表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする  作者: 流優
ダンジョンの日常drei!!!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

301/613

空島デート《3》



「うおお……すげぇ」


「これは良い景色じゃのう……」


 ――空島の中央に聳え立つ、巨大な山の頂。


 そこから眼下を見下ろし、二人揃って歓声をあげる。


 見渡す限りの、雲海。

 そして、その雲海の下にある、大地の全てを埋め尽くさんとばかりに広がる魔境の森の緑。


 少し遠くには、レフィが以前寝床にしていた山脈が雲を突き抜けて存在しており、雄大な大自然を一望することが出来る。


 その光景を前に、ユキは少しだけ残念そうな声音で口を開いた。


「ここに扉を設置出来れば、皆も連れて来れるんだがなぁ……」


「無理なのか?」


「あぁ、この空島、浮かんでるからさ。俺のダンジョン領域と地続きじゃないと組み込めないし、んで、ダンジョン領域じゃないとワープ出来る扉は設置出来ないんだ」


「それは残念じゃのう。つまりここに来られるのは、お主と儂だけか」


「そういう訳だな。我が家は……あの雲を突き抜けてる山の辺りか」


「うむ、あの山の一個隣の山じゃな。儂の元住処のある」


「お、懐かしい。そうか、あれは以前お前と行ったことのある山か」


 ――そうして、しばしの間二人で景色を楽しんだ後、ユキは「よし」と言って言葉を続けた。


「それじゃあ、ここらで昼飯にするか。時間もちょうどいいし」


「うむ、確かに少々腹が減ったな。大体この島も見て回ったしの」


「翼があるって便利でいいんだが……なんかこう、登山の風情とかないよな……。景色が良くて、気持ちが良いのは間違いないけど、周囲の様子も大体全部わかっちゃったし」


「下の方は緑があったが、上の方はほぼ岩山じゃったからの」


「ま、それでも楽しかったけどさ。色々見ながら、お前とこうして、二人だけで散歩が出来て」


 ニヤリと笑うユキに、レフィは少しだけ頬を赤く染める。

 

「……フン、昼飯にするんじゃろう。早く準備をせんか」


「はいはい、今しますよ」

 

 そう言って、ユキが平らなところに大きめのレジャーシートを敷くと、二人は靴を脱いでその上に座る。


「うおお、気持ちいい」


 と、彼は、唐突にゴロンとその場に寝転がり、目を閉じた。


「一陣の風が吹き、俺の頬を撫でて行く……フッ、我が身がまるで、大空の一部と化したようだ……今の俺は、まさに風そのもの……ウィンドマン……」


「ユキ、全く似合っておらん上に、聞いていて背筋がぞわりとするから、二度とするな」


 というかウィンドマンて、と呟くレフィに、ユキは寝転がったままにじり寄る。


「つれないこと言うなよ、嫁さんよぉ~」


「気持ち悪い動きでこっちに来るでないわ!」


「ぶへぇっ」


 レフィに蹴り転がされ、そのままゴロゴロとレジャーシートの端まで転がって行くユキ。


「イテテ……ひでぇ嫁さんだぜ。旦那はただ、詩作に()けていただけなのに」


「お主の痛々しい言葉を聞かされるぐらいならば、儂は自身の耳を引き千切った方が余程マシじゃ」


「なに、そいつは重大だ。残念だが、詩作は諦めることにしよう」


 レフィの言葉に、ユキは笑いながら立ち上がると、今度こそアイテムボックスからランチボックスを取り出した。


「ほい、箸。あ、フォークの方がいいか?」


「いや、箸でいい。茶を酌んでおくぞ」


「ん、サンキュ。お手拭き、これな」


「わかった」


 二人でテキパキと用意し、準備が出来たところで、手を合わせる。


「んじゃ、いただきます」


「いただきます」


 ランチボックスのフタを開け――現れる、良い匂いのする色鮮やかな料理の数々。


「「おぉぉ」」


 見るからに美味しそうな弁当の中身に、揃って声を漏らす。


 そして彼らは、もう待ちきれないとばかりに、すぐに料理を口へ運び始めた。


「おぉ、この玉子焼き、超絶美味いぞ。いくらでも食える」


「うむ、こちらのからあげも最高に美味いな。イルーナが好物と言うだけある」


 そう言って、バクバクとからあげを食べていたレフィが、もう一つからあげへと箸を伸ばしたところへ――ガシ、と横から伸びてきたユキの箸が、彼女の箸を防御する。

 

「何じゃユキ、この箸は。行儀が悪いぞ」


「いやね、レフィさん。私もこういうことはしたくないんですけど……(いささ)か、些かなんですがね。あなた、からあげ君を、食べ過ぎじゃないかと思うんですよ」


「些かなら別に、良いではないか。全く、狭量な男じゃのう」


「そうか、そうですか。お前がそう言うんだったら、言い換えてやろう――食い過ぎだ! 俺まだ、からあげ一個しか食ってねぇってのに、もう無くなりそうじゃねーか!!」


「いやいや、お主の勘違いではないか? 三個くらいは食べたんじゃないかの。うん、そうじゃ、儂もお主が三個食っておったのは見たぞ」


「そんな雑な嘘で誤魔化されると思ったら大間違いだからな!」


 そう、ユキがツッコミを入れた拍子に力を込めてしまったのか、バキ、と嫌な音が彼の箸から鳴る。


「――って、あぁ!? おまっ、俺の箸折れちゃったじゃねぇか!?」


「いや、今のはお主の自滅じゃと思うが……仕方がないのぉ、ほれ、あーん」


「えっ、あ、あぁ、サンキュ――って誤魔化されねぇからな!? これからあげじゃなくてポテトじゃねぇか!!」


「チッ……」


 あーんされたポテトを律儀に食べてから、声を荒らげるユキ。


「何じゃ、お主、以前にぽてとは好きと言っておったではないか。それを儂が手ずから食べさせてやったというのに、何が不満なんじゃ」


「確かにポテトは好きだがな。それとこれとは話が別だ」


「お主は儂に好物をあーんをされて嬉しい、代わりに儂はからあげを食べられて嬉しい、お互いうぃんうぃんな交換条件じゃろうて」


「そんな交換条件でやるくらいなら、自分で食った方がよっぽどマシだということを、お前はわかっていないようだな」


 その二人の言い合いは、ただ昼食を食べるだけなのにもかかわらず、食べ終わる最後まで飽きることなく続いたのだった。



   *   *   *



 ――後日。


「見ろ、レフィ! あの空島でゲットした飛行石で作った、宙に浮く剣だ! これで、自分の周囲にコイツを何本も浮かせて、ファンネルごっことか、『剣を操りしソードマスター!』ごっことか出来るぞ!」


「……それ、浮くことによる利点は何かあるのか?」


「いや、別にないけど。むしろ飛行石が柔いみたいで、強度が大幅に下がってるから、何かを斬ろうものならすぐぶっ壊れるぞ。多分、台所の包丁の方がよく斬れるな」


「…………」


 やっぱり、この男はただのアホだと、レフィは思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらもどうか、よろしくお願いいたします……! 『元勇者はのんびり過ごしたい~地球の路地裏で魔王拾った~』



書籍化してます。イラストがマジで素晴らし過ぎる……。 3rwj1gsn1yx0h0md2kerjmuxbkxz_17kt_eg_le_48te.jpg
― 新着の感想 ―
[一言] ファンネルにすればいいのに…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ