epilogue:next
何とか
「何故だ!何故当たらん!?」
「それはアンタが弱くて…俺がそこそこ強いからだ…よっと!」
青い立派な鎧を着た銀髪で中年の男にWSを打つ。
「ガァアッ!?貴様…きさまぁ!!」
ギルドの外、広い大通りで這いつくばった男が言う。頭を垂れる男にダッシュ強攻撃。
「グフゥッ!?」
鼻血を出しながら放物線を描き吹き飛ばされる。
「おのれ…おのれぇ!!」
「しつこいな…」
何故こんなにも絡まれなければならないのだろう。
「しつこいだと!?喧嘩を売ってきたのは貴様だろう!!」
「そうだったか?」
少し思い返してみる、心地良い目覚めから…。
『おはようございますご主人様』
「おはようルイン」
気持ちも晴れやかに朝を向かえる。西の最強としての初めての朝だ。
「今日はダンジョンかなー、金はいくらあっても困らないし」
『お身体を休めなくて大丈夫ですか?』
「大丈夫だよ、体力なんて一日寝れば全回復するんだし怪我だって治る」
『そんな事無いと思いますが…』
そう言われても自然回復でHPは満タンになるのだから問題無いだろう。準備を済ませギルドへ。
「おはようセイラ!ルイン!」
「おはよ、レンゴは?」
手を振り応えるルイン。
「まだみたい!今日はどうするの?ゆっくりする?」
「いや、ダンジョン進めよう」
三人で依頼を物色する。
「うーっす、またせたな」
「おはよ、今日は何にしようか…」
「おはようレンゴ!」
会釈するルイン。
「今日はいつもの服なんだな」
「あぁ…今のレベルのダンジョンじゃ火力余剰だからな、アレはおっさんがちゃんと強そうだったから使ったんだよ」
「ちゃんと強いって…当たり前だろうよ…」
こっちの世界に来て初めて強者特有の匂いみたいなのを感じ取れた相手だ、ステータスが高い為か今までそれが無かった。
「んー、一応目安は出来たかな…」
「何のだ?まぁお前の考えは時々わかんねぇから気にするだけ無駄か!」
受け答えしつつ依頼を剥がそうとするとギルドの扉が勢いよく開かれ青い立派な鎧を着た銀髪の中年男と何人かの屈強な男達が這入ってくる。
「セイラ・アズミ!並びにリリー・ナーライム、レンゴと言う冒険者は居るか!!」
ギルドがざわつき視線が集まる。
「やっぱり面倒そうな事になりましたねぇ」
リリーナが呟やき階段を上がって行く。
「ルルブのギルマスか、何だよ」
「貴様等!セイラ・アズミにレンゴ!我が冒険者組合からの依頼はどうした!」
「受けたつもりは無いけど?つか下っ端に伝えとけって言ったぞ?」
「報告は受けている!貴様等が依頼を放棄したとな!!何故だ!」
「五月蠅いな…用事は済んだし早く帰りたかったんだよ」
フレアとリリーナが下りてくる。
「プリン様!落ち着かれて下さい!」
コイツそんな可愛らしい名前だったのか。
「ふん!!落ち着いてなど居れんだろう!この無礼者に対しては罰則が必要だ!!」
「貴方こそ無礼では?この方がどんな存在か知らないのですか?あぁ…情報が行き違いにでもなりましたか…」
「何を言っている?少し等級の高い一介の冒険者だろうが!」
ため息をつくフレア。
「セイラさん…名乗りを…」
「え?自分で言うの?」
「当然です、勿論名声と実績が広がれば必要も無くなりますが…これも役目だと思って貴方の名が広まるまで名乗りをあげて下さいよ?」
まだ何もしてないし仕方ないか…灰被り倒したんだけどな…。
「何をぶつぶつ…」
「分かったよ、よく聞け取り巻きとルルブのギルマス…」
殺気を放ち威圧する。
「なん…だ?」
「西の最強…闘争者のセイラ、それが俺の名だ」
プリンと取り巻きが目を見開く。
「ハ…ハハハハ!何を言っている、西の最強は剛気豪傑の…」
「昨日、正式な試合の結果セイラさんが西の最強と成った事をラハブのギルドマスターフレアが誓って保証します」
「こ、こんな貧相な格好の小僧が…?」
「はぁ…装備が良ければ強いのか?アンタ見る目ねーな…だからルルブのダンジョン攻略頼んで来たんだろ?」
「何を…どう言う意味だ…!」
「自分の所のギルドじゃ攻略出来る冒険者が居ない…実力も見抜けないただ偉いだけのアンタの所じゃ下も育たないんだろ?」
「貴様…!」
「図星だろ、つか暴風の塔だっけか?名前からして初級か中級のダンジョンだぞ…アンタんとこよっぽど頼り無い奴等ばっかなんだな」
「我がギルドを侮辱するのか…覚悟は出来てるんだろうな?」
「はぁ…テンプレ過ぎだろ…」
「意味の分からない事を…ええい!表へ出ろ!制裁を加えてやる!」
「勝手な事は…」
「黙れ小娘!」
フレアを振りほどき外へ出るプリン。
「セイラさん、申し訳ございません。同じ立場として恥ずかしい限りです…」
「あー良いよ良いよ、さくっと追い払うから」
『心配は要らないですよね?』
『ん、ルインから見てどう?』
『ご主人様なら問題無いかと…』
『だね。大体で良いからこれから先、相手の力が分かるようになればルインも成長してるって事だよ』
「まだか!こちらの準備は出来てるぞ!!」
外からプリンの大声が聞こえる。
「んじゃ行きますかー」
外へ出ると既に剣を抜いたプリンが立っている。
「これって決闘か?」
「ふん…制裁だ…!私が勝てば地に頭を垂れ謝罪しろ!」
「アンタが負けたら?」
「ありえんが…どうせ金でも要求するのだろう?ふん…万が一私が負ければ金貨100を与えてやろう!」
「要らねぇ、じゃ決闘は無しって事で宜しくー」
「な、なんだと?ならばこれでどうだ!」
そう言い1枚のキャッシュカード程の大きさの黒い透明な物を見せてくる。
「あれは…」
「知ってるのか?」
隣に来ていたフレアに聞く。
「恐らく黒の招待状かと…しかし本物だとしたら…」
「小娘は知っているようだな?正真正銘、黒の招待状だ…」
「そんなものを何処で?」
「いや、まず説明しろよ」
「何処だって良いだろう…これは貴様程度の人間じゃ入れない特別な者のみが這入れる場所の通行証の様な物だ」
「ふーん」
「セイラさん、あれは所謂…裏の世界に繋がる物です」
「裏ねぇ…どうせ他に良いの無さそうだしそれでいいか」
「どこまでも無礼な!!」
「んじゃそれフレアに預けろよ、後からごねられても面倒だし」
「笑えぬ冗談だな…冒険者風情が…まぁ良いしっかりと持っておけ」
フレアが受け取り宣声を上げる。
「それでは…これより西の最強、闘争者のセイラ・アズミとルルブのギルド長プリン・ゴーマの決闘を始めます!!」
ギルド前の大通りで野次馬に依る円型の即席闘技場が出来る。
「決闘では無い!制裁だぁ!!」
「はぁ…さくっと終わらせるかー」
プリンの攻撃は単調で全く当たらない。WSを打ち這いつくばったプリンの顔面を蹴り上げる。
「おのれ…おのれぇ!!」
「しつこいな…」
「しつこいだと?喧嘩を売ってきたのは貴様だろう!」
「そうだったか?」
鼻血を出し呻くプリンに近付き殺気を全開にする。
「な…ななななっ…!」
「分かったか?こっちは手加減してやってんだ、どうする?まだ続けるか?」
「ほ、ほほ本当にあのシヴァルバに勝ったのか!?」
「自分のギルドで確認しろよ」
「ああ…分かった!分かったから止めてくれ!しし、心臓が止まりそうだ!」
そこで殺気を抑える。
「俺の勝ちで良いよな?」
「当然だ!アレも直ぐに譲渡の準備をしよう!」
野次馬達から歓声が上がる中フレアからカードを受け取るプリン。
「登録消去プリン・ゴーマ…これであとはセイラ…セイラ殿が登録するだけだ、手をかざし新規登録、セイラ・アズミと言ってくれ…下さい」
態度を変えたプリンからカードを受け取り言われた通りに。一瞬真っ黒になると直ぐに半透明な黒色に戻る。
「そ、それでは私はこれで…本当に申し訳無いことをした…貴様達!帰るぞ!!」
そそくさと立ち去るプリン。
「何処で使えるか分かんなかったぞ…」
「そんな物を使おうとしないで下さい、なんならギルドで預からせて貰えますか?調査もしたいので」
「やだよ、俺の物だ。欲しいなら力付くで奪えよ」
「無茶をおっしゃらないで下さい!分かりました…もし何か情報が入ったら教えて下さい…」
「そんくらいなら良いか」
『ご主人様、お疲れ様です』
『ん、全然疲れて無いけどねー』
「お疲れさん、つっても疲れたのはアイツだけか!」
「容赦無いわね…それに凄く怯えてたわよ?」
「ま、ちょっと脅してやったんだよ」
野次馬達も消えた所でギルドへ戻り4階の部屋へ通される。
「王都への出発準備は順調です、恐らく三日後には出発出来るかと。日程が決まりましたらお伝えします」
「オッケー、宜しく」
「はぁ…パ…シヴァルバも同行となりますが此方から連絡しておきますね」
その後適当に依頼を受けダンジョンへ向かう。
「しかし王都か…暫く会えなくなるな」
「戻ってくるのよね?」
「なんだよ二人とも寂しいのか?」
「そりゃな」
「当然よ!レンゴと迷宮進めて待ってるからお話ちゃんと聞いてよね!」
「おぉ…そうか…」
二人ともストレートに来るので少し照れる。ダンジョンで夕方まで過ごし解散となる。
「準備もしたいし二日時間貰って良いか?」
「分かった、セイラなら旅の準備の心配も要らねぇか」
「分かったわ!んじゃまたね!」
二人と別れルインとギルドに査定をしに行く。
「聞いたぞ、戻ってきたらまた稼がせろよ」
オークスに親指で応え宿へ。
「王都にも米あるかな…」
『私はどんな料理があるのか楽しみです!』
体を洗い夕食を終えヤトの相手をしながらゆっくり過ごした後にベッドへ。
「おやすみルイン」
『おやすみなさいませご主人様』
次の日は旅に必要そうな物を買い街を散策して過ごす。その翌日ギルドへ行くとフレアから日程を告げられその日までレンゴとストロベリルと一緒にダンジョンへ潜った。
「リーラさん、また戻ったら宜しくお願いします」
「はい、またのご利用を心よりお待ちしております」
出発の日の朝、礼を言い宿を出る。正門で待ち合わせなので弁当を買い向かう。
「おっちゃん!ちょっと王様に会ってくるから暫く来れねぇ」
「おう西の最強!あんま騒ぎ起こすなよ!」
「大丈夫だよ、んじゃ!」
親指を立てその場を離れる。正門へ着くとレンゴとストロベリル、シヴァルバとリリーナが先に居た。
「おはよ」
「うーっす」
「おはよ!セイラ!ルイン!」
「おはようございますぅ」
「来たな小僧にルイン嬢」
会釈するルイン。
「小僧、荷物はどこだ?」
「あー俺マジックボックス持ちだから」
「ほう…」
「セイラ!ルイン!これ旅の途中で食べて!今朝作ったの!」
そう言いストロベリルが編み込まれた木目の籠を渡して来る。中を確認すると甘酸っぱい香りのする赤い果実のタルトが入っていた。
「前にアナナッサの実をくれたでしょ?あれは子供たちにあげちゃったけど昨日探してみたらあったの!」
確かナイスミドルなおっちゃんから貰った実だ。どっかで聞いか見た事あると思ってたがどうやらネットサーフィン中にでも視界に入っていたのだろう。フラガリア・アナナッサ…イチゴの品種だ。
「俺からはほら、ルインちゃんにはこれ…時々迷宮で休憩中に祈ってんだろ?一応清められた布らしいから十字架の下にでも敷いてくれ」
そう言いながら真っ白な布に金の刺繍が入った物を渡す。
『わぁ…有り難いです』
お辞儀するルイン。
「セイラはどうせその服だろうと思ったからな、ほら」
真っ黒なフード付きの腰辺り迄の外套を渡される。
「小雨でも当り続けたりしたら体調崩すからな、体に気を使えよ」
「相変わらずオカンだな…ありがと」
「私は見送りだけなんでぇ…あ、お土産お願いしますねぇ」
「あいよ」
「挨拶は済んだか?王都迄はコイツで行く、乗れ」
親指で示した方向には屋根付き六輪の荷台。繋がれて居るのは三メートル程の巨大な羊…に亀の甲羅が付いた不思議な生きもの。
「タルトスってんだ、少しの水と魚で餌が足りて体力もある。長旅に合う牽引獣だ」
「宜しくなカメ吉」
「変な呼び方をするな、ちゃんとゴーランドって名前がある」
「メリーじゃねーか…」
手綱はシヴァルバに任せルインと荷台へ上がる。
「気を付けてな!」
「戻って来たときにびっくりするくらい強くなってるからね!」
「お土産忘れ無いで下さいねぇ」
「落ちるなよ!小僧、ルイン嬢!行け、ゴーランド!」
荷台の日除けを開け手を振るルイン。
「じゃあな!お前らもあんま無茶すんなよー!」
ラハブを出て王都へ。
強者の集う場所へ・・・。
新章開始!の前におさらい含めてキャラ紹介挟みます、更新早ければ二日…遅くても三日後になります。二章は長くなるかな…三章も長くなるか…四章は…もっと長いか…まだまだお付きあい宜しくお願いします!




