


 二人に、海を見せるためだ。


 一緒の甲板に、レフィと、そしてリルとセツも共にいる。セツも海は見たことないはずだからな。


「どうだ、リウ、サクヤ。これが海だぞー! 綺麗なもんだろ?」


 俺の問い掛けに、サクヤは珍しい光景に目を輝かせ、大海原に見入っていたが、リウはどうやら海の臭いが慣れないらしく、むずがり始める。


 うむ、このままだと泣き出すな。


 そう言えばリューを始めてこっちに連れて来た時も、「海の臭いが慣れない」って言ってたっけか。鼻の良い獣人ならではの問題だ。


「あー、あー、そのままでは泣くぞ。ほれ、リウは任せよ」


「おう、頼むわ」


 俺からリウを受け取り、あやし始めるレフィ。


 ぶっちゃけこうなることは予想していたので、コイツにも付いて来てもらって正解だったな。俺があやしても、全然泣き止んでくれないので。


「お、見ろ、サクヤ。あれがサメだぞ、カッコいいよな。ただ、今泳いでるのは父ちゃんの配下だから襲われる心配はないが、他のとこでサメを見たら逃げなきゃダメだからな? 昼とか深夜とかにやってるB級映画みたいになっちまうからさ」


「……あのような鮫がそこらで泳いでおるものか」


 呆れたように呟くレフィ。


 うん、まあ、スケルトン・シャークだからね、今下で泳いでんの。


 日曜洋画劇場『スケルトン・シャーク~逆襲~』、始まりません。


 コイツらは、俺が幽霊船ダンジョンを受け継いだ時、そのまま俺の配下になったアンデッドだ。


 俺の命である「幽霊船ダンジョンを守れ」という指令を忠実に守る、餌要らずの番犬……番鮫である。


 幽霊船ダンジョンの中にも骸骨とかゾンビが待機しており、コイツらには意思と呼ぶべきものがほとんど存在しないため、俺が面倒を見る必要が全くと言って良い程無い。


 無いのだが、時折様子を見に来るようにはしているのだ。


 アンデッドは嫌いなのだが……一応、俺の配下になったヤツらだからな。可愛がってはやらんと。


「おうお! あぅう!」


「あー、アイツらはダメだぞ、サクヤ。俺の配下ではあるが、リル達とは違うんだ。下手に手を出したら食われちゃうかもしれないぞ?」


「ぶぁう……」


 骨鮫に興味を引かれたようで、両手を伸ばしてそっちに行きたがったサクヤだが、流石にアイツらと交流させる訳にはいかないので、諦めさせる。


 リウもサクヤも、『マップ』上ではしっかりと味方を示す青点……つまりダンジョンから味方であると判断されているはずなので、攻撃されたりすることはないと俺も思ってるが、ちょっと不安だ。


 もうちょっと大きくなってからだな、骨鮫と関わらすのは。


「くぅくぅ!」


 と、一緒に連れて来ていたセツが尻尾をブンブンさせながら、「お船の中を見てみたい!」と元気良く鳴く。


「おう、いいぞ。けど、こっちは結構危ないから、リルと一緒にな。リル、中を案内してやれ」


「クゥ」


 リルは幽霊船ダンジョンの管理にほとんど触っていないが、それでも内部構造はもう熟知している。


 コイツはもはや、ダンジョンの一モンスターではなく、はっきり言って俺と同じ『管理者』の立場だからな。


 で、真面目なので、俺のダンジョン領域がどうなっているかは把握しておきたかったらしく、幽霊船ダンジョンの中も一通り歩いて覚えているのだ。


「くぅ!」


「クゥ、クゥ」


 セツは「お父さん早くー!」と言いたげな様子でててて、と走って行き、リルは「わかったわかった、あまり走り回るな。魔境の森とは別の方向で危ないんだ、ここは」と注意しながらダンジョンの中へと入って行った。


「カカ、彼奴も親になったのぉ。まあ、ユキという問題児の世話をしておったから、そう言う意味では慣れておるのかもしれんな」


「いや、言ってアイツ、娘にも結構振り回されてるけどな。セツはもう、立派なお転婆娘だし」


「父となっても苦労性は変わらず、か。カカ、大変じゃのう、彼奴も」


 頑張れリル。


 ダンジョンの明日はお前に掛かっている。


「そうだレフィ、今日はせっかくだし、海辺でバーベキューにするか。イルーナ達が帰って来たら、すぐビーチで食えるよう、準備しよう。リル一家も呼んで一緒にさ」


「お、いいの! あの子らも喜ぶ。ばーべきゅーをしながらの酒は、美味いんじゃよなぁ……」


「はは、わかる。いつもより酔いが回って、美味いんだよな。普段あんまり飲まないレイラとかも、ベロンベロンになるしさ」


 いやはや、プライベートビーチがあるということの素晴らしさよ。


 気が向いたら海辺でバーベキューが出来るというのは、人に自慢したくなる贅沢さだな。


 何故、人はバーベキューを求めるのか。

 何故、家で食べるよりも大自然の中で食べると美味いのか。


 そこには確かに、真理があるのだ……知らんけど。


「そうと決まったら、戻って食材の準備をせんといかんな! 我が家の皆が食べる量となると、今の内に下ごしらえせんと間に合わん」


「オーケー、そうするか。今日は肉と海鮮、どっちメインにする? 魚食いたいなら、俺今からローガルド帝国の魚市場行ってくるぜ」


「ふむ……悩ましいの。お主の影響で、儂らも相当海鮮が好きになっておるからの。……うむ、両方用意しよう。その方がイルーナ達も喜ぶじゃろう。儂らがこちらで肉と野菜の用意しておくから、お主は好きな海鮮を買って来い」


「そうだな、それが良いか。よーし、バーベキューだぞ、リウ、サクヤ! 二人はまだ食べられんが、一緒に楽しもうな!」


 リウは、よくわかってなさそうな様子で耳をピコピコ動かし、サクヤもよくわかってはなさそうだったが、俺達がご機嫌だということを感じたのか、楽しそうに笑っていた。

 新作の方もどうぞよろしくお願いいたします……(ボソリ)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらもどうか、よろしくお願いいたします……! 『元勇者はのんびり過ごしたい~地球の路地裏で魔王拾った~』



書籍化してます。イラストがマジで素晴らし過ぎる……。 3rwj1gsn1yx0h0md2kerjmuxbkxz_17kt_eg_le_48te.jpg
― 新着の感想 ―
[気になる点] スケルトンシャークはやっぱり口の骨格だけパクパク動いてる感じなのか、プニコリの全身軟骨がくっついて動いてるのか。シャチの骨格みたいにゴツくなくて貧弱だけど逆にカワイイかも。
[一言] 番宣をボソリとつぶやかなくても、堂々と番宣お願いしますね(*´Δ`*)
[一言] ブクマからだと新作あるの知らなかったので宣伝助かる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ