ハイハイ
エルレーン協商連合での旅行が終わり、少し経った。
再び俺達は日常に戻り、イルーナ達は学校へ。
大人組はリウとサクヤの世話をして過ごす一日となり、俺はペット達の様子を見てダンジョンの様子を見て、時折ローガルド帝国の方の魔物状況を確認し、という日々。
またその内旅行には行くつもりだが、まあしばらくはダンジョンでゆっくりするだろう。
……仮に月一とかで旅行に行って、その度にサクヤに変なものを見つけられても困るし。
もう神シリーズの武器はいらないからな。いや、マジで。
とにかく、そうしていつもの日々を過ごし始めた俺達だったが――一つ、変わったものがある。
リウが、ハイハイが出来るようになったのである。
「きゃーっ、かわいいー!」
お前女子高生か、と思わんばかりの歓声を溢しているのは、ネル。
ただ、それも仕方ないだろう。
ハイハイで移動範囲が広がり、それが本当に楽しいらしく、爆裂機関車が如く部屋の中を動き回るようになったリウが、元気いっぱいにぐるぐる部屋を探索していた後、最後に母親達の下へと向かい、リューにトン、とぶつかって、にへらっと楽しそうに笑ったのだから。
「あはは、もー、この子は元気いっぱいっすねぇ。まさに獣人族って感じっす」
足元のリウを抱っこするリュー。
「あぁう!」
ご機嫌なリウは、母親に抱っこされて喜びながら笑い、ただどうも、まだハイハイがしたかったようで、「あっ、今はハイハイするんだった!」みたいな感じで身体を捩って手足をばたつかせ始める。
リューは苦笑しながら下ろしてあげ、すると再び、激走ハイハイ赤ちゃんへと戻るリウ。
「活動的じゃのー、良いことじゃ。きっと身体が強くなる」
「そうですねー。きっとリューも、赤ちゃんの時はこんな感じだったのでしょうねー」
「うむ、リウはもう現時点で、あらゆる面でリュー似なんじゃろうなと感じるの」
「……ウチもそう思うっす。ウチみたいにならないように育てなければ……そうっすね、目指すはレイラみたいな子っすね」
「あら、ふふ、嬉しいですねー」
「えー、僕はー?」
「儂はー?」
「ネルは最近、色々過激派で、ご主人に似ちゃってるんでダメっす。レフィは、度胸があってカッコいいっすけど、でも思考回路がやっぱりご主人に似過ぎてるんでダメっす」
「ぶー、別に過激じゃないもんねー」
「アイツ今、遠回しに俺みたいにならないようにしたいって言わなかったか?」
「残念じゃが、リューの言葉を儂は否定することが出来んな……」
「お前、俺を貶めるためなら、自分が貶められても別に良いんだな」
「一蓮托生とはそういうことじゃろう? 安心せい、お主がどれだけちゃらんぽらんな阿呆でも、儂らは妻でいてやろう。子供にはお主に似んよう強く言い聞かせることになるが」
「良いこと言ってる風で最後に刺してくるのやめてくんない?」
また、そうやってリウが動けるようになって、一番嬉しそうだったのが実はセツだった。
「くぅくぅ!」
ぶんぶんと尻尾を振って、動き回るリウに一緒に付いて行き、追い越したり、ぐるぐる回りを回ったり、身体を擦り付けたりしてじゃれるセツ。
リウもセツを追いかけたり、尻尾ビンタに何だか嬉しそうな顔をしたり、途中全く別のものに気を取られてそっちに行ったりと、自由気ままである。
うむ、目が離せん。セツより目が離せん。
リウの手が届く範囲にはなるべく物を置かないようにしているが、如何せん我が家は人が多く、それ故に物も多い。
あと、手が届かないとは思うが、変に扉を弄って、外に出てしまう可能性もある。……簡易的な柵でも用意するか。
と、一人と一匹の様子を見守っていると、彼女らは最後に、レフィ達の近くでおもちゃで遊んでいるサクヤの下へと向かう。
サクヤは最初、姉達に付いて行こうとしたものの、まだハイハイが出来ないせいで付いて行けず、諦めておもちゃで遊んでいたのだが、そこに二人が行く。
「くぅ!」
セツが「一緒に遊ぼう!」と言いたげにサクヤをペロンと舐め、サクヤは涎でベトベトにされながらも、おもちゃから手を離して楽しそうにセツを撫で始め、そこにリウも参加して仲良く遊び始める。
「カカ、仲が良いの、この子らは。自分達が姉弟だとしかとわかっておるよな」
「な。リウの方は、もう自分が姉だって、しっかりわかってそうだ。セツも、ありがとな。二人の面倒見てくれて」
「くぅ! くぅくぅ!」
セツは、「群れの仲間だからね! 仲良くするのは、当たり前だよ!」と言いたげに鳴き、毛づくろいをするように、二人の顔や頭をペロペロと舐める。はは、あとで風呂に入れなきゃだな。
そうして俺達は、姉弟達の様子を見ながら、皆でのんびりと過ごした。
ん……お茶が美味いな。
えー……新作、また書いてしまいました。学園ファンタジーものです。
現在二十一話まで更新してます。あとがきの他に、すぐ下にリンク張っておきますので。
どうぞよろしくお願い致します……!
『彼方へ紡ぐ』
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