解消のきっかけは
馬車を裏に停め、お店に入るとナディア姉様とその従者であるキース様が迎えてくれた。
「いらっしゃいエミリーちゃん 来るなら、もっと早く言ってくれればよかったのに〜」
この世界に電話やメールはない。
手紙は郵便屋さんの伝書鳩に預け、伝言は鸚鵡に吹き込んで飛ばすのだ。
これがなかなか正確なので、さすがゲームの世界というべきか。
今回伝言を頼んだ鸚鵡は、私達の到着よりも10分ほど前に着いたらしい。
「ナディア姉様、お店の中をいろいろ見てもいい?」
「いいわよ〜入学祝い代わりに、なんでも好きなの選んで ルシアもよ?」
「いえ、私の分など恐れ多く」
「ルシアの分は、キースが出すから〜」
「それなら遠慮なく」
「少しは遠慮しろよ、ルシア まあいいけども」
ナディア姉様の口調がのんびりしてて、キース様がツンツンしてるから、毎度いいコンビだなぁと思う。
主従関係は、独身の間は継続され、それぞれが結婚するときに、解消か継続を選ぶ。
従者が同性の場合は、主人の結婚後もそのまま主従関係が継続される場合が多い。
貴族は貴族同士の結婚がもちろん多数だが、従者が異性であれば、、主従関係から結婚に至るケースもすくなからずある。
この二人はどうなるんだろう。
じっくりと見回って、気に入った香水や、今日淹れてもらった紅茶の葉など、こまごましたものを買い込んだ。
買い物はストレス発散になる。
せっかく街へ出てきたので、広場まで行きたいというと、買い込んだものや、馬車はお店で預かってくれると、姉様が言ってくれた。
お言葉に甘えて、ルシアと広場まで散歩デートだ。