第13話:名物
いつもより少し長くしました。
どくらいの長さが読みやすいのか未だ把握しておりません。
「着いた…」
黄昏時、眼前には頑丈そうな木で出来た開放されている門と衛兵らしき二人の人物。
「あのー、東の村から来たんですが」
「ん?旅人か?東の村と言えば…一番近いのはママカの村か」
名前までは知らなかったが多分そうだろう。
「はい、ここに教会と冒険者組合があると聞いて」
「おぉ!冒険者志願か!ここは始まりの街と言われるラフィン、数々の有名な冒険者達が輩出されている場所だ」
面倒見の良さそうな三十代前半と見られる男が自慢気に語る。
「はぁ、それで通行許可書とかって要ります?もしくは通行料とか…」
「ん?言っただろう始まりの街と、他の街だとギルドカードの提示なんかが必要だがここは冒険者になりたい奴らが集まるとこだ、そんなもんは必要無いよ」
「それって安全とか大丈夫なんですか?」
「ハッハッハ!ここは迷宮がすぐ近くにあってな、財宝目当てに腕利きが集まる街でもあるんだ。そんな場所で騒ぎを起こす奴は馬鹿だよ!始まりの街って言っちゃいるが活気も凄いんだぞ?」
「なる…ダンジョンか…分かりました有難う御座います」
「おぅ!冒険者を目指す若者は大歓迎だ!しばらく真っ直ぐ進むと噴水がある広場に出る、そっから右に行くとギルド、ちょっと距離は離れるが左へ進むと教会だ」
軽くお辞儀をし中へ入る。石畳の敷き詰められたどこか安心する様な街。衛兵 が言ってた通り人は多い。人に混じって獣人やドワーフもちらほら。
先ずは教会を目指す。確かめたい事の下準備だ。
噴水広場に到着。途中、生エルフとの運命的な邂逅を期待したが1人も見つけれなかった。ネコ耳のクソ可愛な女性は見れたので良しとする。
程無く教会へ。修道女らしき人へ尋ねる。
「すみません、職業変更しに来たんですが」
「冒険者の方ですか?ご案内しますのでこちらへ」
案内されたのは教会の奥、信者らしき人達がちらほらお祈りを捧げている場所の最奥、十字架の掲げられた教壇の様なところだ。
「すぐに神父様を呼んで来ますので少しお待ちを。お祈りを捧げて過ごして下さい」
「……分かりました」
この世界の神様なんて知らないので適当に相槌を打つ。
もしかしたらあの白い男はこの世界の神様か?
だとしたらなんとも勝手しかない神様も居たもんだ。
1人更けていると白い法衣に身を包んだ穏和そうな年配の男が姿を表す。
「私が神父のヨムです、お祈りは済みましたか?」
「はい…」
「そうですかそうですか、それは感心です。職業変更の為に訪れる方で敬愛な信徒は余りいらっしゃいませんからね」
「はぁ…」
「オホン、少し話がずれてしまいましたな。こちらの水晶へ手をかざしてください」
そうやって取り出した透明な水晶を教壇に置く。
「初めに言っておきますがご希望のクラスに就けない場合も御座います。鍛練する事で選択肢が増える事もあるようですが…」
レベルさえ上げれば基本職になるのは簡単なはずだが…。初期数値に多少の差があるがどんな種族でも村人を35迄上げれば全ての基本職を選べる。
「分かりました」
また適当に相槌を打ち水晶に手をかざす。すると水晶が虹色の大きな輝きを放つ。
「こ、これは…!素晴らしい素質をお持ちなのですね?それとも敬愛な信徒だからでしょうか…戦士、騎士、闘士、狩人、魔術士、神官、召喚士が選択できます」
「闘士でお願いします」
「分かりました、少し目を閉じて下さい」
「炎と情熱の神フォームよ…敬愛なる信徒に御加護を…」
一瞬、暖かな光に包まれる感覚。
「終わりましたよ、敬愛なる信徒に祝福の祈りを」
手を組み祈りを捧げてくれた。
「有難う御座います」
「いえいえ、又お祈りを捧げに来てください。職業変更の確認等は冒険者組合で行われてください」
「分かりました、又来ますね」
教会を後にし冒険者組合へ。その際【新人の籠手】を装備へ移してステータス確認を済ませる。
:セイラ・アズミ
LV1 職業 闘士 HP1390/1390 TP420/420
STR 120 攻撃力180+100+348
VIT 70 防御力105
DEX 130
AGI 90
INT 55
MND 85
CHR 60
【取得経験値増500%】【小鬼型への与ダメ増10%】
「やっぱステータスすげぇ」
熟練度による攻撃ボーナスも確認。攻撃力の合計だけ視れば上級職のレベル30~40辺りか。思わず笑みがこぼれる。
そして立派な建物に到着。
「面倒事が起きませんよーにっ」
フラグ建てを完了し、賑やかな内部へと進む。
「おぉ…!」
中は広く、受付らしき場所が6つ、一番奥には2階へ上がる為の階段。階段横には大きな掲示板らしきもの。受付前は広く、丸テーブルが4つ、その周りに冒険者らしき人達が雑談をしている。大体30人くらいだろうか。入口に一番近い受付には3人、その隣に5人、4人、2人、8人と並んでいる。8人並んでいる受付のお姉さんは人気あるのも頷ける素敵な笑顔と破壊力抜群な巨乳を携えていた。各受付の後ろにある作業台に素材を広げに行く度にミニスカからチラチラ見える脚も良い。が、階段横、一番奥の受付。誰も並んで居ない、迷わずそこへ。
肩辺り迄伸びたストレートの少し暗い、黒に近い紫の髪。前髪が目に掛かってあまり顔は分からないが背の少し低い女性に尋ねる。
「こんばんは、冒険者登録したいんですが」
「は、はい!冒険者登録ですね!」
立ったまま寝てたんだろうか?かなり驚いた様子。
「で、では右手を出して貰って良いですか?」
「ハイ?」
不思議に思いながら右手を差し出す。
すると、その受付の女性から手を握られる。両手で包む様に。
もしかして一目惚れか?異世界恋愛譚突入も有りか!?
「セイラ・アズミさんですね、ギルドカードに冒険者として登録しますので少しお待ちください」
何事も無かったように言われ思わず尋ねる。
「あの、なんで手を?」
「はい、私どもギルド職員は全員【鑑定】持ちでして、モンスター等から得られる素材等は見る事で調べられるんですが、冒険者様のお名前、レベル、職業等は直接お調べしないといけないんです」
そんな仕組みなのか。【鑑定】なんて所持保有効果は初耳だがある程度納得する。
「分かりました、有難う御座います」
「いえ、冒険者様をサポートするのが私どもの仕事なので、それとあまり固いお話のされかたはなさらないで下さって大丈夫ですよ」
「あぁ、オッケーまぁ半分癖みたいなもんだから気にしないで」
「おっけー?あ、それではギルドカードを作成しますね」
そう言うと、銀色のキャッシュカードサイズのプレートを取り出す。両手をかざし、目を閉じる。そうすると青白い文字が浮かび上がっていた。
「こちらになります、セイラ・アズミ様、レベル1、クラスは闘士でお間違えないですか?」
「オッ…あぁ、大丈夫」
「それではギルドカードの説明をさせていただきます。こちら無くされますと再発行に金貨10枚、10万ネル頂く事になります。冒険者様の身分証にもなりますので無くされないよう十分気をつけて下さい。又、冒険者様本人が念じると現在のステータスが浮かび上がって来ます。しかしレベルが上がっても自動的にレベル表記が更新される事はありません。クエスト達成数等もギルドカード管理になりますので依頼達成した後なんかにステータスの更新をする事もお勧めしております」
「ここまでで何かお聞きしたいこと等はありませんか?」
「大丈夫」
「はい、それでは続いて冒険者等級について説明させて頂きます、現在SS、S、A、B、C、D、Eの7つランクがあります。どんな方でも最初はEランクから始まって依頼の達成、又は緊急依頼での活躍によって少しずつD、Cとランクアップして行きます。CからBへのランクアップには昇級試験がありますが試験内容はその都度変わるようです」
「ふむふむ」
「Bランク迄上がれば熟練と言えるようになるでしょう、高ランクになるとギルドから依頼を申込む場合もあります、勿論報酬も素晴らしいので是非Aランクを目指して下さい!」
「お姉さんみたいに可愛い人が応援してくれたら…」
「えっ、あの…ご冗談はやめて下さいっ」
冗談のつもりは無かったが…。前髪で隠れているがチラチラと覗ける澄んだ目、美人では無いが小動物系の可愛らしい顔立ちだ。
「えーっと…あの…あ!それとギルドでは素材の買取りの際もギルドカードの提示が必須になります!次回ご利用の際はお忘れないようしてください!」
照れてるのを誤魔化すように声を大にして説明された。
「あ、んじゃこれ…魔石の欠片買い取って貰える?」
荷物に入っていた少し大きめな皮袋に予め移しておいた魔石を渡す。所持アイテム欄で確認済の125の欠片を。
「え!?ハッ、すみませんすぐに査定しますね」
そして後ろの作業台に袋の中身を広げる。じっと見つめ、10秒経たないくらいで戻ってくる。
「全部で土の魔石欠片125個ですね、1つ辺り300ネル合計で3万7500ネルになります、すぐ用意しますね」
「早かったね、数えたりしなくて済むの?」
「あ、普通は計数するんですが私は【把握】ですぐに分かるんです、でも本当にアビリティ持ちか証明したりは出来ないのでもう一度数え直しますねっ」
申し訳無さそうな笑顔を向けられる。数はバッチリ、単純な好奇心だっただけなので急いで謝る。
「いやいや!大丈夫、ちょっと不思議に思っただけだから!」
「分かりました…有難う御座います」
そして受付を離れ買取り金額を持ってくる。
「それではお確かめください」
金貨3枚、銀貨7枚、銅貨5枚。分かりやすくて助かる。
「他には何かありませんか?」
「んーあ、素朴な疑問なんだけど、受付によって並んでる人数違うのはなんで?」
「えーっと…はい、優秀なギルド職員には冒険者さんが多く付くそうです…」
お姉さんの表情が少し曇る。
「ふーん、沢山冒険者が付いたらなんか良いことでもあるの?」
「はい、私はまだ入ったばっかりで余り詳しくは無いんですが買取り金額が良かったり、クエスト達成の報告を沢山受けてる方なんかはお給金が少し良くなるみたいです。気持ちよく仕事が出来るようにとの事なんですが…」
「キャバクラか!」
まぁあれだけ捌くのも大変だろう。モチベーションは大事だ。
「きゃばくら?」
「あー気にしないで、まぁ新人同士今後とも宜しく!まぁお姉さんは優秀って意味じゃ大丈夫だろうけど…あと俺に対してもそんな畏まらなくて良いから」
「そんな、私なんてまだまだです!でも…ありがとうございます。畏まっている訳じゃ無いんですが…努力しますね」
そう言うと可愛らしい笑顔を見る事が出来た。
「んじゃ、明日にでもまた来るよ」
「はい、お待ちしてます」
そしてその場を後にする。まだ物価を調べた訳じゃないが多分日本円換算も簡単だろう。取り敢えず宿でも探すかと入口の方へ向かうと。3人の男が立ち塞がる。
「兄ちゃん、無事冒険者になれたようだな。んじゃ早速ここでの上下関係から教えてやるよ」
近年稀に見るお約束。正直どうでも良いが『目的』があるので誘いに乗ってやる。煽りを加えて返事をする。
「上下関係?アンタらが冒険者の底辺って事ならすぐ分かったけど…あーアレか?俺がアンタらよりどれだけ格上か改めて教えてくださるって事かな?」
口角だけを上げ嘲笑う。ビキビキと音が聞こえそうな程目の前の男が怒りを上げているのが分かる。なので抑えていた殺気をすこし解き放つ。次の瞬間。
「まぁまぁお兄さん達、こっちの兄ちゃんはまだ冒険者になっただけ、歴戦の冒険を潜り抜けてきたお兄さん達がわざわざ教えなくてもその内分かるだろ?だから逃がしてやろうぜ?」
獣人。鼻先から口元、腹筋の辺りは白く、黒い鱗で覆われた左肩から左肺、心臓を守るような胸当て。エナメル質のくすんだ緑のカーゴパンツのようなズボン。皮で出来たブーツを履いた蒼い狼が横から割って入った。
「チィッ、゛疾風゛…てめぇも最近調子のってるようだが…まぁ良いだろう、見逃してやるよ!」
そう言い残し3人組がギルドを出る。
「………どうも有難う御座います」
正直邪魔された気しかしなかったは軽く礼を述べる。
「ん?いやいや、礼を言うのは3人組の方だと思うぜ?そうだろ?」
「さぁ?どうでしょう?」
するとその獣人が笑う。
「何とぼけてんだよ、まぁ良いか!兄ちゃんこの街初めてだろ?良い店紹介してやるよ!付いてきな!」
遠慮もなにも無い獣人だが単純にお節介なんだろう。
何か裏があるとは思えなかったので素直に付いていく。
「んじゃ少しだけ」
案内されたのはギルドから少し歩いた場所のデカイ大衆居酒屋みたいな店だった。中へ入ると奥に厨房が見える広めのカウンター席が20程。六角形のテーブル席が30程確認出来た。
「広っ」
「カウンターで良いか、座りな兄ちゃん」
店内は相当な賑わいを見せている。200人くらい居そうだ。
騎士らしき格好の集団から豪快に樽ごと酒を飲んでいるドワーフ。魔術士っぽい格好の集団にちょっかいを出している集団。冒険者らしき格好の者が溢れかえっていた。
「どうだ?悪くねぇ雰囲気だろ?ここはな元冒険者で料理はそこそこだが腕っぷしの良い旦那の店なんだ」
「うるせーぞガウン!さっさと注文しやがれ!」
「怒んなよ旦那、取り敢えずアルーダ2つとそうだな…梟鼠の揚げ物とビシンの塩焼き、あと茹でユリを頼む!」
「あいよ、それと何度も言うが俺の事はマスターと呼べ」
「はいはい、んじゃ早く用意してくれ」
「ったく、んで、こっちの兄ちゃんは?見たこと無い顔だが…」
一瞬、鋭い視線が刺さる。
「あーそいえばまだ自己紹介してなかったな、俺はガウン、ランクB、゛疾風゛って言やあちょっと知れた名前だぜ?」
「ランクE、今日ギルドで冒険者登録したばっかりのセイラ・アズミです」
「ん?珍しいな、貴族って風にも見えないが…俺はラーズ、元冒険者だ、マスターと呼ぶようにな。んじゃちょっと待ってろ、新しい冒険者も居ることだしサービスしてやる」
「ラッキー!つか兄ちゃん、あの受付の姉ちゃんと話してたみたいに普通に話そうぜ!同じ冒険者なんだしよっ!」
馴れ馴れしいが気分の悪くならない笑顔を向けてガウンが言う。
「分かった、んじゃ俺からも一つ、名前で呼んでくれ。俺もガウンって呼ぶから」
相手も礼儀なんて無いのだ、別に遠慮は要らないだろう。
「分かった、んじゃセイラ最初に一つだけ小言良いか?ギルドじゃ騒ぎを起こすな、別に規則なんて無えが冒険者同士ギスギスするのは居心地が悪くなる」
「別に騒ぎなんて起こしてねーだろ…まぁ、分かったよ」
そこで少し青い飲み物と料理が運ばれてくる。
「アルーダ2つ、梟鼠の揚げ物、ビシンの塩焼き、茹でユリ。こっちはサービスのソラエダとグリムの和え物だ」
「きたきた、んじゃ!新しい冒険者に乾杯!」
「乾杯!」
カーンっとジョッキを鳴らし一気に流し込む。ガウンジョッキは少し細長いタイプのようだ。そして一言。
「ぶはっ!これ酒じゃねーか!」
「あぁ?セイラいくつだ?まだか未成年って訳じゃねえだろ?」
どうやら未成年飲酒で捕まる心配は無さそうだ。
料理は大味だがガウンの言う通りそこそこだった。
「おっ、そろそろ始まるぜ?」
「ん?何が?」
さっきまで騒いでいた客達がおもむろにテーブルを退かし始める。店の中央部分を囲う様に広く、丸いスペースが出来上がる。
「何って…お楽しみだよ、まぁ見てな!」
中央に店主が表れる。全ての客に聞こえるような声を発する。
「ギルドに貢献もせず、日々適当な依頼をこなし、その日暮らしなクソ野郎共!ストレス発散しようにも娼館行く金もねーんだろ?鬱憤貯まってるよなぁ?だったらここで払して行け!参加費は1人1000ネル!最後まで残った奴の総取りだ!」
ウオオオォ!怒号が上がる。
「なんだこれ?」
「この店名物、旦那が日頃やるせねぇ冒険者達が犯罪なんかに逃げないようにほぼ毎日やってる祭みたいなもんだ!今日も盛り上がりそうだな!ハッハッハ!」
「へぇ…」
席を立つ。
「おっ、なんだよセイラ、ヤル気かぁ?」
「あぁ、ガウンは出ないのか?」
「一応ランクBだからな!他の奴等が可哀相だろ?」
「そうか…」
それ以上何も言わず歩み出す。逸る気持ちを無理矢理に抑えつけ、しかし自然と胸が昂る。『目的』の為に。確かにそれもある。
だがそれ以上に、期待の方が大きかった。
無粋な真似はしない。どんな奴が。どんな闘い方で。分からなくて当たり前。対人はそういうもんだ。
闘って闘って闘って闘って。そして数え切れない勝利を掴んできた。そして今、未だ知らない異世界で。未だ合間見えて居ない…
強者を求めて歩みだす。最強と呼ばれるようになるために。
ヒロイン先伸ばしェ




