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第35話:急成長

少し長めです

冒険者用に取られた2階の広いスペースに上がる。


「とりあえず、ジン、防具を全部外して」


「えっ…うん、分かった」


「ついでだし…レンゴ、村人はレベルいくつでベーシックになった?」


「確か…32だったかな…」


「分かった、後は今のジョブとベーシックでの職も教えて」


「今は二次《セカンド》の大弓師(ドリンガー)で武器はギルドに預けてる、レベルは27で基本職(ベーシック)じゃ狩人を35まで上げた」


「うん、バトルスタイル(戦闘方法)は今のままが良い?」


「そうだな…俺はこのままが性にあってる」


「そっか、ジンは防具外し終わったね。んじゃクラスチェンジしに行こうか」


「でも、何回も行ったけどダメだったんだよ?もう少しレベルを上げてからじゃないと…」


「良いから良いから」


1階へ降りてリリーナさんの下へ。


「リリーナさん、クラスチェンジ出来る?」


「出来ますよぉ、ギルド受付になる為には必須ですからねぇ」


「んじゃジン、こっちきて」


「分かった…」


「リリーナさん、ジンを魔術師に変更して」


「えっとぉジンさんをですか?分かりましたぁ」


「装備で能力の底上げもしていないのに…リリーナさん、ごめんなさい。一応お願いします」


「はぁい、また落ち込んだりしないで下さいねぇ?」


そう言うとジンの両手を包み目を見開く。


「えっとジンさん…基本職なら何にでもなれますよ!どうしたんですか?!」


おっと口調を作るの忘れちゃってますねぇ。


「本当ですか!自分でも訳が分かりません!」


お互いに驚いているが当然の結果だ。


「どうなってんだ?」


レンゴも不思議がっている。


『うーん…』


『分かる?』


『うーん…あ!実力に合ってない装備だったってやつですか?』


『正解!覚えてたんだね』


『はい!』


『村人って基本装備無いんだよね、だから無理矢理皮の鎧(レザーメイル)を装備したジンじゃステータスに大幅な減り…具体的には半分になってた訳、多分レンゴは今の服のままでクラスチェンジしてジンは装備したままクラスチェンジ受けに行ったんじゃないかな?』


『なるほどです…』


「本当に職業変更(クラスチェンジ)出来たよ!でもどうしてだい?それに何故魔術師なんだい?」


「うーん、装備が悪かったんだよ魔術師なのは…うんと、勇者ってどう戦うか知ってるか?」


「結構揃えるのに時間掛かったんだけどな…勇者はパーティを守りながら戦う者だよね?」


「違う、まぁ出来ない事も無いけど…それだとホーリーナイトが向いてるかな」


「聖騎士様の事だね」


「あぁ、んで勇者の戦い方は自分にバフをかけつつ臨機応変にサポート、盾変わりをこなしたりするんだ」


所謂何でも出来ますよだ。が、それ故に物足りない職でもある。

まぁセカンドでも混成職(ミクシード)と呼ばれる者はルインの三操者(チェンジャー)然りちゃんと育ててちゃんと使いこなして初めて真価が問われるものばかりだが。


「色んな事が出来るんだね…」


「そうそう、んで必須にも魔術師、戦士、神官の三つを修めるのが条件だから先ずは魔術師になってもらったって訳」


「そうなんだ…セイラ君は何でも知っているんだな」


「まぁ、ね」


性別が違うので知っている事だけとは言わないでおこう。


「あとはレンゴもクラスチェンジで村人になって」


「え!何でだよ」


「ついでだよついで、どうせならレンゴも強くなりたいでしょ?」


「まぁそうだが…分かった、信用するよ」


クラスダウンだが村人の心得は絶対に必要、大弓で戦うのが合ってると言っていたのでそれに合わせて心得も修得させるつもりだ。ルインと同じ熟練度の事も考えて有利に働くモノだけとっていく。


「んじゃどっちも装備はそのままで良いよ、適当にクエスト選んでくるから待ってて」


「「正気か!?」」


ジンとレンゴがハモるが気にしない。ジンはレベル1からだから少し不安だが新人(ルーキー)シリーズで一撃で倒せる相手ばっかり選ぶつもりだから問題ない。


壁に貼られた依頼表を眺め、ひとつ剥がして受付に持って行く。

ラフィンとは違い番号札は無いようだ。


「リリーナさん、これを四人で受けます」


「はぁい、在りし日の記憶(ダンジョン)内でのクロウラーの討伐ですねぇ、討伐の証は角です。お気を付けてぇ」


「んじゃ皆、行こうか!」


『はいっ!』


「お、おう」


「大丈夫かな…」


ばらばらな返事を聞き、ダンジョンへと向かう。


中央へ進み、別れ道を左下へ。

暫くすると賑やかさが増し、さまざまな露店も増える。

端まで行くと大きな台形の建造物が見える。

一応確認の為に視てみると[在りし日の記憶]と頭に流れる。

受付らしき所へ行きギルドカードを見せて中で何があっても責任は取りませんよと言った内容の同意をし中へ這入る。


中を少し進むと青白く発光する球体、その周りには梵字の様な文字が浮かび帯状になって球体を囲んでいる。


「んじゃ武器を渡すね、ジンにはこの杖とネックレスを、レンゴにはこっちの剣ね」


「ありがとう、それにしても豪華な杖だね…」


「剣も凄そうだが…セイラはマジックボックス持ちなのか?」


豪華って言うか趣味の悪い色だしベーシックまでしか使わないアイテム欄(イベントリ)の肥やしみたいな物だが。ネックレスには経験値増の効果が付いている物だがこちらもベーシックまでだ。


「まぁそうだよ」


「凄いな…」


「あぁ、俺もランク的にはベテランだけど初めて見たぜ」


『ご主人様は凄いんです』


ルインの声は二人に届かないが誇らしげにしている。


「とりあえずレンゴが前衛、ジンは後ろから…杖の先から力を放出する感じで戦ってみて」


「なんか適当だね…」


うるせー!言葉が伝わり難いんだからしょうがないだろ!


「まぁやってみれば分かるって」


次々と球体に触れ、消える冒険者達に続いて転移門(ゲート)に触れる。一瞬視界が白くなりすぐに晴れる。


「おぉ…」


『広いですねー!』


着いた先は下へと続く階段が近くにある崖の上。見晴らしが良く、広い、緑の鮮やかな森と巨大な川が見える。


「在りし日の記憶1界層、エリナとの出会いって場所だ」


「なんか逸話とか残ってんの?」


決定迷宮《デターマインドダンジョン》には凝った設定とシナリオ等があり、中々面白かったりした。


「詳しくは知らねーが、何でも昔、王子様が禁忌の象徴のエルフと出会った場所らしいぜ?ジンはなんか知ってるか?」


「うーん、僕もあんまり詳しく無いけど…確かオークに襲われてるエルフを助けて王子様がその娘に一目惚れして…とかって話だよね?」


「ふーん、何処まで攻略されてんの?」


「12界層だな、いくつ界層があるかまでは分かって無ぇ」


「結構深いな…15、20くらいまでは在りそうだな…」


『分かるんですか?』


『まぁ大体ね』


「んじゃ行こうか!クロウラーは雑魚だからサクッと倒してレベル上げるぞー」


「サクッとって…」


「俺はまぁ村人だけどレベルは大丈夫だが…サクッとなんて無理だろ…」


ぶつくさ言う二人を連れて階段を降りて行く。ルインは分かりきって居るのか静かなままだ。


森の中を少し進むとあちこちに2メートル程の2本の角が生えた青い芋虫が現れる場所へ出た。


・這う者(クロウラー)LV5


「んじゃちゃっちゃと倒しちゃってー」


「あぁ…」


「杖から力を放出する…」


ジンの杖先から光の魔弾が放たれる。見事にクロウラーに当たり、そのまま動かなくなった。


「一発!?」


「こ、これは…どういう…」


新人装備(ルーキーシリーズ)、その名の通り村人(ノービス)から基本職(ベーシック)迄の間、攻撃力に+100の序盤では強力な装備だ。


「分かった?んじゃ止まって無いで手を動かそうか」


「おう!」


「分かった!」


セカンドでLVも8と15の俺とルインは経験値的にも不味いのでお休みだ。まぁ自分は参加しても良いが四人以上戦闘に参加していないと経験値ボーナスも付かないので効率が悪くなるだけだ。


「すげえなこの剣!切れ味が抜群だぜ!」


「僕も力が溢れて来るよ!」


沸き(ポップ)も調度良く、モンスターが尽きる事は無い。

レンゴを視てレベル50になったのを確認。


「二人とも、一旦戻って!」


「あぁ!」


「分かった!」


少し休憩を取り、戦闘を再開。


「レンゴはこのまま休憩、ジンはこれ飲んでから討伐を進めて」


取得経験値2倍の薬(パワーポーション)を渡す。


「分かった」


そのまま討伐を進めあっと言う間にレベル50、成長限界(マスタリー)だ。


「ジン!もう良いよ!皆で戦利品(ドロップ)の回収して!死骸は俺が回収するから!」


「角の回収だろ?手伝わなくて良いのか?」


「面倒だからそのままマジックボックスにぶち込むよ」


「あぁ…そうだったね便利だなぁ」


『しかもご主人様のマジックボックスは容量も凄いですよね…普通これだけの数は入りませんよ…』


そう言われてもイベントリ内じゃ99個ずつ貯まり、欄も最大まで拡張してるから500迄有るのだ。至高の実が4700あるがイベントアイテムは殆ど特別枠に入る。

崖の上のゲート迄戻る。


「んじゃ次はジンが神官、レンゴが戦士にクラスチェンジしてきて、俺達はここで待ってるから」


「分かった…」


「次は基本職か…ジンは分かるがなんで俺まで…しかも狩人ですら無いのか…」


弓はAGIとSTRで攻撃力補整が掛かる。心得でセカンド以降STRにボーナスが付くので当然だ。


「早く行ってらっしゃい、今日はその二つを終わらせるから」


「はいよ、まぁ信用するって言ったからな…」


「ところでお昼は大丈夫かい?何か買ってこようか?」


「あぁ大丈夫…っとこれお金、肉の串焼きだけ30本程買ってきて、ジンとレンゴもこのお金で何か買って来なよ。戻ったら昼飯にしよう」


金貨1枚渡す。


「良いのかい?ありがとう」


「おっ!ありがとな!」


ルムゼン討伐のお陰で小金持ちだからな。このくらいで罰も当たらないだろう。見送りを終えて暫く崖の上から森を眺めて待つ。


『危ないですよ?』


崖から足を放り出し、寝そべっているとルインが心配そうにする。


『平気平気、ルインも来る?』


『遠慮します…』


ヤトを喚びルインに遊んで貰う。

ボーッと空を眺めているとゲートから音が聞こえジンとレンゴが戻ってきた。


「なんだこいつ!魔物か!?」


「ルインさん!離れて!」


ジンが杖を構えるが何も出来ないぞっと。


「俺の使い魔で名前はヤトだよ…つかこの光景に危険があるか?」


ヤトはルインの腕に絡み付き、その頭をルインが優しく撫でている。


「そう言われればそうだな…」


「良く見ると可愛い…のかな?」


串焼きとお釣を受けとり肉だけ串から外してヤトに与える。


「俺達も食べよう」


イベントリから弁当を取りだしルインに渡す。

ジンとレンゴは惣菜パンを買ってきた様だ。

昼食を終えて再開、レンゴにも経験値取得増の指輪とパワーポーションを渡す。ジンの薬の効果は継続中なので要らないだろう。

剣はそのまま、ジンには金色の鎚(つち)を渡す。


「ジン、レンゴ、最初の何体かは攻撃に当たらない様に注意して、まぁ5体も倒せば神経質になんなくても大丈夫だけど」


「分かった、何体か倒した後も攻撃は食らいたくないけどね」


「言えてるな」


そう言い残しまた魔物狩りを始める。

一時間半ほど狩り、二人ともマスタリーになる。


「うっし、レベル上げ終わり、ドロップ集めて」


「基準はなんなんだ?」


「ん?その職のレベル上限だけど…」


「セイラ君はそれが分かるのかい?」


「まぁ経験でかな…」


本当はステータスを視ているだけだが面倒なのでそう言っておく。


「お前何者だよ…」


「いずれ最強を名乗る者だよ」


「それは凄いな!応援するよ!」


「じゃあ西の最強に挑むのか!?大変だな…」


『ご主人様なら大丈夫ですよね?』


『もうちょっとレベル上げないと厳しいとは思うけどね、セカンドって事は無いだろうし』


和気あいあいとドロップを回収し皆でギルドへ戻る。

日は沈んだがリリーナさんの所へ。


「討伐終わったよ、クロウラーはそのままマジックボックスに入れて帰ってきたからギルドで査定お願いして良い?」


「あらぁセイラさん珍しい物を持ってるんですねぇ、フラれちゃったのはやっぱり惜しいですぅ」


「ハハッ、まぁ機会があれば」


「ふふふ、それでは三階の解体所へ案内しますねぇ」


三階は広く、いくつもの作業台が設置されている。


「オークスさーん、解体をお願い出来ますかぁ?」


「ん?リリーナ、奥はジンとレンゴ…そっちの坊主と嬢ちゃんは見ない顔だな…特長からすると噂の新顔か?」


アゴヒゲに口周りのヒゲが繋がった坊主頭のがっちりとした体型の男性が返事をする。


「セイラです、彼女はルイン、宜しくお願いします」


「おっ、ちゃんと礼儀がなってるな。俺はオークス、解体は任せな」


「じゃあ…」


そう言い278体のクロウラーをその場に出す。作業台には乗り切らず山の様になっている。


「ひいいいっ気持ち悪いっ」


リリーナが悲鳴を上げる。確かに。


「すげぇ量だな…明日になるが良いか?」


「はい、お願いします」


「分かった、任せろ…それにしても…セイラだったな良い腕だな」


「ん?倒したのは全部ジンとレンゴですよ?」


「本当か!?レンゴはまだしもジンまで?どっちにしろこの量を二人で…いつの間にか腕を上げてたんだな」


「ええ…まぁ…」


「おう…」


二人とも歯切れ悪くなる。まぁ武器のおかげだからな。


受付へ戻り、角はまだだが依頼達成としてくれた。

全部で20万ネル。金貨十枚ずつジンとレンゴに渡す。


「な、こんなに貰えないよ!」


「あぁ、それにあれだけの量を倒せたのはセイラが貸してくれた武器のおかげだろ?」


「つっても俺達は何にもしてないからな…」


結局4等分になり、金貨5枚はルインに渡した。


『良いんですか?』


『んー半分突き返されたし俺もなんもしてないんだから良いんじゃない?一応パーティだし』


『判りました…ありがとうございます!』


『礼なら二人にね』


ルインがお辞儀し二人が応える。


「んじゃ今日は解散で…とりあえずそのまま武器も持って帰って良いよ、大丈夫だろうけど念の為自己防衛手段として」


「分かった、何から何までありがとう」


「悪いな、甘えさせて貰うぜ」


「んじゃまた明日の朝にでも此処でー」


「うん」


「あぁ」


そうして解散となりルインと宿へ帰る。

先に体を洗い、ヤトを喚び食事を待つ。

今晩は魚の煮付けや焼いた物、米に良く合う物ばかりだった。

因みにルインも主食は全てオコメマイにしてもらっている。

気に入ったようで伝えるよう頼まれたからだ。


「今日も美味しかった」


『はいっ!』


「ピィーーー!」


そのまま露天で一息つく。

今日はルインが這入って来ない雰囲気なのでヤトと一緒だ。

風呂を上がりヤトを戻してベッドのある部屋へ。

ベッドに腰かけて居たルインが立上がり背中を見せ浴衣を脱ぎ出す。あの店で買った白い下着、上は綺麗な刺繍が金の糸で施されており、下はOバック、浅黒い褐色の形良いお尻が覗ける。

ギューっと抱きつかれベッドへ。

もう余裕だろ。完全に大丈夫なやつだろう。と思うも触れる勇気が出ずにされるがまま、あの子を解き放つ。腕に呪い等受けていないが。


『ごちそうさまでしたご主人様!美味しかったです!』


「うん…ありがと…嫌だったら気を使わなくても大丈夫だからね?」


『命令じゃ無いのに嫌ならしませんよ?性奴の方に教えて貰った事なんです、迷惑ですか?』


「いや、俺は助かるよ」


『ご主人様の助けになって嬉しいです!』


ニコニコと無邪気な笑顔のルイン。


「分かった…じゃあ…寝ようか…」


自分だけ満足して最低な気もするが手を出して嫌われたら最悪だ。そんな事で関係を崩したく無い。我ながら臆病だが。


『おやすみなさいませご主人様』


「おやすみルイン」


そして直ぐに眠りに入る。ルインのお陰だ。



VSルイン 巧みな口撃に寄り敗北!







ブックマーク増えております!感謝です!

0時投稿間に合わず申し訳ありません…。

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