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第七話 「戦争!?」

「キス……ねぇ」


 むすっと口を窄めるサリアさん。どうにもこの人ばかりは掴み所がない。今も、何故不機嫌そうなのか僕にはわからない訳で……


「……どーーーして、初対面の人とそんなことになるのかは問い詰めたいとこだけど。顔に『僕にもわかりません』って書いてあるから勘弁してあげる」

「助かります……」


 そうして、僕があっさりと吐いたのでそんなに長びかなかった尋問は終わり、受付嬢の悪ノリで別室に移されていた僕とサリアさんはみんながいる酒場に戻る。全て吐いたにも関わらず、サリアさんの機嫌はあまり好転したように見えない。解せぬ。


「あ、尋問終わりましたー?」


 手をひらひらとさせて茶化してくる受付嬢に滑らかな動作でチョップをくれつつ、目を細めて非難の眼差しを向けてくるメメルさんに向け、手を合わせて軽く頭を下げる。僕にも、面倒ごとに巻き込んでしまった自覚はあるのだ。流石に口に出して言ったりはしないが。


「うぐぅ……チョップした相手のことは顧みないとは……さてはエイリアスさんもだんだん私の扱いに慣れて来ましたね!?」

「貴方、キャラ濃いからすぐ慣れられるのよ。私も三日で慣れたしね」

「サリアさんの場合慣れるまでの二日間が実に面白かったですけどね! ねぇ、エイリアスさん知ってます。サリアさんたら冒険者ギルドに初めて来たときビビりすぎてなんと」

「ん? 余計な事を話すのはこの口かしら? さて、針と糸はどこに置いてたっけ……」

()()ふち(くち)ひゃ(じゃ)ないれふ(ないです)ー!! にゅ()ったら(ったら)ひんひゃい(しんじゃい)まふから(ますから)ー!!!」

「え? 口縫ったくらいじゃ死んじゃわないでしょ?」

「もごもごー!!!?」


 ……タノシソウダナー。

 サリアさんと受付嬢さんがじゃれ合っているのを横目で見つつ、メメルさんの頭に手を伸ばして撫でてみる。メメルさんが心地よさそうに目を細め、僕もさらさらの髪が指に絡んで、何処か心地いい。

 何処かギスギスとした空間の中で、一時の癒しを享受していると。


「ズルっ!!!」


 引きこもってた所為で身体が乙女が見せていいそれではないほどに汚れているとかで、ギルド備え付けの風呂に入りに行っていたユカリさんが、帰ってきて開口一番そう叫んだ。


「ダーリン、私も! 私も!」

「私も、って……?」

「撫でて♡」


 ずい、と頭を出して上目遣い僕を見るユカリさん。湯上りで顔は俄かに赤く、髪は手入れが為されたために更にさらさらと靡き、汚れたままでも綺麗だったそれが、磨かれた宝石のような輝きを発しているような錯覚さえ覚えさせた。

 躊躇い、戸惑いながらも頭を撫でると、ユカリさんは猫撫で声を発して僕の手にぐりぐりと頭を押し付け、照れたような笑った。


「って、あぁぁぁ!!」


 と、そんな様子を見てサリアさんが叫びながらユカリさんを突き飛ばし。


「ちょ、何よ!? 私とダーリンの蜜月を邪魔しないでよね!」

「何が蜜月よこのすっとこどっこい! ポッと出のキャラのくせに目立ち過ぎなのよ! 私なんて命救って貰ったんだからね、命!」

「私なんて『俺のものになれ──(渾身の物真似)』って言ってもらいましたけどー。貴方こそ助けて貰った恩がなんなんですかー。私とダーリン♡の関係に関係あるんですかー」


 グギギギギ、と言い争い。そして痛む僕の胃。

 もうどうしたらいいんだろう……帰ろうかな、もう──

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